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神無月  作者: 若憑
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プロローグ〜出会い〜

火が燃えていた。

山に籠ってから3日は立つ。面倒臭い雑誌社の仕事を終えて久々の山を満喫していたが3日も立つと少々飽きてくる。都会に居る時は山が恋しくなるが山に籠っていると都会の刺激が欲しくて堪らなくなってしまう。

「飽きっぽいのがいけないんだよな」

誰に話すでもなく呟きながら火に薪をくべる。パチパチと小気味良い音が鳴って薪が吸い込まれていく。

この飽きっぽい性格が災いしてまだ24だと言うのにいくつもの仕事を転々としていた。いまではフリーライターの真似事をしているがこの仕事もいつまで飽きずにすむのか。

山の中に一人でいれば自己分析ばかりしている。何本目になるかわからない煙草に火をつけて煙を吐く。さっきから焼いている魚がいい塩梅になってきたようで良い匂いがしてきた。

テントから缶詰とパンを用意して夕食の準備を始めた。さすがに10月ともなると夜の冷込みは厳しい。

鍋を持ってくれば暖いスープでも作れたかもしれなかったな。暖めた缶詰とパンと魚だけの食事をしながら自分の準備不足を呪いながら食事を口に掻き込んだ。


食後の煙草をくわえながら川に落としてきた仕掛けを見に行く。明日の朝食がかかっている事を祈りながら仕掛けをあげてみると一匹のマスがかかっていた。

キャンプに持ち帰り締めておく。内臓を抜いて塩とあらかじめ用意していたハーブを魚の腹にぶち込む。朝には味が染み込み焼くだけでうまい魚にありつける。

テントに戻り缶詰とパンの残りを調べる。明日の朝食の分で最後になる。ちょうど帰りたいとも思っていた頃なので特に気にせずまた火の前に戻り自己分析を始めた。


気配に気付いた。

時計を見てみるとすで23時を回っていた。少し眠ってしまったようだが火はまだ点いている。火が点いていれば野生の動物が近付いてくるわけが無い。

この辺りでキャンプをする酔狂な輩が俺以外に居るとは思えない。気配のした方をランタンの灯を持って調べに行く。

「人間なら返事しろ。口位はついているだろ?」

気配が動いた。

おそらく人間なんだろうが動きが鈍いように見える。

「怪我でもしているのか?今足下を照らしてやるから」

俺は気配に灯を向けた。


そこには一人の少女が居た。

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