表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

無題

作者: 雨月 雪花

 

 その日は何故か起きていた。起きていたといい実感すら薄かったが。


 寝ていたかった。先延ばしに出来るのならいつまでだって寝ていたい。


 でも現実は時に残酷に僕に全てを告げる。覚悟する時間さえ与えずに。


 ーー否、時間はたっぷりあった。最初話された時から今のこの瞬間まで。


 起きなければいいと願い、今が永遠に続いていけばいいと現実から目を背け続けていた。


 『いつか』が『今』来ただけの話。


 そしてこの話の内容を誰かに話せば、小さな子供か、と呆れられる。


 だから僕は誰にも言えない。話せる相手が思い浮かばなかった、というのが正しいか。


 情けないなと僕は必死に笑う。意地でもいいから笑っていなければ今すぐにでも泣き喚いてしまいそうだったから。


 でも、と思う。


 いっそのこと、幼い子供のように泣いて嫌がれば、考え直してくれるだろうか。


 そんな訳ないと知っているのに。一度離れてしまった心を再び結び付けることなんて僕のちっぽけな何の力も持たない言葉では無理なこと。誰よりも知っている。


 次に僕が目を開けたとき、そこに広がるのは襲い掛かる目を逸らし続けた、たった一つの現実。


 ーー僕という存在がこの場になければ、多分ずっとずっと前に起こっていた現実。


 そう、結局は僕がいようがいまいが何も変わらなかった。


 僕がどれだけ願っても、必死に望んでも。僕という存在は邪魔にしかならなかったのだ。


(もうやだ……)

(……助けて)


 今にも叫びそうになるこの心の声を、誰か気付いてくれますか?


 気付いてくれなくてもいい。それは当たり前のことだから。


 ただ、気付いて欲しいというのは僕の我が儘。僕の甘え。


 心が不安定な僕が出来るのは誰かに届けばいいと願いながら、ただ、誰二も言えないこの想いを書き綴るだけだった。


 これを書き終わって眠り、次に起きたとき。ーーどうか夢であって下さいと、願ってしまう僕の弱い心が叫び続けていた。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ