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硝子の肖像  作者: 楓 海
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シヴィルの噂

読んで下さったら嬉しいです。

 オレは十七になっていた。


 シヴィルと同じ高校へ、卒業まで残り一年余りを通うことになった。


 教室を探してうろうろしているとブロンドの長い癖っ毛と緑の瞳をした女の子が通り過ぎようとした。


 それがシヴィルだとオレには直ぐに解ったけど、シヴィルはオレに気付いて無いようだった。


「シヴィル……………」


 シヴィルは伏せていた眼をこちらに向けてオレを見た。


 首を傾げオレを見詰めたが、その眼は次第に大きく見開かれ、涙と共に笑顔になった。


「リュシアン………………」


 オレは笑って言った。


「帰ったよ、シヴィル…………………」


 笑っているのにシヴィルの瞳は暗く沈んでいる。


 それはアレがまだ続いている事を物語っていた。


「シヴィル、林のあの場所憶えてる? 」


「ええ、憶えてる」


「放課後、待ってる」


 シヴィルは微笑んだ。


 オレはホッとして笑った。



 授業中、オレは久し振りに逢ったシヴィルに何から話そうかと、そればかり考えていた。


 さっき逢った限りではシヴィルは変わってしまった様には見えなかった。


 それでもオレは不安だった。


 その不安は余りにも漠然としていて表現し難い。


 オレはあの頃からシヴィルに対する気持ちは全く変わっていないけど、シヴィルはどうだろう?


 子供の時の様に、事が単純に運んでは行かない気がしていた。


 授業が終わって教室を移動しようと廊下に出ようとすると、二人の女の子が横に並んで来た。


「ハイ、わたしはウージェニーよ

 こっちはナオミ」


 ナオミはオレを見て手を上げた。


「ハイ」


「やあ」


 ウージェニーが言った。


「さっきシヴィル・ウィスフィールドと話してたわね

 余計なお世話かも知れないけど、彼女にはあまり近付かない方がいいよ」


 本当に余計なお世話だ。


「どうして? 」


 ナオミが言った。


「彼女、時々おかしくなるの

 可なり神経がヤバい事になっているんじゃない

 クスリをやってるって噂もあるし」


「そうなんだ、有り難う

 でもシヴィルはオレの理想を絵に描いた様な女の子なんだ

 そんな、ほんとか嘘か解らない様な噂では引き下がれないな

 もし噂が本当なら更正させなきゃ」


「物好きね」


 ウージェニーは肩を(すく)めて、ナオミと行ってしまった。


 おかしくなるってどう云う事だろう?


 クスリに関してはお話になって無い、人の噂なんていい加減なものだな。


 長い間離れていたって、シヴィルがそんなものに手を出す訳が無いのは歴然としている。


 おかしくなる…………………。


 それが妙に引っ掛かった。








 読んで戴き有り難うございます。


 最近ですがYouTubeで、よみいさんと云うピアニストさんを観ました。

 よみいさんのアレンジセンスに魅せられ、よみいさんのカッコよさに魅せられ、すっかりファンになってしまいました。

 あの音数の多い弾き方はジャズの影響なのでしょうか❔

 ピアノ弾いてるよみいさんは麗しすぎます❗

 CDだしてるのかなあ❔

 さすがにDVDは出して無いだろうなあ。

 よみいさん、あなたは芸術家だ。

 ああ、麗しい………………。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 世界観を楽しんで書いていらっしゃることが伝わってきます。 次回が楽しみです。
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