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鳳雷石の煌めき短編集

アウェイな環境で婚約破棄宣言をしてきました。全て丸く収まりました。

掲載日:2026/06/05

さらさらっと婚約破棄宣言、真実の愛、ざまあ→ハッピーエンドへと流れるような展開の物語です。

私はハッピーエンドが好きです!


「マリア!!!君とは婚約破棄をさせてもらうよ!」


ここは、王立学園。3年A組の教室である。

授業を終えて放課後の出来事であった。


周りが振り返り、注目するほどの大きな声で、婚約者に婚約破棄宣言をされたのはマリア・オズリアナ。オズリアナ伯爵の3女である。


清楚さを感じる美しい黒髪に紫色の瞳のマリアは、唐突な婚約破棄宣言に呆気に取られているようだ。


対して、意気揚々と大勢の者がいる前で、婚約破棄宣言をしたのは、赤茶色の髪の毛に青い瞳を持つルースト・ヘルズマン。

ヘルズマン伯爵家の長男である。


傍らには栗色の髪の毛に大きな瞳の、サーニャ・サンジニア。サンジニア男爵家の次女がピタリと傍らに寄り添い瞳をウルウルさせている。


因みに2人はA組の生徒ではない。クラスは成績で振り分けられており、2人ともF組である。


マリアは、フーッとため息をつき何かを言おうとしたが、クラスメイトの銀髪に黄緑色の瞳の男子生徒が間に割って入ってきた。


「その隣の女性徒は誰なんだい?」


クラスメイトの視線が一斉にサーニャに集まる。

サーニャはルーストの腕にしがみつき目をうるうるさせながら上目遣いでマリアを見た。


「ご、ごめんなさい、マリアさん。婚約者のマリアさんがみえながら、私達…私達愛し合ってしまったのです。」

大きな瞳から涙が伝う。


「いけないこととは知りつつも……ごめんなさい。」深々とお辞儀をするが謝りながらも謝ってない感が駄々漏れである。

こんなに泣いて可哀想にというようにルーストが肩を抱き寄せる。


いやいやいやいや!泣きたいのは実際マリアさんだよね。どこからともなく声が飛ぶ。


別の銀髪の女生徒が続けて話し始めた。

「いけないこととは知りつつも……ね。やはり、知っていてわざとやっていたのですね。

やれやれ……。本当に図々しい方達ですわ。

今まで、婚約者同伴のお茶会はすっぽかすわ、先日の学園主催のダンスパーティーではこれ見よがしに一緒にダンスを踊ってませんでしたこと?

あーっ、そういえば王都の祭りの際もあなた方2人で行ってましたわよね?婚約者がいる令嬢達は、皆婚約者同伴で行くのにね。常識のある人間ならば婚約者以外とは決して行かないのだけれど。

マリアさんは婚約者がまだいない私を含めた友人達と行きましたわ。」


お可哀想に…頭と行動が軽やかなのと関わると大変だね。


周りの生徒達からヒソヒソ声が聞こえてくる。


完全に2人はアウェイだ、よくぞ自分達のテリトリー外に何の武器も持たずに来たものだ。


また、別の生徒が2人の肩をトントンとたたく。

「婚約者を散々ないがしろにして……。

もしかして、お2人は今小説で話題の真実の愛?とかいうやつなのかい?」



そう聞かれてルーストは嫌みだと気がつかず、胸を張り誇らしげにこう応えた。

「そう、そうなのだよ。やはり、ツンとすましている女性より愛嬌のあるサーニャの方のが何倍も愛らしい。僕達は『真実の愛』で結ばれてしまったのだよ。」

2人はこれ見よがしにヒシと抱き合う。


小説では『真実の愛』が話題だが現実で、考えなしにこのような愚かな行動をするとはね……。

何というか……。

マリアさん本当にお気の毒だわ。

またクラスメイトの誰かがヒソヒソと話す。



別の生徒が大きな声で「王子様!王女様」


どうでしょう?と言わんばかりに、皆は最初に話しに割り込んできた銀髪の2人に注目した。


銀髪の王子が少しばかりオーバーなリアクションで首を横に振りながらこう言った。


「本来なら、政略結婚だからね。なかなか破棄するのも難しいのたけれど…。皆がいる前で、こんなに堂々と高らかに宣言されてはね。」


「フフフッ幸いなことに二つの家門と我が王家は繋がりが深いからね。政略結婚とはいえ今までの些末な行動も加味して、破棄はできるだろうね。」


銀髪の女生徒、王女も人差し指を頬に当て話し出す。

「ヘルズマン伯爵も大変だったですわね。伯爵家の嫡男が色々な意味で色々なところが、これ程軽やかな者だと……。

しかし、伯爵にとってはかわいい長男だったのでしょう。迎え入れる妻を優秀な者にして帳尻合わせをしようとしたのにね。」

王女は眉を寄せた。


「これで家督を継ぐのは優秀で真面目な次男とキッパリと踏ん切りがついたでしょう。」


周りの生徒達もうんうんと頷く。


ヒシと抱き合い、2人の世界に酔いしれている2人の耳には届いていないようだ。


色々と軽やかで幸せそうである。


2人の今後は2人が考えている未来のように安泰したものではないとして。


しかし、このままでほ、何も悪くないマリアが婚約破棄をされた令嬢と悪いレッテルを貼られるだろう。


鉄は熱いうちに打て!だ。

またまた、皆の視線は銀髪の王子と王女に集まった。

「いやはや。このクラスは本当に優秀な人材の宝庫ではないか?オズリアナ伯爵家と丁度家格の釣り合うピッタリの者がいるだろう。」


「そうね。丁度良いことに彼には婚約者はまだいないわ。何故か幾度となくご令嬢達の釣書を見せても首を縦に振らなかったものね。」



皆の視線は、ある男子生徒に集まった。


マリアの傍らにはいつの間にか、黒髪に眼鏡のスッキリとした美麗な男子生徒が心配そうに立っていた。


男子生徒の名前はユリウス・シーボルト。国王の参謀シーボルト公爵の長男である。


黒髪の美麗な2人を見て、クラスメイトの誰かが、ほうっ、お似合いだわ、と呟く。

心の奥底で思いあっていたであろう2人。


婚約は破棄することは出来ず、望んでもいない結婚を受け入れていたマリアさん。相手の不祥事で真実の愛を手にしたのだわ。


事実は小説より奇なりね。


美しいわ。素晴らしいわ。


次々と好意的な言葉が寄せられた。



さて、この一件があり皆の予想通り、滞りなく婚約破棄はなされ、マリアとユリウスの正式な婚約が成立した。


2人の心の奥底にしまわれていた愛が花開いたのであった。


一方の元婚約者のルーストはというと、家督は次男が継ぐ事となり、本人は伯爵家の辺境にある領土を継ぐ事となった。

その地は毎日のように魔物が出没していたが、ルーストは頭もだが身体も軽やかで強靭であった為、毎回見事に魔物を討伐してみせた。


ただ、そのような危険な場所であった為、嫁いでくれる令嬢は生涯見つからなかったが。


一方サーニャはというと、そもそも家格差があるため、ルーストとの結婚は叶わず、二家門からの圧力もあり修道院送りとなった。




〈ある日の王城の庭園にて〉


美しいバラが咲き誇る庭園のテラスにて、ティーカップを片手に銀髪の王子がチラリと王女を見た。


「しかし、姉上殿。いくら愚かとはいえわざわざ我がクラスに来る程愚かな者共だったのでしょうか?」


王女は、アールグレイティーを一口飲み、フフっわかっている癖にと言う風に、含み笑いをした。


伯爵家の二つの家門は王家と深い関わりの家門だ。

優秀な者達に支えてもらった方が王家も安泰なのである。

重要なポストの公爵家もしかり。


学園は国の縮図だ。

表面上は学業に勤しみ、皆平等に学園生活を過ごしているかのようにみえるが、生徒の多くが貴族である。

様々な貴族社会の陰謀、精査も入るのである。


その一環であった。


「私は少しばかり場を整えただけなのだけどね。」


少しばかり2人が食いつくような小説を流行らせ、少しばかりマリアに会う隙を与えず、クラスに来させるように仕向けた……だけであった。


「選択するのは当人達だからね。」


ペリドットのような黄緑色の瞳が美しく輝き、口元はクスリッと微笑む。


『真実の愛』を貫くには、只その場の感情だけで突っ走ては駄目だ。

地位があればある程、お互いの家門。

そして周囲が納得しざるを得ないもの同士でないと結婚することは出来ないのだ。

 

王子はうつむきボソリと呟いた。


「姉上、流石です。これなら皆が認めざるを得ないでしょう。お幸せに。」

ゴクリと飲んだアールグレイは、爽やかな後味でであった。


〈後日談〉

公爵家に嫁いだマリアは、貴族社会の枠組みから外れることなくその上でお互いを愛し敬い幸せに過ごしたようだ。


ヘルズマン伯爵家も、優秀な次男が当主となり、益々発展を遂げた。


その一端には銀髪の王女がヘルズマン家に嫁いだことも大きかったであろう。


       (お し ま い)







お読み頂きありがとうございます!

今回はさらりとテンポ良い物語を書いてみました。

もし宜しければ…ポチりと→★~★★★★★

ブックマーク。感想など。

応援頂くと…張り切ります。

よろしくお願いします!

次回作はなんと……。

連載に挑戦してみようかな?と考え中で、脳内会議してます。

(変更の可能性あります。)5話~10話程度。

準備期間は1ヶ月位。最終話迄執筆しましたら、毎日投稿予定です。

短編のどれかを連載版にしようと思ってますが、、、。

また、活動報告に報告しようと思っております。

どうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
ずっとルーストはヒャッハーしてるといいよ。 たぶんそれが幸せ。 魔獣肉ゲットだぜー。
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