後から考えたらハユリさんは相当おかしい人だったんですが私は好きです。
一方でオルグナは珍しく機嫌が良かった。
笑うなんてめったにしないのだが。
「すごい!すごいぞ!この生地は?こんなに堅いのに、こんなに柔らかいのか!?」
「オルグナさん、グリーさんたちは?」
「他のみなと一緒に残りの素材回収をお願いした」
「…寝てないのに」
「悪いとは思ったが、この素材は凄い。なんとしても取られてはならんのだ」
スネイクドラゴンの皮をひたすら触っている。
「商売になりそうですか」
「伸縮性があって、刃は通さない素材だ。これは金になるぞ」
目が爛々と輝いている。
まあ、ここは任せよう。
とりあえず分配である。
魔法使い三人に、契約通り渡すが、まずエノームさんが
「これ以上貰っても保管に困るから。持ってて」
「…いいんですか?」
「しばらくは一緒にいるから。どうせ次の退治までこの街にいるんでしょう?」
「はい」
「じゃあそういうことで」
エノームさん、保留。
次、ミラーさん
「こんなにいただきましても…」
契約通り渡すのだが、契約書見ていなかったらしい
「でも報酬ですから」
「そうですかー」
そして寝た。
次にネクリさん。
「ありがとう」
ちょっと浮かない顔で受け取った。
今回もあまり働けなかったみたいな思いがあるのだろうか。
でも契約は契約。
魔法使いたちはこれで問題なし。
オルグナの素材売却は時間がかかりそうだった。
特に革が凄い値段つきそうなのだ
ニールは転移で他の図書館に向かった。
私たちは暫くは動けない。
グリー兄弟にも渡して、次の準備を整えたが、現時点で大分金に余裕はある。
「教会にいこうかな」
加護に感謝しようと思った。
「ハユリさん、いらっしゃいますか」
「おお、この前の」
この前ハユリさんと一緒にいた人が対応してくれる。
「ハユリを呼びますね」
すると
「まあ、また来て下さったのですね。素晴らしいことですわ」
「商売が上手くいきましたので、その感謝のお布施を」
「素晴らしいことですわ」
ニコニコしているハユリさんに渡す。
ハユリさんは中身を確認せずに
「良いですか、お布施は心掛けなのです。自らがこのようにお布施を持ってくる。これこそが、神様がもっともお喜びになることです」
なるほど
「金額の大小など関係ありません。例え鉄貨一枚でも、自らが神への感謝を表すこと。それが最も尊いのです」
そうなのか。
「メイルさんは神様に感謝する気持ちが高いのです。素晴らしいことですわ。これからもその道を歩んで下さい」
「はい!」
それから祈りの仕方を教えてもらったりしていると
「は、ハユリ!?これは!?」
教会の人が、私の持ってきた袋を見て慌てている。
「神への布施ですが?」
「こ、こんな金額、誰が」
「彼女です」
「え?こんな少女が?でもこのお金は」
「スネイクドラゴンを討伐したので、その分のお布施です」
「す、スネイクドラゴン!?」
「まあ、素晴らしいですわ。竜は歪んだ存在です。その竜を倒し、お布施を持ってこられるなんて」
「ハユリ!これは相談が必要な案件だぞ」
「なぜですか?神に巡り会えなかった少女が、神に感謝できるようになった。それだけではありませんか」
頭を抱える教会の人たち。
でも、私はハユリさんの姿勢を好ましいと思った。
この人は袋を見なかった。
鉄貨一枚でも尊いのだと言った。
そして、中身が金貨の山でも眉一つ動かさなかった。
彼女の「布施は金額ではない」という信念は本物なのだ。
アイスドラゴン討伐の準備は進まなかった。
理由はニールの調べ物、なので。
「先に他のドラゴン討伐しません?」
「…そうだな」
アイスドラゴン討伐の確信が得られない。
ならば、他の竜種を討伐して経験を重ねた方がいいとなった。
次は
「近いのはイエロードラゴン」
「イエローですか」
「毒持ちなんだ」
「毒って…売れないじゃないですか」
「…薬の材料になったりしないか?」
「どうなんでしょう?」
なんか難しそうだ。
「後は、距離はあるがレッサードラゴンだな」
「…レッサードラゴン?」
聞いたことがない。
「竜種でも異端だ。劣るという意味だが、それは強くないという意味ではない。竜種らしくない。という意味合いが強い」
「ブレスや空を飛んだりとかは」
「そういう心配はない」
「ではいけますね」
とりあえず準備だ。
オルグナと次の獲物について相談していたが
「イエロードラゴンだと!?討伐出来そうなのか!?」
イエロードラゴンは毒持ちだからパスして、レッサードラゴン狙うと伝えたらこの反応。
「ニールはそう判断しています」
「報奨金が凄いぞ!イエロードラゴンは!!!」
目がギラギラしている。
「とにかく厄介なんだ。イエロードラゴンは。住んでいる周辺を全て毒の沼にしてしまう。イエロードラゴンのせいで滅んだ村は数知れずだ」
「報奨金は?」
「一万枚はくだらん」
すごい額だが、ドラゴン退治も前回は5000金は得られているのだ。
無理に危ない橋をわたらなくていい。だが
「ニールともう一度相談します。素材回収に拘らなければ手はありそうです」
「うむ。こちらも買い手を探す」
コロコロ変わるが仕方ない。
準備は万全に行おう。
教会から招かれた。
布施の件だった。
あれから、スネイクドラゴンの革が売れ、お金が入る度に教会に行っていたのだ。
微々たる金額だが、毎日の感謝をしていた。
なのだが、教会から見ると、毎回来る度に金貨を布施する、なんだか分からない小娘である。
そこで、ハユリさんが間に入って話をしてくれたのだが、余計意味が分からなかったらしい。
なので、会食を。という事になった。
「そうですか、洗礼は済まされましたか」
「はい」
ハユリさんの勧めで洗礼を行っていた。
「商人とのことですが」
「ドラゴンを狙ったキャラバンを率いています」
「なんと」
驚かれる。
「きゃつらは歪んだ存在です。だが強い。何体か倒されたのですか?」
「既に三体殺しました」
ざわめかれる。
「…どうやって。失礼ながら戦闘には向いているようには見えない」
「私はキャラバンを率いているだけです。作戦や実働は別の人間に任せています」
「それにしても凄い」
「また次も狙われるのですか?」
「はい。次はイエロードラゴンを」
「な!!!???」
部屋の中が一気に騒がしくなる。
「…もし、討伐されれば」
「はい」
「神は心から喜ばれる。間違いありません」
真剣な顔で言われた。
教会関係者「今まで寄付を集めて来れないと思ったら、この金貨の山はなんだ?この寄付の主は誰なんだ?」
ハユリ「神を冒涜するドラゴンを討伐されている娘さんです」
教会「娘?少女か?少女がドラゴンを討伐?どうやって?」
ハユリ「神のご加護です」
教会「いや、そうではなく」
ハユリ「純粋な信仰心をもたれているのですわ、神が御守りになられるのです」
教会「(駄目だ、意味わかんね)」
と言う流れでメイルは呼び出されました。




