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うるさい

「ピック様、どれに致しますか?」


 いま、俺の前には多種多様の卵が置いてある。

 この卵達は全てが魔物の卵である。

 しかも、全てがcランク以上の魔物の卵である。Cランクとは魔物の危険度を冒険者ギルドが査定したランクである。E〜Aまであり、Aに近づくほど人に対して危険であるとされている。

 そんな中でのCランクとは幼体でも一般人が抵抗できずに死ぬレベルであるらしい。

 ちなみにこれはさっき執事に教えられた事である。

 そもそも、何でそんな危険な卵達が俺の前にあるのか?それはランクの話と共にされた。

 この家では一歳の誕生日前に魔物の卵を選び、生涯を共に生きていく事を伝統にしている。魔物の卵にしている理由が、一緒に戦えて主人同じ以上生きる生物が魔物以外この土地に昔からいなかったからである。


「おすすめある?」


 言い忘れたが、誕生からもうすぐ一年で話せるようになった。

 つまり、まともに話せるようになったのは最近である。

 


「それを教える事は出来ません。これは己の感覚のみで選ぶものなのです。」


 感覚ね。この体の性能は良いから。

 この卵の中の危険度はなんとなく分かる。多分、Bランクが10個に、Aランクが3個、他はCランクと言ったところかな?

 同い年の妹も俺の後に選ぶらしいが、妹はどれを選ぶのかな?妹は勘が悪いからな、多分嫌いな虫系や爬虫類系を選びそうだな。


「これか、これ。」


 とりあえず、2個選んでみた。

 他は要らないと、執事に返したところ、執事が驚いていた。

 それはそうだ。この中で二つしかない爬虫類系と虫系の魔物の卵である。


「一人で悩んでおくから。先にアンの方に持っていって。」


 話から分かる通り、アンとは俺の妹の名前である。


「優しいですね。」


「何のことかな?」


 アンがこれらを嫌いなのは、一回驚いて虫を壁ごと壊した事から屋敷中に知られている。


「分かりました。それでは失礼致します。」


 執事はそう言うと、俺の部屋から出ていった。


「さて、どうするかな。」


 俺にとってはどれでも良いんだけどな……


 そんな事を考えていると、ピキッという音が聞こえた。


「うん?」


 音が聞こえる方を見ていると、片一方の卵が割れてそこから鋭い眼で覗いていた。


「あれ?割れた?」


 俺は選んでいる間に孵化しないように、細工していると言う話だったんだが、この卵には仕掛け忘れていたのかな?

 そんな事を考えていたら、卵が完全に割れた。


「あっ!食べちゃった……」


 卵から出てきた魔物の幼体は隣に置いていた卵を一瞬にして丸呑みにした。


「ヘビかな?」


 魔物の幼体はヘビに似ている姿をしていた。卵を食べた事で胴体が膨れている。産まれたばかりなのに成人男性の腕ぐらいの大きさがある。

 足のないトカゲもいるって前世で聞いた事があるから。もしかしたら、ヘビじゃないかもしれないが、今はどうでもいい。

 とりあえず、卵だけでは満足しなかったのか?俺を食べようとしているこのヘビ(仮)をどうする?


「とりあえず、このまま、締め落としておくか…」


「シャッシャーーーー!!!!」


「うるさい」


「シャッ!…………」


 あまりにもうるさかったので、力加減を間違えてしまった…………死んではいないな…セーフ。


「ピック様、何か鳴き声が聞こえたのですが?どうさかれましたか?」


 卵から魔物が産まれた事を知らない通りすがりのメイドはドア越しに聞いてきた。


「問題無い、卵から魔物が産まれただけだ。」

 

「そうですか………いや!問題ありですよ!大丈夫ですか!!」


 メイドが慌てて部屋に入ってきた。

 

「ほら、問題無い。」


「キャーーー!!!」


 新人だと思われるメイドは俺の手にある魔物に悲鳴をあげて気絶した。


 全く、さっきからうるさいな。

 メイドの悲鳴を聞いてドタバタと、こちらに来る大勢の足跡が聞こえた。

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