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1. 恐怖の皇帝

歴史に名を残す?この世の栄華を誇る?


否、ワシは"人間"に刻まれるのだ、永遠に

「父上、作戦は成功しました。陥落(かんらく)は時間の問題です。」


 バルバロス帝は王子の方に赤ひげを蓄えた顔を向けるとつぶやく。


「そうか。向かうぞ。」


 その顔はピクリとも動かない。息子である私にさえも。


 ・・・私は父が苦手だ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


星領暦(せいれいれき) 1342年 熱期24日


 ヴェルスト帝国は5年続いたネード国との戦争を勝利で終える。


 ネード国は小国であったが、侵攻(しんこう)直後に突如現れた英雄フェイのゲリラ戦術に思わぬ苦戦を強いられる。やがてネード国領に深入りしたヴェルスト軍は食糧補給のために帝国へと撤退するものの、フェイの追撃による深手を受けた。


 一時はヴェルスト帝国の存続危機にまで発展したが、バルバロス帝の息子・ブルート皇子(おうじ)のスパイ工作により、ネード国内部で英雄フェイを政治的に孤立させる事に成功。フェイは孤軍奮闘(こぐんふんとう)するものの砦は1年で陥落し、捕縛されることになる。


 フェイのいなくなったネード国はまたたく間に攻略され、王や王族・ほとんどの臣下達、計213人が処刑された。


 この勝利は、ヴェルスト帝国が全世界の半分の領土を手中に収めたことを意味するものだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


~ネード国辺境(へんきょう)・ノーサン(とりで)にて~


「・・・私は逃げない。早く殺せ。」


 意外にも背丈が小さい目の前の男は、この絶望的な状況でもなお私達に敵意を向けている。美しい顔をしていたようだが、すでに矢傷・創傷(そうしょう)・栄養失調でボロボロの状態だ。


「どうやら君があの英雄のようですね。私達をずいぶんと手こずらせてくれました。ただ、あの王に仕えることになった事だけが間違いでしたね。」


 彼はすぐに理解したようだった。


「・・・・・王を侮辱(ぶじょく)することは許さない。」


 彼を排除するためのスパイは、最初に王宮の世話人として数人潜り込ませた。ネード王は芸術家としては超一流の存在だったが、政治には全く興味を示さず側近を自分の遊び相手で固めていた。


 スパイ達もやがて側近として頭角(とうかく)を現し、ただ一言王につぶやいた。


「戦争とかやめない?遊ぶ時間なくなるし」


 この意見に賛成する王とその一派は、徹底抗戦(てっていこうせん)を主張するフェイ一派を中央から排除し、軍事支援も絶った。


 つまり、勇猛果敢な英雄は愚鈍(ぐどん)な王によって敗北を(きっ)したのである。


「どうです?実は私の父が君の顔を見たいようです。もしかしたら助かるかもしれませんよ。」


 馬車からバルバロス帝が降り立つ。


「・・・・」


 特に言葉を発することなく、ただじっと英雄を見つめていた。その顔は恐ろしい気迫で、間近に(ひか)える皇子や従者にも死を感じさせる。


「何をしている。早く殺せ。」


 英雄は迫り来る死にも屈せず、ただ、美しい空を見つめていた。


「・・・処刑だ。」


 無情にも、バルバロス帝は英雄の命を刈り取るつもりのようだった。


「父上、失礼いたします。私見ですが、彼は生かすべきだと存じます。この大帝国・ヴェルストにあってネード大戦以前にこれほどまでの危機は訪れていませんでした。これはひとえに彼の存在があってこそです。彼を将軍とすれば、半世紀の安寧(あんねい)を得ることができましょう。」


「・・・」


「もちろん私が手綱(たずな)を引きます。彼は千年、いや万年に1人の逸材です。もちろん、軍事的才能だけではありません。私は彼を知りたいのです。彼を殺してしまえば、万物(ばんぶつ)の資源・幾千万(いくせんまん)の民を失うに等しい。父上、お願いします。」


 バルバロス帝は振り返らない。その場には呆然(ぼうぜん)とする皇子と、目尻に涙を浮かべる1人の青年だけがいた。


「・・・ありがとう。」


 青年はつかの間の友人につぶやいた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


星領暦 1342年 熱期25日


英雄フェイ、処刑。


一般公開処刑を予定されていたが、皇子の取り計らいにより尊厳的(そんげんてき)処刑に変更。

 

小説はじめて書いてみました!

なかなか難しいですね、読みにくいところあったらすみません。


「面白そう!」「今後が楽しみ!」だと感じて頂けたらブックマークと★での評価をよろしくお願いします!

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