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硝子の肖像  作者: 楓 海
7/24

総て良好

 読んで戴けたら嬉しいです。

 オレたち三人はビールを買って店を出ると店の壁に(もた)れてビールを飲んだ。


 ジールが言った。


「取り敢えずレコーディングだな」


「レコーディング?! 」


 オレはビールを吹き出しそうになった。


 ノヴァは黙々とビールを飲んでいる。


 ジールは瓶を腕に挟んでタバコに火を点けながら言った。


「とにかく手当たり次第ラジオ局に行って売り込むんだ

 『サプレス』はアメリカ人のハートをぐっと掴む最高の楽曲だ 

 いいアレンジを付ければ、もっといい曲になる

 あちこちのラジオ局でかけて(もら)

 勿論、その間レコード会社にも売り込む」


 オレは根本的な疑問をぶつけた。


「レコーディングの金はどうするの? 」


 ジールは言った。


「銀行強盗でも計画するか」


 オレは肩を(すく)めた。


「話になって無い

 目先の事に囚われて刑務所入りはごめんだな

 オレには、そんな無駄な時間は無い」


 ジールは笑った。


「オレに任せとけ」


「あてでもあるの? 」


 ジールは吸っていたタバコを地面に落とすとビールを(あお)って、オレの肩に手を置いた。


「リュジー、オレはお前の才能と度胸と悪運に賭ける

 それも面白そうだ」


 オレはジールの眼を見詰めた。


「処でリュジー

 バンドの名前はどうする? 」


「ずっと決めてたんだ

 レベルアゲインスト」


「反逆する…………か………………

 うん、悪くない」


 オレはジールの顔を見た。


「問題無い

 総て良好だ」


 オレはノヴァを見た。


 ノヴァはこちらを見て言った。


「総て良好だ」




 放課後、シヴィルと秘密の場所でオレは毎日、とにかく曲を書いた。


 永遠の一発屋なんて呼ばれるのはごめんだ。


 『サプレス』に負けない、いい曲を書く必要があった。 


 オレが小難しい顔で曲を書いている隣で、シヴィルはオレの邪魔をしないように、スケッチブックに絵を描いている。


 こうしていると、オレとシヴィルに離れていた時間が存在したのが嘘に思えて来る。


 余りにも真剣にシヴィルが絵を描いているから、オレは思わず言った。


「シヴィル、何を描いているの? 」


 シヴィルは顔を上げると悪戯(いたずら)っぽい笑顔で言った。


「ワタシの王子様」


 オレは焦った。


「王子様あ? 」


「ほら」


 シヴィルはスケッチブックをひっくり返してオレに見せた。


 (うつむ)いて真剣な顔でギターを爪弾くオレがそこに居た。


「シヴィルぅ………………」


 オレはデレデレになって笑った。


「ねえ、シヴィル

 今夜、家を出られるかい? 」


「どうして? 」


 シヴィルは小首を(かし)げた。


「今夜、練習と打ち合わせがあるんだ

 シヴィルにもオレの最高の仲間を紹介したい」


 シヴィルは暫く考え込んでから言った。


「女の子が迎えに来てくれたら、行けると思うけど……………」


「女の子かあ…………………」


 オレも考え込んだ。


「解った、何とかするよ」






 読んで下さり有り難うございます。

 

 今日、初めてデーヴィッド・ボウイーのアルバム、ジギースターダストを聴いたのですよ。

 この頃のデーヴィッド・ボウイーのアルバムはまともに聴いた事無くて、時代の先を行く男のジギースターダストは素晴らしかったです。

 五十年前の音とは思えない、今聴いても古さを感じませんでした。

 さすが、ボウイー様。

 ジャケの出で立ちには意表を突かれましたが。笑

 でも、ボウイー様美しいですう。

 この作品はアメリカが舞台なのですが、実は私、ブリティッシュロック派なんですよ。

 未だにイギリスのロックには胸、ときめきます。

 ´90年代はブリットロックと言うみたいですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この作品。楓海様の新たな一面を知ることができて楽しいです。 煙草を地面に落とすとかは今は駄目ですけど、この時代の一場面としてはかっこいいですね。
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