報告
「来週から榊明奈になる」
「はぁ?おおおお前、けけけ結婚でもすすすすんのか?」
いろいろ省いて悠斗に説明したら、案の定誤解した。本当に見ていて飽きない。
「馬鹿ね、そんなわけないでしょ。父さんが再婚するの。なんで苗字を変えるかは知らないわ」
「なんだよ。そういうことか」
「うん、そういうこと」
「あー良かったぁー」
「なんで悠斗が安心するの?」
「・・・・・・・・・・・・友達だからナ!」
今の間は何だったのだろう。まあ、こういう間はたまにある。気にしないのが1番だ。
「そりゃ、どーも」
ふと時計を見れば、昼休みが終わる10分前になっていた。
「悠斗、わたし今日早退するから」
「おー、了解。あーちゃんには俺が伝えておくから」
あーちゃんというのはわたしたちのクラスの担任のあだ名である。本名は天宮蒼樹。26歳とまだ若い教師であるが授業は面白く、多くの生徒から慕われている。わたしも教師の中では彼が1番好きだ。
「お願い。早退することは伝えてあるから、帰ったってことだけ伝えておいて。じゃあ、また来週に」
「おう!またなー」
月に1度は必ず早退をするわたしは、その理由を悠斗に言ったことがない。聞かないでいてくれる悠斗の優しさに甘えてるのだ。
鞄を持ち、教室を出る。靴箱まで行けば、父さんが待っていた。
「ごめん、駒野と話し込んでた」
「大丈夫だよ。僕も着いたばかりだから。さ、車に乗って」
「うん」
学校を早退し、親に送ってもらう場所はわたしの大嫌いな病院。
自分の命の短さを認めざるを得ない場所にわたしは行くのだ。




