第五話 勧誘
「やっぱ無理か!」
アンは死んだ仲間を生き返らせようとしていた。
しかし、こっちのゲームでは。
そもそも死なないし。
あっちのゲームでは死んだ仲間は生き返らないシステムなので。
どうする事も出来ない。
そもそも生き返らせたところで勝ち目は薄い。
「それでも生き返って欲しかったけど!」
アンは泣かない。
「仲間を補充するしかないわね!」
アンは闘技場に隣接する酒場で仲間を募る事にした。
しかし、なかなか。
アンは仲間を加える事はなかった。
何度か声をかけられたが、全てアンは断った。
「今日は無理かも!」
アンが諦めかけた時。
二人の女戦士が酒場に姿を現した。
「あの二人!」
そう。
それはアンの探していた人物だった。
こっちのゲームは詳しい中身までは知らない。
何故ならプレイしていないし、興味も無いから。
知っていたのはパッケージに描かれていた闘技場と。
ついでに貰った技が載っていたハンドブック。
そしてパッケージに描かれていたキャラクターだった。
今入って来た二人は間違い無くパッケージに描かれていたキャラクターだった。
ちなみに先の戦いでは9連撃を出したジェイミーもパッケージキャラだ。
「いける!」
「この作品はよく解んないけど!」
「パッケージキャラはメインキャラに決まってる!」
「この二人を仲間にすれば!」
「絶対勝てる!」
アンは二人が席に着くやいなや。
早速交渉を始めた。
「私が女王になる為に力を貸して欲しいんだけど!」
「条件は?」
「なんなりと!」
「じやあ、女王の座をちょーだい!」
二人組はアンをからかい半分で酒の肴にしている。
フン。
どーせ、自分だけ安全な所から高みの見物して女王になろうっていう腹だろう。
気に入らないね。
二人はそんな雰囲気を醸し出していた。
「それだけ?」
「さっきは、ああ言ったけど!」
「私は復讐者!」
「女王になる資格なんか無い!」
「でも、私を女王にするため!」
「散っていった仲間がいる!」
「だからあなたの望みが女王なら!」
「すぐにその座を譲ります!」
「だから力を貸して!」
「しらけるねえ!」
「こっちだって女王なんかに興味はねーよ!」
「金だ!」
「金をくれ!」
「それなら!」
「出せる限りのお金を払います!」
「そちらは!」
「私が欲しいのは!」
もう一人の女はアンの耳に口を寄せると。
アンにだけ聞こえる程度の声で望みを言った。
「それは!」
「解りました!」
アンの声にはぎこちなさが残る。
そしてアンは一言呟いた。
誰にも聴き取れぬほど小さな声で
「どうせ私は!」と。




