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生と死の天使の箱庭の旅路  作者: 神無月てん
時の国
7/7

対策会議

「昨日はお疲れ。みんなのおかげで、この村を守ることができた。」


 次の日の早朝、クロとシロは冒険者協会の入った酒場に呼ばれた。そこにはアレックスとファーブルのほかにも、ニール達や他の冒険者も集っていた。

 ここの冒険者協会の長であるアレックスが話を続ける。


「今日集まってもらったのは、今後についてみんなと考えるためだ。」

「知らない人もいますので、まずは現状を確認しましょう。事の発端は一週間ほど前、採石場がゴブリンに襲撃されたところから始まります。数人が命を落とし、多くのけが人が出てしました。我々は数名調査隊を出すとともに、町の協会に一報を知らせる使者を送りました。」


 ファーブルがニールに視線を送る。その視線を理解し、ニールが話を引き継ぐ。


「俺たちは村に来る前、町の協会から依頼を受けてきた。実際は使者が町まで来ていなくて、定期報告も途絶えていた。だから、俺たちは村の様子を確認して来い、という依頼を受けていたんだ。」

「ということだ。この村はゴブリンたちに包囲されている可能性が高いと、俺たちは見ている。現状は危機的状況だといっていいだろう。君たちにはこの村のためにも、協力してほしい。」


 アレックスの言葉に、全員が大きくうなずく。


「まずは、救援要請を送りましょう。ニール、君たちに任せたいと思います。」

「俺たちですか。」


 ファーブルの言葉にニールが自信なさげに声をだす。


「ああ、道中襲われる危険が高い。だからある程度の実力のあるパーティーに任せたい。君たちの実力は、問題ないと思っている。」

「だが、俺たちはこの町に来る途中襲われ、シロとクロの助けがなければ死んでいた。」

「そうかもしれない。だが、依頼の件もある。だから、君たちがやるべきだと適任だと判断した。」


 アレックスは強い眼差しでニールを見つめる。


「分かった。引き受ける。」


 ニールは耐え切れずに視線を外して、返事をする。


「これを持って行ってください。」


 ファーブルが筒に包まれた書状を渡す。ニールが受け取ると、ニール達は酒場を後にした。


「さて、あとは調査に関してだが…。」


 アレックスの言葉が淀む。


「はい。ボクたちに任せて!」


 シンと静まり返った中、元気な声が響き渡る。手を挙げて声を出した主に、全員の視線が集まる。


「君に?」

「うん。ボクとクロに任せてほしいな。」


 シロは自信に満ちた表情で話す。


「ありがたい申し出ですが…。」


 ファーブルの言葉を、アレックスの手が遮る。

 アレックスは時間をかけて思案し、そして固く閉ざされた口を開いた。


「仕方ない。君たちにお願いしよう。」

「おい、アレックス。どういうつもりだ。」


 ファーブルが強い口調で訊ねる。


「いずれにせよ、早い段階で調査をしなければならない。彼女たちなら実力もある。ならば、任せるべきだろう。」


 アレックスは淡々と話す。


「だが、彼女たちは土地勘がありません。」

「そうだな。だから、条件を付ける。」


 アレックスは一度間を開ける。


「俺も同行する。」

「何を考えているんだ。」


 ファーブルの口調が一段と荒くなる。

 対するアレックスは落ち着いた口調で、淡々と話す。


「俺なら彼女たちを守ることができる。この辺りの土地勘もある。」

「現場の舵取りは、誰がとるんだ!」

「お前がいれば問題ないだろ。それに弟子たちもいる。俺が抜けたとしても、対処できるだろう?」


 アレックスはそうだろう、と言わんばかりに弟子たちに視線を向ける。

 その視線に、彼の弟子たちは少し自信気に頷く。その光景にファーブルは反論を諦め、ため息をついた。


「はぁ…わかりました。留守は俺が引き受けます。」

「決まりだな。防衛線の構築は任せたぞ。」


 アレックスは全員に視線を向ける。


「さて、一難去ったが、危機が去ったわけではない。心引き締め、誰も欠けないよう全員で協力して頑張ろう。」


 アレックスの締めの言葉に全員が頷き、この場は解散となった。


連続予約投稿は今日で終わりますが、もしかしたら来週も投稿できればなと思っています。

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