親友の女の子が中二病になりました。
ども、石田 成美って言います。高校生二年生です。
私の友達に神田 直子っていう、黒髪ツインテールの容姿端麗、何事も如才なくこなす巨乳美少女が居るのですが、ある日学校に来た時、右目に白い眼帯をして来たので、心配になった私は彼女に理由を聞いてみました。
「どした?右目怪我したの?」
「わ、私に近寄らないで!!」
突然大声で怒鳴りつけられ、ビクッとなる私。本当に直子どした?
「私の右目には邪竜が封印されているの・・・今はこの眼帯で抑えているけど、いつ封印が解かれて邪竜が暴れ出すか分からないから・・・私には近づかないで。」
あれ?アイタタ。直子がアイタタ。どした?この子。
「直子、どうしたの?よく見たら左手に包帯も巻いてるじゃん。」
「左手にも邪竜が封印されているの!!」
邪竜二体目かよぉ。あとイチイチ叫ばないで、皆こっち見てるから、私まで恥ずかしいから。
もしか、もしかしたら、この子。
「目覚めちゃった?中二病?」
「いや、私はただこの世の深淵を覗いてしまった哀れな迷い子よ。」
「そっかぁ、じゃあ人生の迷子センター行こうか。とりあえず、女子トイレ行こうよ。」
これ以上、教室で話すのは危険すぎる。場所を変えよう。
てなわけで無理矢理に直子をトイレに連れ出しました。
「で、何で中二病に目覚めたの。」
「・・・休みの日に転生モノのアニメ見てたらハマっちゃって、気づいたらこんなことに。」
今の直子はいつもの直子です。どうやら中二病になりたてなので波があるようですね。それとも二重人格設定か。
「黒衣の天使、地獄の業火とか訳の分からない単語を作り出してはニマニマして、いつも組織の人間に狙われている妄想に浸ってしまうのよ。ねぇ、成美。私おかしくなっちゃったのかな?」
「あー大丈夫よ。深夜アニメとか見てたら誰でも通る道よ。直子は影響されやすい子だったのね。」
「確かに闇の波動を感じて、私の前世の記憶が呼び起こされて・・・うへへ♪」
・・・これは重症だわ。その内マントとか羽織り出しちゃうわね。
「はっ!?・・・また私変な事を口走ったわ。どうしよう!!こんなんじゃ、葉村先輩に嫌われちゃう!!」
泣き始めた直子、しかし、私は今出たワードが気になって仕方ありません。
「葉村先輩?直子は葉村先輩のこと好きだったの?」
葉村先輩とは三年生のサッカー部主将で、イケメンで勉強も出来る、我が校のアイドル的存在です。
「シクシク・・・うん、それでこの間、葉村先輩から告白されて付き合い始めたんだけど、こんな病魔に侵された体じゃ嫌われちゃうよね。」
・・・葉村先輩が直子に告白?・・・へぇ。
私は直子のことを第一に考え、心を鬼にして、こうアドバイスしました。
「別れた方が良い。中二病って伝染するから。」
「そ、そうなの!?」
「そう、そうよ。嫌でしょ。葉村先輩が『吾輩は10万飛んで17歳だ』とか言い出したら。」
「い、嫌すぎる!!」
「そう、だから一旦距離を置いて、直子は中二病を治すことに専念しようよ。私も協力するから。」
「うぅ・・・そうだよね。別れたほうがいいよね。こんな混沌に魅入られし体の私は葉村先輩に相応しくないよね?」
私は友達として震える直子の体を抱きしめた。
「大丈夫よ。すぐに良くなるから。心配しないで。」
「うぅ・・・ありがとう成美!!流石我が盟友!!」
渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない、渡さない。
葉村先輩は渡さない♪