A handsome girl
A handsome girl、誰かが俺の事をそう言った
意味?そんなの辞書引いて自分で調べなよ
都会の外れに存在する天井が抜けた廃墟
崩れ掛けの廃墟の床に横たわり、即興の曲を口ずさむ俺
其の場に風が抜けると同時に其の曲が風に流され飛び立つ
顔に被された教科書の表紙には自作の歌詞が綴られる
そんな中、そんな時、俺の優雅な一時をぶち壊すかの様に煩い複数の足音が耳に入る
教科書の隙間から見えるのは額に汗を流す大人な野蛮人の集団
手には物騒な刃物、その他の人を殺せる道具を持ち危ない眼で此方を見ている
「っ居やがったぜ、俺等の活動範囲内でグウタラと眠ってる輩がよぉ―っ!!!」
「…如何も、お早うごぜ―ます」
廃墟内に響く程の男の声、眠気が残る俺の脳内に嫌に残る
憂鬱に飲まれかけの俺はダルそうに眼を細め、男に不本意ながらも挨拶をし立ち上がる
其の俺の行動に野蛮人共は笑った、何が面白いのだろうかと俺は呆れる
面倒事が始まる前にこの場から立ち去ろうと知らぬ間に床に落ちた教科書を拾おうとする
其の行動は実行できず終った、一人の男が俺に接近し教科書を汚い脚で踏みつけている
教科書の表紙に綴られた歌詞が汚い靴の底で滲み汚された
男は笑い、俺を見下す様な視線を送る、実際見下しているのは俺なんだけどね
俺は「あーあ」と声を発し、前髪を掻き揚げる
「なぁ兄ちゃん、此処の使用料払ってくれねぇー?」
「此処に居るだけで金払わなくちゃいけないんですか…」
「そうそう、それに兄ちゃん無断で遣ったでしょ、追加料金貰わないとねぇ―」
なんて在り来たりな展開、俺は呆れて言葉もでない
そんな状態の俺を野蛮人共はびびって居ると勘違いし、不気味な笑みを浮かべる
普通、廃墟で歌詞を書いて寝転がっていたって料金が掛かる何て有り得ない
天井の無い廃墟に差し込まれる太陽の光で逆行する刃物からして脅しているだけ
今の人間の考える事は危なすぎると俺は非難に思う
少しの間、黙っていた俺に対し、等々男達は苛立ちを隠せずに居られなくなった
「オイッ!!払えって言ってんだよ、この糞餓鬼」
「どうぜママからお小遣いタップリ貰ってんだろ?」
「餓鬼は俺等大人の言う事をキチンと聞いて金渡せや!!!」
在り来たりな発言、在り来たりな現状、在り来たりな台詞
全部在り来たりすぎで暇になる、けれどその全部を纏めれば少々むかつく
俺は優しい笑みを浮かべ、鞄から財布を取り出そうとする
其の行動に大人達の口元に汚い笑顔が浮かんだ――、けどその笑顔を掻き消す出来事が起きる
「誰が大人しく渡すかっての、下衆が」
俺は鞄から大量の小銭を取り出し、男達の笑顔を掻き消すかの様にその小銭をばら撒く
すると男達は一瞬怯み、俺は一人の横顔に鋼鉄の蹴りを一発喰らわし気絶させる
其の光景に、残る男達は顔を青ざめ、俺の顔には笑顔が浮かぶ
床に落ちる小銭の音が心地よい、そう思える自分が怖い
「そうだ、絶望真っ最中の貴方達に一つ教えてあげる」
脅える男達、其れを見て笑う俺、人差し指を唇に当てて小さく言葉を発する
鋭い視線が男達を遅い額には微かな汗が流れ、眼には微かな涙が
そんな状態の奴等、けれど俺は容赦なんかしない、弱い物と思い込み脅してきた奴等が悪い
「俺の趣味⇒優雅な一時を過ごす、グタグタな歌詞作り」
「俺の嫌いなタイプ⇒趣味の時間をぶち壊す野郎」
「御前は俺の嫌いなタイプにキッチリ嵌ってる」
「因みに俺の好きな遊びは、嫌いなタイプをブチノメス事」
重なり合う様な俺の声と発言、男達は震え恐れ焦点の合わない眼で俺を見る
俺は笑顔を浮かべ言葉を発した、其れと同時に響きあう悲鳴
途切れる続いた其の悲鳴は数分後途切れ、俺の周りには男達の残骸が残る
殺しては居ない、殺したら犯罪になるから、コレでも俺はいい子だから
俺は踏まれ足跡が残る教科書と誇り塗れになった鞄を手に取り、鞄の中に仕舞う
そして其の場から立ち去ろうと音を響かせ入り口の方へと向かった
けれど其の足音は途中で途切れ、代わりに声が響き渡る
「兄ちゃんじゃなくて、姉ちゃんが正解だったよ、残念」
最後まで見てくれた人に教えよう、辞書で引くのも面倒だと思うからね
A handsome girl⇒男前少女
某掲示板で違うHNで書かせていただいた作品;;
気に入ってくださるか少々不安((ェ