ノーコメント
読んで戴けたら倖せです。
シヴィルにとって性的な事は嫌悪でしかない。
シヴィルは両手で顔を覆って泣きながらオレに謝った。
何度も言った。
「ごめんなさい…………………
ごめんなさい…………………」
と。
多分、この先もオレとシヴィルは一生身体で愛し合う事はできないだろう。
それでもオレはシヴィルを愛する事を止める事はできないだろう。
だからオレは、泣きながら何度も謝るシヴィルの額に口付けた。
「大丈夫だよ、シヴィル
オレが欲しいのは、シヴィルとのセックスじゃ無いから………」
セックスと云うものを知った時から解っていた事だったかも知れない。
シヴィルとオレは身体で結ばれる事は決して無いのだと。
オレはシヴィルが安心するまで話し続けた。
他愛無い話を……………。
肩を抱いているオレの腕の中でシヴィルはなかなか泣き止んでくれなかった。
「いいんだよ、シヴィル
それでもオレはシヴィルを愛してる
自分でもどうしようも無いほど愛してるんだ」
シヴィルは、やっぱり泣き止む事ができなくて繰り返した。
「ごめんなさい、リュシアン……………
ごめんなさい………………
大好きなのに………………
リュシアンを愛してるのに……………………」
どう慰めていいのかお手上げだった。
「シヴィル、お願いだよ
泣き止んで
オレ、凄く悪い事した気分だ」
「リュシアンは悪く無い
悪いのはワタシ……………………」
『違う
シヴィル、悪いのはキミのパパだ』
そう言いたかったけれど、オレはその言葉を飲み込んだ。
結局シヴィルは泣き寝入りし、オレは慰めるのに疲れて眠ってしまった。
ドアをドンドン叩く音で眼が覚めた。
「リュジー!
流星群降らしてる場合じゃねえぞ!
朝だ! 」
寝ぼけ眼で出るとジールもノヴァも実に晴れやかな顔で、酒の匂いをプンプンさせていた。
夕べは遊び捲ったんだ。
お盛んな事だ。
「少し待って、今支度するから」
「なんだ、その冴えない顔は
大統領の暗殺に失敗したか? 」
「ノーコメント」
オレはドアを閉めた。
振り返るとシヴィルは不安そうな顔でオレを凝視していた。
オレは笑って言った。
「二人共、夕べは羽目を外し捲ったみたい」
オレは服を着替え始めた。
シヴィルも無言でバスルームに行き着替えた。
どう声を掛けていいものか……………………?
気にするなと言っても、夕べのあの様子じゃ無理だろうな。
オレたちがトラックに乗り込むとジールもノヴァも黙った。
相当気まずい雰囲気を運び込んでしまったらしい。
そうだろうな、シヴィルは泣き腫らした眼をウサギみたいに真っ赤にしている。
スタジオに入る前に途中のドラッグストアで氷や酒を買いにオレとジールが降りた。
酒を選びながらジールが言った。
「何があったんだ? 」
「上手く行かなかった」
「そうか……………」
ジールはその一言だけで状況を察してくれたみたいで、それ以上は何も言って来なかった。
とにかくレコーディングを終わらせなくちゃ……………。
スタジオに入るとシヴィルは物珍しそうにレコーディングの作業を見守ったり、時々絵を描いたり、小説を読んだりして過ごしていた。
レコーディングは困難を極め、組んだ予定通りには進まず、仕方なくスタジオに泊まり込んで作業を夜通し進めた。
やっと終わった頃には、みんな寝不足でヘロヘロになっていた。
それでも期間内で、納得が行くものに仕上がり、かくしてレベルアゲインストのデビューシングルは誕生した。
オレたちは大満足で祝杯を掲げた。
一度モーテルで仮眠を取ってからアナザーシティーを発つ事にした。
読んで下さり誠に有り難うございます。
小説書く方は読むのも得意なんだろうなって思うのですが、私の場合活字が苦手で。(´Д`|||)
私、絵も描きますが、映像を文章にする事はできるのに、文章を絵にする事はできないんですよ。
もの知らな過ぎるんでしょうね。笑
自分でもよく思います。
これでよく小説書けるよなあって。笑




