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硝子の肖像  作者: 楓 海
11/24

悪い娘

 読んで下さると嬉しいです。

 その日の放課後、オレとシヴィルはいつもの様に二人の隠れ場所で逢った。


「どうしたの?

 今日は曲書かないの? 」


 シヴィルはオレの前に屈んだ。


 オレは照れながら言った。


「今日はギターじゃなくてシヴィルを抱いていたい」


 シヴィルは笑って肩を(すく)め、オレを背に座ってオレの手を自分の腹に巻き付けた。


「こう? 」


 オレはそのままシヴィルを抱き締めた。


「うん………………」


 オレはシヴィルの頬に頬を摺り寄せた。


 シヴィルは笑顔をこちらに向けた。


「どうかしたの? 」


「どうかしなきゃ、こうしちゃダメ? 」


「そんな事無いけど…………………」


 シヴィルはキラキラした笑顔でオレをずっと見詰めるから、オレはなんだか悪い事をしている様な気になった。


「この間はごめんね

 怖い思いさせて」


「………………ワタシこそ、ごめんなさい」


 シヴィルは消え入る様な声で言って(うつむ)いた。


 オレはシヴィルを抱き締め直した。


「来月、レコーディングの為に四日間スタジオがあるアナザーシティーに行くんだ」


 シヴィルはしゅんとして言った。


「そうなの………………」


「シヴィルも連れて行きたい」


「え? 」


「実はもう、シヴィルを連れ出す計画を進めてる」


 シヴィルはオレを振り返った。


「リュシアン……………? 」


「シヴィルも知ってるだろ?

 レジーナ・フォード」


 シヴィルは笑って言った。


「知ってる

 いつも自信に(あふ)れた魅力的な()ね」


「レジーナと話は付いてるから、彼女と友達になって欲しいんだ」


 シヴィルは驚いて身体をこちらに向けた。


「ワタシがレジーナと?! 」


 オレは不安になって言った。


「いや? 」


 シヴィルは顔を輝かせ、興奮して言った。


「いいえ、素敵!

 一度彼女と話してみたかったの!

 だってレジーナは魅力的だもの!

 でも、勇気が無くて、ずっと話し掛けられなかった」


 シヴィルは急に不安な顔をした。


「でもワタシ、上手く話せるかな

 話がついてるって……………」


 シヴィルはオレを見た。


「オレの計画を話すとね

 市長の娘のレジーナがキミの家に二、三度何人かの友達と遊びに行く

 シヴィルとレジーナは超仲良し

 そして、テスト勉強するって名目で、四日間レジーナの家にお泊まりする事をレジーナからウィスフィールドに話して(もら)うんだ

 いい振りこきのウィスフィールドは市長の娘のレジーナの頼みは断れない」


 シヴィルは眼を伏せて言った。


「パパをそんな風に言わないで…………………」


「シヴィル…………………」


 確かにどんな奴だろうと父親を悪く言われるのは気分が悪い。


 そう、昔からシヴィルはウィスフィールドを悪く言った事は無かったし、人の悪口も言った事が無い。


 それをステディーのオレが言ったら、シヴィルには辛いだろうな………………。


「ごめん、シヴィル」


 シヴィルは眼を伏せたまま首を振った。


「とにかく、その四日間シヴィルはオレと一緒ってわけ

 どう?

 できる? 」


 シヴィルは俯いて言った。


「何だか、パパを(だま)すのは嫌だな………………」


 オレは焦った。


 オレ、シヴィルの中でウィスフィールドに負けてるの!?


 オレの中に大きな暗雲が垂れ込めた。


 シヴィルは(しばら)く考え込んでから言った。


「でもワタシ、リュシアンと一緒に過ごしたい

 パパには申し訳ないけど………………」


 オレの中の暗雲は、その言葉ですっかり振り払われた。


「それじゃあ…………」


 シヴィルは、はにかみながら言った。


「レジーナとお喋りできる機会を有り難う

 リュシアン」


 オレは思い切りシヴィルの頬にキスして奇声を上げた。


「イャッホウッ!!」


 思い切りシヴィルを抱き締めると、シヴィルはオレの首に腕を回した。


「ワタシ、リュシアンのせいですっかり悪い娘ね」


「オレは悪い娘のシヴィルに夢中だけどね 

 もっと悪い娘にしたいくらいさ」


 シヴィルは身体を離すとオレを見詰めて、柔らかな笑みを浮かべて言った。


「もっと悪い娘になりそう」










 読んで戴き有り難うございます。

 

 アナザーシティーって本当にアメリカにあるんでしょうかね⁉️

 一応設定では、アメリカのどっかの州のどっかの田舎街なのです。

 その辺つかいつも、いい加減です。笑


 先日、改稿についてうかがいましたが、超長編の「チャージオン~光らせたい男と不器用な女の話」を完結された水渕成分さんから良い情報を戴いたんです。

 水渕成分さんには、本当に毎度毎度凄くお世話になっていて、今回も毎回作品読んで感想を戴いてるんですよお。

 凄く勉強家で、こんな言い方すると失礼かもですが頭がとてもいい方で、だけどそれを鼻にかけたりしない優しい方で、それが作品にも滲みでていて、

 魅力的な作品を続々発表されてる方なんです。

 「チャージオン」初めて読んだ時、「うわー、こんな頭のいい人居るんだーぁ」って圧倒されたんですよ。

 なのに、今連載中の「異世界から来た女王蜂様は働き方改革を断行します」では、卓越したギャグの連発で、笑いっばなし。

 他にも、優れた短編を続々と発表されてます。

 とても明るい方で、作品も明るくてほっこりタイプ。

 

 あ、返信で言い忘れました。

 水渕さん、いつも有り難うございます❗

 「チャージオン」の改稿版、現行もまだ読み終わってませんが、改稿版も楽しみにしてます❗

 お身体大事に頑張って下さい❗

 私も負けない様に頑張ります❗



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― 新着の感想 ―
[良い点] シヴィルには外の世界を知ってもらいたい気がします。 外の世界を知ることで良くない方向に行く人もいますが、彼女の周りの人を見る限り、大丈夫だと思います。 [一言] 褒め過ぎですー。 へにゃへ…
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