表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他に愛する人のいる彼の元を去ったら、何故か彼が追いかけてきます  作者: ましゅぺちーの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/16

8 彼女のいない夜 アロイスside

「……これは一体どういうことだ」

「どういうこと、と言われましても……」



アロイスの後ろに控えていた侍従が、困惑したように答えた。



「何故フィオナがいないんだ?」

「そ、それは私にもわかりかねます……」



フィオナがフェンダル家を出て行ったことを知っているのは、侍女一人だけだった。

当然、彼や彼の侍従が知っているはずがない。



彼は物の少なくなった部屋を眺めた。



「……俺があまりにも遅く帰ってきたからか?」



彼は今日、侍女を通じて昼頃には戻るとフィオナに伝えた。

しかし、結局は仕事が長引き、夜になってしまった。



そのことにすねているのだろうか。

愚かな彼は、フィオナが彼の元を離れていったという可能性を考えなかった。



アロイスは呆れたように部屋の扉を閉めた。

フィオナが机の上に置いておいた置き手紙は、彼の目には入っていないようだった。



(アイツ……こんなことをして俺の気を引こうとするのか)



ただでさえ仕事で疲れているというのに。

不機嫌そうな彼に、侍従が声をかけた。



「あの、旦那様……セレナイト公爵令嬢を探しに行かれなくてよろしいのですか?」

「その必要はない、すぐに帰ってくるさ」



どうしてそんなことがわかるのかという目を向けると、アロイスが付け加えた。



「フィオナは実家と縁を切っているも同然だ。帰る場所なんてない。今もきっとすねて家出しただけだろう」

「旦那様……」



フィオナが実家に帰り、家族と過ごしていることを彼は知る由もなかった。

彼女はすぐに帰ってくると本気で思っていた。

そんなことあるはずがないというのに。



「部屋に戻る、今日は疲れた」



フィオナの部屋の前から移動した彼は、自室に入り、ソファに腰を下ろした。



「……」



一人になった彼は、フィオナのことを考えていた。

仕事以外で彼女が彼の傍にいないのは久しぶりだった。



(あまりにも長く一緒にいすぎたせいか……何だか違和感を感じる)



フィオナが傍にいないことを思うと、アロイスはどうも落ち着かなかった。

彼女が今どこで何をしているのかをついつい考えてしまう。

こんなのは初めてだった。



「フィオナ……早く帰ってこないかな……」



無意識に、そんなことを口にしていた。

彼女がこんなにも遅くまで外出しているのは初めてだ。



言葉にならない不安が押し寄せた。



「……俺は何を考えているんだ?」



自分が愛しているのはセレシアただ一人であり、フィオナではない。

しかし、無意識にセレシアではなくフィオナのことを考えていることに気付いた彼は、慌てて彼女を頭の中からかき消した。



「……どうかしてしまったようだな」



やはり疲れているんだ。

彼はソファからベッドに移動し、目を閉じた。



その日、アロイスはフィオナの夢を見た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ