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ももちゃん

作者: 森村渉

私は以前から猫がほしかった。

猫は可愛くて、周りの友達も飼っていたからだ。


これは、そんな私が小学五年生のときに飼い始めた猫の話である。


小学五年生の2月、18日あたりの中旬であった。その頃は、知人が亡くなって間もなかった頃である。日曜日だったことは覚えている。


両親は大きなカゴを持ち帰ってきた。ふたを開けると、そこには真っ白な猫がいた。

「にゃー…」

この猫は、亡くなった知人の猫である。


遺品整理をして、猫を飼いたい人がいなかったかららしい。

動物病院によると、9歳くらいであるとのこと。


「可愛いね!」

「ももちゃんだよ!」


白い毛並みと青い瞳が特徴的であるこの猫の名前は「もも」である。

ペルシャやマンチカンに似ているが、雑種である。洋猫の血が混ざっているようだ。


ももちゃんはすぐさま二階に引きこもってしまった。

二階に水と餌、トイレを設置したが、一階に降りてくることはほとんどなかった。


だが、ももちゃんは夜中の人がいないときだけは一階に降りてくる。人が怖いのだろう…。


実際、月曜日に遊びに来た友達にも懐くことはなく、とても引っ込み思案であった。


調べてみると、白猫は目立つため野生では生きていけなく、臆病な性格の猫が多いらしい。


冬になると毛がふさふさになり、ブラシングすると毛が沢山とれた。

ももちゃんは毛繕いをほとんどしないため、普通の猫よりも多いであろう。


そして、この猫は壁で爪かきをしないことに気がついた。ただし、段ボールは全て全滅させられたが…



月日が流れ、ももちゃんが脱臼して帰ってきた事件が起きた。

母がいつものように家で過ごしていると、ももちゃんが玄関で弱々しい鳴き声をあげていることに気がついた。

いつの間にか脱走していたようだ。

足は明らかに怪我をしているようだ。


母はすぐ動物病院に連れていき、手術することを決めた。


私が学校から帰ってくると、そこにももちゃんはいなかった。

私は家族から事情を聞かされ、心配になった。

小さな体に麻酔を打つと、そのまま死んでしまうことがあると知っていた。

私は後日、病院で面会した。病院は動物臭がして、いるだけで気持ち悪かった。

それが最後になるかもしれないと頭に入れて…。


幸い手術は終わり、再び病院で面会した。


足の周りは毛がなく、代わりに点滴を打たれていた。そして、かすれた声で鳴いた。


その後は左足を不器用に動かしながら生活し、数週間後には糸も取れて今まで通りの生活に戻れた。


ももちゃんのあだ名は沢山あり、「モフ」が主流であった。

家族も本名で呼ばなくなった。


それから、ももちゃんは何の変哲もなく、幸せに過ごした。



数年後、ようやく一階に降りて来るようになった。餌も水も一階に設置して、寝床も用意した。


私の猫愛はさらに加速し、頻繁に写真を撮るようになった。



しかし、ももちゃんはヨボヨボと歩くようになり、体にはイボができた。老化しているようだ。


人間と猫の寿命は大きく違う。

それは当たり前であるが、避けられない現実である。


私は悔いのないように今を生きようと思った。

ウチの猫は他にはないような、唯一無二の存在です。この世で一番好きな猫です。

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