もふもふがつなぐ縁
翌朝、街はいつもより活気に満ちていた。
でも、私とモコが通ると、人々の視線は一瞬で集まる。
「……やっぱり目立つなあ」
モコは尻尾を振りながら、子どもたちのほうに駆け寄っていった。
「わあ!大きなワンちゃん!」
小さな手がモコの毛に触れる。
もふもふがあまりにも柔らかく、子どもたちは思わず頬をうずめる。
「……モコ、大人気だね」
モコは嬉しそうに鳴き、私の足元に戻ってくる。
その姿を見て、自然と私は笑顔になった。
街の商人や旅人も、少しずつ話しかけてくる。
「聖獣の契約主さん、ですか?」
「あの犬、本当に強いんですってね!」
半信半疑の様子もあれば、目を輝かせる人もいる。
だけど、恐怖よりも興味や好奇心が勝っていることに、少しほっとした。
昼下がり、広場で小さなイベントが開かれた。
街の子どもたちが紙風船を飛ばす中、モコはゆっくりと座って見守っている。
「……なんだか、落ち着くな」
人々はモコに触れ、撫で、笑い、そしてまた去っていく。
その様子を見ながら、私はふと思った。
この街の人たちも、異世界も、モコがいれば怖くない――と。
夕方、宿に戻る途中、子どもたちの一人が私に駆け寄った。
「ねえ、また明日も遊びに来てね!」
私は笑ってうなずいた。
モコも嬉しそうに尻尾を振る。
「……やっぱり、モコがいるだけで、人の縁って生まれるんだね」
宿に戻ると、モコはいつものように私の隣に丸くなる。
外はまだ賑やかだ。
でも、私たちの部屋だけは静かで、あたたかい。
もふもふと一緒に過ごす時間――
それだけで、ここで生きていける気がした。




