売り飛ばされそうになるのもしょっちゅうです
二話目。過去形なのは回想だからです
後から言われたが、私の値段は、銀貨二枚だったそうな。
人減らしのついでで格安だった。
そのキャラバンには、掃除係がいなかった。
掃除だけでもしてくれるなら、というつもりで買ったらしい。
子供なので食費もそこまでかからないという目算でもあった。
後は移動の問題。
初日、もう血豆ができた。
もともと訓練はしていた。
時間があるときはひたすらに森を歩いていたのだ。
しかし、そんな子供の想像などふりきるスピード。
着いていくのに精いっぱいだが、弱音などはけるわけもない。
ついていけなければ、良くて下級娼婦。
悪くて歯を抜かれ、顔面をわざと醜くした見世物。
自分でそう伝えたのだ。歯を食いしばり、ひたすら耐えた。
掃除も徹底した、文句を言われないように。
それと愛想だ。
顔はそんなによくは無いのだ。
せめて笑顔はないといけない。
無理矢理でも、笑うようにした。
誰かの話には、にこにこしてひたすら聞く様にした。
2年経ち、わたしはまだキャラバンにいた。
このキャラバンは比較的広く世界を回っている。
同じ場所にはあまりいかない。
その分出来る限り広くて安全な道を選んでいた。
ルーチンで回るキャラバンは、多少危険でも、回数をかせぐため、近道を使う。
回る回数がキャラバンの収益に直結するからだ。
それに対し、広く世界を回る方は、スピードは求めない。その分安全に気を使う。
2年間、獣に襲われたことはあった。
盗賊にもあった。
だが、どれも退けられる程度だ。
「最近は運がいいな」とラレール隊長は笑っていた。
この人に拾われて2年。
しかし、この頃には問題が起こっていた。
わたしの顔の問題だ。
幼いころは可もなく、不可もなくだったが、成長するにつれ、娼婦として使える程度には顔が変わってしまったのだ。
最近隊長も
「下級娼婦は悲惨だが、お前さんなら中級から、下手すると上級、貴族の妾程度ならいけるかもしれんぞ。こんなキャラバンにしがみつくより、そっちの方が女として幸せだろう」
と言ってくる。
娼婦のタイミングは10歳前後。このままここにいれば売られかねなくなったのだ。
もともとの約束が
「使えないなら売り飛ばしてくれ」
だったのだ。
隊長が「使えない」といえばそれで終わり。
そして難しいのは、隊長は善意でそれを言っているということ。
女、子供がキャラバンに着いていくというのは本当に難しいことなのだ。
わたしは辛うじてこなせているが、隊長から見れば「楽をさせてやりたい」のだろう。
下級娼婦は悲惨だ。
20にもなれずに病で死ぬ。
しかし中級や上級娼婦ともなれば、女としては幸せな人生ともいえる。
すくなくとも、道なき道を、血豆をつぶしながら歩く必要はない。
けれど、嫌なのだ。そんな人生は嫌だ。
わたしは自由になりたい。
管理なんかされたくはない。
キャラバンは大変だ。
でもやりがいはあるし、目的地について、雑用を終わらせれば自由に動ける。
知らない街を、自由に歩ける。
わたしは成長して、自分でキャラバンを率いて回りたい。
そんな夢なのだ。
しかし、このままだと売られる。
どうするべきか。
そんな9歳の時、第二の人生の転機が訪れた。
上級娼婦:客は自分で選ぶし、暴力をふるわれたら訴える権利がある。
中級娼婦:客から選ばれるが断わってもいいし、暴力をされたら逃げても怒られない。(逃げられなかったら終わり)
下級娼婦:客から選ばれ断わる権利もない。ひどい扱いをされても救済手段はなく、暴力と性病で早死にする。