現状
再婚するから。
父は朝そう言って会社へと出勤していった。母が死んでから16年、男手ひとつで育ててくれた父さんに文句をいうつもりはない。
「てか、父さんいつの間に・・・」
まあ、どうでもいいか。仕度を終え学校へ向かう。
父さんが再婚したら、学校を転校しなければいけないのか?ふと、そんな事が頭をよぎる。
「別にいいか、」
転校しても。大切な友人はいるけれど、2度と会えない訳ではないだろう。いつもは長い学校への道のりを大変だとは思わなかった。気がつくと学校の前。無意識って怖い。
「おっす、髙林」
ポン、と肩を叩かれる。振り返るとそこにいたのは
「おはよ、悠斗」
金髪碧眼という目立つ風貌をしたクラスメートの、駒野悠斗。中1の時からの友人。
「聞いたか?今日、数学小テストあるんだとー」
くそくそ。ブツブツ呟く悠斗。あぁ、勉強してないんだな。ドンマイ悠斗。
「余裕だよー。わたしは、だけど」
「あー、もうっ!!髙林ムカつく!!」
「あら悠斗。数学教えてほしくないの?」
表情筋が明らかに緩んでいるな、わたし。しかし、仕方のないことだ。悠斗をからかうのは楽しいのだから。
「・・・・・・教えて欲しいです(ニヤニヤしやがって。チクショー・・・!!)」
上目づかいで恨めしそうにわたしを見る悠斗。睨んでいるつもりかもしれないが可愛いだけ。
「はい、このノート見れば8割は点取れるよ。色ペン使ってないところもちゃんと覚えてね」
「うー・・・さんきゅ」
喋りながら教室に向かうとすぐに着いてしまった。わたしの席は窓際の一番後ろ。悠斗は廊下側の一番後ろである。
「おはよー髙林」「おはよう、髙林」「はよー」
「おはよ~」
クラスメートに挨拶を返す。悠斗以外とは深く関わろうとしないわたしを受け入れてくれるこのクラスが好き。
さて、4限目。数学の小テストである。
始まる直前、ちらりと悠斗の方を見る。割と落ち着いているようだ。あ、こっち向いた。声は出さず、口の動きで言葉を伝える。
「(が、ん、ば、れ)」
悠斗は音のないその言葉を受け取ると、笑って頷いた。
ジャンルとして恋愛をつけていますが、ちゃんと恋愛モノを書けるか不安です。
精一杯頑張ります。




