第二話 私のハーレム
「アン様!」
「そろそろお目覚めのお時間です!」
「そう!」
「私の名前はアンジェリッタ!」
「この国の女王候補の一人よ!」
「アン様!」
「お召し物の交換を!」
「はて?」
着替えながらアンはある違和感を覚える。
ここは空想世界。
あるいは夢の中の筈なのに侍女が私の事をアンと呼んでいる。
「私はアンなの?」
「はい!」
「あなた様はアン様です!」
「当然のことで戸惑われるのもご無理はありませんが!」
「私どもが精いっぱいご奉仕させていただきますので!」
「なんなりとお申し付けください!」
「未来の女王様!」
「これはいわゆる異世界転移ね!」
私は確かにアレだけど、現実と空想をごっちゃにしたりはしないわ。
私の空想世界での名はアンジェリッタ。
私の空想世界ならアンにはならないわ。
そして侍女が仕える方の名を呼ぶ時もアンジェリッタがアンには絶対にならない。
近しい間ならともかく、主人の名を略して呼ぶ事は絶対に無いからだ。
もし私の名前が。
「寿限無、寿限無
五劫の擦り切れ
海砂利水魚の
水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処
藪ら柑子の藪柑子
パイポ パイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助(落語の寿限無より)」
だったとしたら。
「おはようございます!」
「寿限無、寿限無
五劫の擦り切れ
海砂利水魚の
水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処
藪ら柑子の藪柑子
パイポ パイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助さま(落語の寿限無より)」
となるし。
「寿限無、寿限無
五劫の擦り切れ
海砂利水魚の
水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処
藪ら柑子の藪柑子
パイポ パイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助さま(落語の寿限無より)」
「お食事の用意が整っております」
となる。
つまり、私はアンとしてここに存在している。
何故かは解らないが、超人気乙女ゲームであるアンアンリーグの世界に引き込まれたのだ。
アンアンリーグとは?
普通の女学生だったアンアンが占いで次の女王候補に選ばれ、他の候補と競い合い女王を目指すお話。
尚、他の候補に対抗するために9人の教育係が味方になるが、女王になるも良し、誰かとハッピーエンドを迎えるも良し。
中には9人全員とのハーレムエンドまである。
そして言うまでもないかもしれないが9人ともイケメンです。
「全世紀最高のゲームと言っても過言では無いの!」
最新機種で出たから週末に買って夜通しプレイしていた。
そして目が覚めたらここにいた。
「でも、それって!」
「最高じゃん!」
愛してやまない「アンアンリーグ」。
最新機種用として綺麗にはなったけどシステムはそのまま。
勝手知ったる「アンアンリーグ」。
「何故こんなことになったかは!」
「解らないけど!」
「なっちゃったもんは仕方無いよね!」
なんだかんだ言いながらも、アンはニヤニヤが止まらなかった。




