悪い娘
読んで下さると嬉しいです。
その日の放課後、オレとシヴィルはいつもの様に二人の隠れ場所で逢った。
「どうしたの?
今日は曲書かないの? 」
シヴィルはオレの前に屈んだ。
オレは照れながら言った。
「今日はギターじゃなくてシヴィルを抱いていたい」
シヴィルは笑って肩を竦め、オレを背に座ってオレの手を自分の腹に巻き付けた。
「こう? 」
オレはそのままシヴィルを抱き締めた。
「うん………………」
オレはシヴィルの頬に頬を摺り寄せた。
シヴィルは笑顔をこちらに向けた。
「どうかしたの? 」
「どうかしなきゃ、こうしちゃダメ? 」
「そんな事無いけど…………………」
シヴィルはキラキラした笑顔でオレをずっと見詰めるから、オレはなんだか悪い事をしている様な気になった。
「この間はごめんね
怖い思いさせて」
「………………ワタシこそ、ごめんなさい」
シヴィルは消え入る様な声で言って俯いた。
オレはシヴィルを抱き締め直した。
「来月、レコーディングの為に四日間スタジオがあるアナザーシティーに行くんだ」
シヴィルはしゅんとして言った。
「そうなの………………」
「シヴィルも連れて行きたい」
「え? 」
「実はもう、シヴィルを連れ出す計画を進めてる」
シヴィルはオレを振り返った。
「リュシアン……………? 」
「シヴィルも知ってるだろ?
レジーナ・フォード」
シヴィルは笑って言った。
「知ってる
いつも自信に溢れた魅力的な娘ね」
「レジーナと話は付いてるから、彼女と友達になって欲しいんだ」
シヴィルは驚いて身体をこちらに向けた。
「ワタシがレジーナと?! 」
オレは不安になって言った。
「いや? 」
シヴィルは顔を輝かせ、興奮して言った。
「いいえ、素敵!
一度彼女と話してみたかったの!
だってレジーナは魅力的だもの!
でも、勇気が無くて、ずっと話し掛けられなかった」
シヴィルは急に不安な顔をした。
「でもワタシ、上手く話せるかな
話がついてるって……………」
シヴィルはオレを見た。
「オレの計画を話すとね
市長の娘のレジーナがキミの家に二、三度何人かの友達と遊びに行く
シヴィルとレジーナは超仲良し
そして、テスト勉強するって名目で、四日間レジーナの家にお泊まりする事をレジーナからウィスフィールドに話して貰うんだ
いい振りこきのウィスフィールドは市長の娘のレジーナの頼みは断れない」
シヴィルは眼を伏せて言った。
「パパをそんな風に言わないで…………………」
「シヴィル…………………」
確かにどんな奴だろうと父親を悪く言われるのは気分が悪い。
そう、昔からシヴィルはウィスフィールドを悪く言った事は無かったし、人の悪口も言った事が無い。
それをステディーのオレが言ったら、シヴィルには辛いだろうな………………。
「ごめん、シヴィル」
シヴィルは眼を伏せたまま首を振った。
「とにかく、その四日間シヴィルはオレと一緒ってわけ
どう?
できる? 」
シヴィルは俯いて言った。
「何だか、パパを騙すのは嫌だな………………」
オレは焦った。
オレ、シヴィルの中でウィスフィールドに負けてるの!?
オレの中に大きな暗雲が垂れ込めた。
シヴィルは暫く考え込んでから言った。
「でもワタシ、リュシアンと一緒に過ごしたい
パパには申し訳ないけど………………」
オレの中の暗雲は、その言葉ですっかり振り払われた。
「それじゃあ…………」
シヴィルは、はにかみながら言った。
「レジーナとお喋りできる機会を有り難う
リュシアン」
オレは思い切りシヴィルの頬にキスして奇声を上げた。
「イャッホウッ!!」
思い切りシヴィルを抱き締めると、シヴィルはオレの首に腕を回した。
「ワタシ、リュシアンのせいですっかり悪い娘ね」
「オレは悪い娘のシヴィルに夢中だけどね
もっと悪い娘にしたいくらいさ」
シヴィルは身体を離すとオレを見詰めて、柔らかな笑みを浮かべて言った。
「もっと悪い娘になりそう」
読んで戴き有り難うございます。
アナザーシティーって本当にアメリカにあるんでしょうかね⁉️
一応設定では、アメリカのどっかの州のどっかの田舎街なのです。
その辺つかいつも、いい加減です。笑
先日、改稿についてうかがいましたが、超長編の「チャージオン~光らせたい男と不器用な女の話」を完結された水渕成分さんから良い情報を戴いたんです。
水渕成分さんには、本当に毎度毎度凄くお世話になっていて、今回も毎回作品読んで感想を戴いてるんですよお。
凄く勉強家で、こんな言い方すると失礼かもですが頭がとてもいい方で、だけどそれを鼻にかけたりしない優しい方で、それが作品にも滲みでていて、
魅力的な作品を続々発表されてる方なんです。
「チャージオン」初めて読んだ時、「うわー、こんな頭のいい人居るんだーぁ」って圧倒されたんですよ。
なのに、今連載中の「異世界から来た女王蜂様は働き方改革を断行します」では、卓越したギャグの連発で、笑いっばなし。
他にも、優れた短編を続々と発表されてます。
とても明るい方で、作品も明るくてほっこりタイプ。
あ、返信で言い忘れました。
水渕さん、いつも有り難うございます❗
「チャージオン」の改稿版、現行もまだ読み終わってませんが、改稿版も楽しみにしてます❗
お身体大事に頑張って下さい❗
私も負けない様に頑張ります❗




