見ず知らずに誤解と勘違いが広がっていきます
こんにちは皆さん。
ホマレです。
皆さんは休日はどの様にお過ごしでしょうか。
私ですか？
私は、そうですね。
"外来モンスターか。ビックリしたね"
"あ、ハイ"
現在、アイリと一緒にダンジョン内に居ます。
……異能の登録後、探索者ギルドに連れられて直ぐにダンジョンに。何故ゆえにこうなった？
"ホマレ、ダンジョンはこういう外来モンスターがいるからね。外来モンスターはこのダンジョンのコアを狙ったりする輩もいるから発見次第、排除又はギルドに報告。これ大事だよ"
"あ、あのー、アイリさん？"
"んー、初めて見る外来モンスターだ。まあ骨の欠片でも持ち帰るか……《デューク》なら対処出来そうだけど無傷では済まされないだろうし"
"アイリさーん"
"あ、ごめん。どうしたのホマレ"
カッコいい鎧姿のホマレは素顔を見られるのはとても面倒らしくそんな格好をしてるとのこと。中二病ならそそられるカッコよさだね、じゃなくて！
"なんで私達、ダンジョンに？"
"ホマレのためだよ？"
"ここ、危険な階層じゃん。新人の探索者は入れない場所でしょ？なんで？？？"
"ホマレのためなんだよっ！"
"え、全くもって納得できない"
私のため、なのは本当なんだろうけどね。けど、ゲームとかなら序盤からクリア後でも苦戦しそうな場所じゃん。
しかも何かな、あの外来種？みたいた扱いの外来モンスター。ドラゴンのアンデツト！？と思ったらそれは頭部だけで、身体はムカデって……背筋ぞわぞわーってなったよ。まだカブトムシとかカイコガは大丈夫。爬虫類全般は好きだけど……。
"やっぱり実践あるのみ。頑張って強くならないと、またホマレの眼を狙う輩が襲ってくるよ。せめて眼の力を扱えるようにしないと"
"わかるよ、わかるんだけど過激すぎではぁ！？"
"ダンジョン内なら各階層の社務所もあるし、誰かに襲われる事もない。むしろダンジョン外よりか安全だよ"
ダンジョン、というより公認？登録ダンジョンの各階層には神社の社務所が配置されていて、そこにはギルド職員が在中している。巫や巫女の格好をしたギルド職員が探索者の素材運搬の連絡や治療、巡回をしているらしい。
"じゃ、この辺り広いから特訓を―――――――ぉ？"
「あ、あのっ！」
突然声をかけられてビクッとしてしまう。
"ふぅん……さっきの外来モンスターから隠れてたんだ。中々の隠密スキルだね"
因みにアイリとは会話ではなく、【念話】。アイリが、ダンジョン内の会話はモンスターが寄ってくる可能性があるからとのこと。私は使えないけど、アイリが私にパスを繋いだ？らしい。詳しくわからないけど。
それよりも、話しかけてきた人だ。
有名探索配信者とろたん。
地理の授業でダンジョンについての説明動画や講師としても活動している小中高の学生から大人気配信者。探索者ギルドでも宣伝もやっていて探索者向けの商品企画でアウトドアグッズの企業と連携をして販売しているとのこと。しかもダンジョンだけではなく、他の用途でも実用性が高い為に人気商品も多いとのこと。
実は私もファンなので話をした―――――――――
"ホマレ、少し黙ってて"
"え、なんで？"
"先にやることがあるから"
そう言うとアイリは私の前に立ち、警戒する様にとろたんを片手で停止させる。とろたんもアイリ(全身鎧姿)の停止に従わざる終えない。
するとアイリは、右人差し指で左腕をコツコツと何かジェスチャーで伝える。私もとろたんも「「？」」だったけど、直ぐに理解した。
「！ご、ごめんなさい！」
私と同年代か少し年上なのかな？慌ててとろたんはわちゃわちゃしながら左腕に付けられている危機？モニター？なんだろ、あれ。
"あれは探索配信者用のコメント閲覧モニター。それにメガネにも配信カメラがあるね。しかも起動しているから、配信中だったか"
"ぇ゛、私達配信されちゃってる？"
"まーそうだろうね。今下手に話さない方がいいでしょ"
"うん。その方がありがたい"
一応私も素顔が見られない様に面布で隠しているから大丈夫だけど、バレるのは不味い。個人的にも、その他にも。
「あ、あの……このまま一緒に出演とか―――――――あ、ダメ？そっか……」
即座にアイリはダメーっとジェスチャーで伝える。
どうやらコメント欄が賑わってるらしい。経緯からすればピンチだったところをアイリが助けたのだ。そりゃ、そんな展開を生配信中で起こってしまえば盛り上がるだろう。
"んー"
"アイリ？"
"目立ちたくないから、このままずらかろっかホマレ"
"いやでも、今みたいなモンスターがいたらとろたんさん危ないんじゃ"
"だよねー。とりあえず報告がてら外まで出るとするよ。はぁ……ホマレの特訓が"
本気で残念がってるアイリ。私のことを思ってのことなのは分かるけど、もう少し私に合わせた特訓にしてほしいな！私、運動は中の下だし！え、運動不足？そんなのしらなーい！
"さあ上に行くよ"
"あのっ、アイリ"
"どうしたの？"
アイリは忘れている。
私が一般ピーポーだということを。
そして、ダンジョンとかモンスターとかそういう戦いとかの縁が無かったことを。あとあのドラゴン骸骨ムカデって、恐怖以外に何があるのだろうか。
……つまり、何が言いたいかというと。
"あ、脚がすくんで、歩けない……あと、チビっちゃう"
"あー、うん。ボクに任せて"
この後、私はアイリにお姫様抱っこされながらこの階層の社務所へとろたんさんと同行するのであった。
お姫様抱っこ、恥ずかしかったです。あと、何とか間に合いました。
