無題
その日は何故か起きていた。起きていたといい実感すら薄かったが。
寝ていたかった。先延ばしに出来るのならいつまでだって寝ていたい。
でも現実は時に残酷に僕に全てを告げる。覚悟する時間さえ与えずに。
ーー否、時間はたっぷりあった。最初話された時から今のこの瞬間まで。
起きなければいいと願い、今が永遠に続いていけばいいと現実から目を背け続けていた。
『いつか』が『今』来ただけの話。
そしてこの話の内容を誰かに話せば、小さな子供か、と呆れられる。
だから僕は誰にも言えない。話せる相手が思い浮かばなかった、というのが正しいか。
情けないなと僕は必死に笑う。意地でもいいから笑っていなければ今すぐにでも泣き喚いてしまいそうだったから。
でも、と思う。
いっそのこと、幼い子供のように泣いて嫌がれば、考え直してくれるだろうか。
そんな訳ないと知っているのに。一度離れてしまった心を再び結び付けることなんて僕のちっぽけな何の力も持たない言葉では無理なこと。誰よりも知っている。
次に僕が目を開けたとき、そこに広がるのは襲い掛かる目を逸らし続けた、たった一つの現実。
ーー僕という存在がこの場になければ、多分ずっとずっと前に起こっていた現実。
そう、結局は僕がいようがいまいが何も変わらなかった。
僕がどれだけ願っても、必死に望んでも。僕という存在は邪魔にしかならなかったのだ。
(もうやだ……)
(……助けて)
今にも叫びそうになるこの心の声を、誰か気付いてくれますか?
気付いてくれなくてもいい。それは当たり前のことだから。
ただ、気付いて欲しいというのは僕の我が儘。僕の甘え。
心が不安定な僕が出来るのは誰かに届けばいいと願いながら、ただ、誰二も言えないこの想いを書き綴るだけだった。
これを書き終わって眠り、次に起きたとき。ーーどうか夢であって下さいと、願ってしまう僕の弱い心が叫び続けていた。