〜奪うもの、奪われるもの〜
誰にでも、夢はあったはずである。これは、万人の夢を食い続けた一人の英雄の物語である。
僕の名前はセージ。そして、ここは、始まりの街「アウラ」である。僕は、ここでしがない冒険者しているが、今だに大きな稼ぎがなく、その日暮らしをしている。
「おい、セージ!ゴブリンでも狩りに行こうぜ!!」
声をかけてきたのは、昔からの親友であるトールであった。ゴブリン狩は、冒険者の中でも初歩中の初歩であるため、稼ぎはほとんどない。つまり初心者用のクエストということだ。
「またゴブリンかよ、、、そろそろ上のランクに挑戦してみないか?」
そう俺が提案すると
「お前も俺もまだレベル1なんだぞ。レベルが上げて強いスキルがないと、ゴブリンにすらやられちまうぞ」
確かにトールの言うとおりである。だが、冒険者をやっているからには、上を目指したい。
今の俺の能力値は、レベル1 力5 速さ4 体力4 魔力0 運10 スキルなし 称号???
「レベルを上げるためには、より強いモンスターを倒す必要があるんだ。一回だけでいいかから、違うクエストを受けてみようよ!!」
「仕方ねーな。それじゃウルフ退治でもやってみるか。」
トールはそう言うと、手慣れた手つきで受付にクエスト受領証を提出した。
この選択が大切なものを失うこととあるとは、思いも知らずに、、、
「アウラの森の奥は、やっぱり不気味だなぁ」
そうトールを尻目に、俺は一つの感動を覚えていた。
新しい世界がひらけた感じである。
「これこそが冒険。俺は冒険者として生きていくんだ!!」
「おーい!セージ!!一人で生き込んでいるところ悪いが、ウルフが一体現れたぞ!」
あれがウルフか、、、
思ったよりも小さいし、楽勝だな。
トールは狩人の称号を持っているため、弓矢を装着した。対して俺は、称号???となっているため、何の装備をして良いかわからず、大きめのナイフを装備していた。
「よし、トール。ウルフの脚に向かって矢を放ってくれ!!怯んだすきにナイフで首を突き刺してやる。」
「分かった!任せろっ」
トールが放った矢は見事にウルフの前脚に突き刺さった。
その隙に、首にナイフを突き刺すことに成功した。
「やった!!ウルフだって楽勝じゃないか!!なあ、トー、、、」
後ろを振り返ると、トールの後ろにウルフの大軍が、、、、
「セージ!!逃げるぞ!!」
トールはそう言い放つと、もしもの時のために用意してあった煙幕玉を下に投げつけ、ウルフの視界と嗅覚を奪うことに成功した。
狩人であるトールは逃げ切ることに成功したが、俺の称号は???、、、
特別な能力がないため、煙幕に引っかかってしまった。
「ここはどこだ、、トール?いたら返事をしてくれ」
聞こえるのは、ウルフの息づかいだけだ、、、
煙幕玉のおかけで、用心深くなっているウルフは1体のみ目の前に現れ、その他のウルフたちは森の中に隠れている。
「ちくしょう。しっかりとトールの話を聞いておけばよかった、、、」
今になって後悔しても遅い。
今を生きるためには、目の前の相手を1体ずつ倒していくしかない、、、
ナイフを逆手に構え、ウルフと対峙する、、、、
ウルフが飛び込んできた!!
俺は精一杯のカウンターを仕掛ける。
運よくウルフの首元にナイフが刺さったが、ウルフの勢いは衰えず、そのままセージの右腕に噛みついた。
「いてぇ、、、でも、引いたらやられる、、、」
そう決心した俺は、ナイフをそのまま押し込み、ウルフの首を刈ることに成功した。
ピロピロリーン
「ん?何の音だ」
変な音が、頭の中に響いた。もしかして、、、とステータスを確認すると
「レベル2、、、よっしゃ!レベルが2になった!」
レベルは1つ上がるだけで、強さが倍近く上昇すると言われている。最強の冒険者でもレベル20とのこと。俺は1つ前進したと言うことだ。
しかし、気づいてしまった。先ほど噛まれた右腕がピクリともしないと言うことに、、、
怪我により冒険者を引退した人はたくさんいる。そして、怪我により命を落とした人はもっとたくさんいる、、、、
まだ9体残っているウルフが、餌として俺を見てくる。
嫌だ、、、こんな死に方じゃ、、、俺は生きて、この世界に名を残すんだ。
そう決意した次の瞬間
「条件をクリアしました。称号夢食い人が適応されます。」
「何だ今の声、、、夢食い人、、、いったいどんな能力なんだ、、」
すると、先ほどウルフを倒した際の映像がフラッシュバックされた。
俺の名前はアリー。一人前のウルフになって、一族の長になるんだ。
なんだか弱そうな餌がいるぞ。うわ、煙幕か、、、卑怯な、、、、
あれ、餌が一つ残っている。
俺が食べてやる。
な、ナイフが首に、、いや、このまま噛み切ってやる、、
ナイフが奥に、、チキショウ。こんな雑魚にやられるなんて、、、
「ステータスを獲得しました。スキル“超回復”を取得しました」
倒した相手の夢を見た。そして倒した相手の能力をそのまま食ったのか、、、
イケる。今の能力なら、9体のウルフだって、、、、
気がついたら、周りは血の海だった。
セージ レベル2 力50 速さ80 体力40 魔力10 運30 スキル超回復、探索、鉄の袋、威嚇 称号夢食い人
これが今の俺の能力、、、、レベル3よりも強いかもしれない。
これなら、俺も夢を追える!!!
そういえば、トールは大丈夫かな、、、、
とりあえず、街に戻るか。
初めて書いてみました。
優しいコメント待ってます。