悪役令嬢を名乗れば私の小説だって伸びる気がした。
おい、そこのオマエ。
オマエだよオマエ、オマエに話しかけている。画面の前にいるオマエだ。
オマエ、今何した? え? 何したよ。この小説のページを開いたよな。開いたからここにいるんだよな。そうだろそうだろ。そうだよなあ?
そんなオマエに、私は一つ、言いたいことが有る。
オマエ、よくこんなタイトルの小説を読む気になったな。正直、こっちがビックリしたよ。タイトルちゃんと読んだか? あらすじちゃんと読んだか? タイトルの、最初の四文字だけ見て反射的にこのページを開いた、なんてことは無いよな? なっげータイトルを最後まで読んで、ああ、成程成程。これはそういうネタの小説なんだな、って気付いてから、気付いたから、このページにいるんだよな?
……オマエ、それで良いのか? 悲しくないのか? こんなタイトルの小説を読む時間が有るような人間で良いのか、って私は言ってんだよ。暇人じゃねーか。
なあ?
いやさ、私だってこんなタイトルの小説、ホントは書きたくなかったよ。ラノベみたいな、文章みてーなタイトル見て、うわー、とか感じちゃう私だぜ? 私さ、もっとこう、シンプルなタイトルの方が惹かれるのにさ、いつも思うんだよ。タイトルくらいまとめろや、って。
底辺作家の負け惜しみだけどさ、でもそう突っ込んじゃうんだよ。
本屋行って、何か面白そーなの有るかなーって歩き回ってさ。
超羨ましいんだよ、本出してる人たちが。私と、彼等彼女等との違いは何なんだ、って僻んでるんだよ。醜いだろ?
おい。
待て待て待て、ブラウザバックをするな。どうかちゃんと、私の話を聴いてほしい。飽きないでくれ。
いいか? よし。
そんな私がさ、己の好みをぶった切ってこんな小説を書いちまったのには、当然だが訳が有るんだよ。
こんなクソみたいなタイトル。
釣りと思われても仕方がないだろう。検索妨害と判断されてもおかしくないだろう。でもそれ以上にさ、私は、私の小説をより多くの人に読んでほしいんだよ。より多くの人から感想を頂きたいんだよ。週間ランキングなんて望まねぇ、私の小説を日間ランキングに載せたいんだよ。
私の他の小説見れば分かるんだけどさ、感想が書かれてるの全然無いんだよ。批判だって大歓迎なのに全然無いんだよ。
それでもう、なんか、むしゃくしゃしちゃってさ。詳しくは言えないんだけど、今月末までに何か成果を出したかったんだよ。
それがどうよ、かれこれ一年と四ヶ月近く小説書いてる私だけど、ポイントもろくに稼げてない。連載ものも四つ程やってる私だけど、酷い時は投稿しても一人も読んでくれない。投稿者なら分かるだろうけど、アクセス解析画面の青いバーが全然無いの。
こんな有様だぜ?
マジストレス。
おいオマエ、それは才能が無いからだろ、って思ったろ。おい、お見通しなんだよ。顔に出てんだよ。なあ。
でも私はスルーしてあげる。ここで、ただオマエに対する暴言を吐き連ねることも出来るけどよ? それじゃあ、ダメなんだ。
作家人生から未来が奪われるんだ。転落事故起こしちまう。そんなの悲しすぎるだろ。
えーっと。
そうだ。
オマエに聞きたいことが有んだけどさあ、悪役令嬢って一体何さ。
私、一応悪役令嬢のフリをしてるっていう体でここにいるんだけど、私自身、悪役令嬢が具体的にどんな人間のことを指すのか知らねーんだ。字面からなんとなーくは想像できるけどよ……。この前さ、私、異世界小説の日間ランキング初めて見たんだよ。いや、つーか、そもそもこのサイトの、ランキングの存在に気が付いたのが二か月ほど前なんだけどな。そしたら、この単語が使われてる小説がまーー多い。
非常に多い。
多すぎて数えちゃったよ。そしたら悪役令嬢、みたいな言葉が百位以内になんと二十三。
これどういうことなのさ。今だけの流行りなのか、今までもずっとこんなカンジだったのか、それさえも分からねーんだ。
首を傾げちゃうんだ。
それでさ、その後に気付いたんだけどよ、よくよく見たら投稿画面の、おすすめキーワード選択の欄にも有るんだよ、あの言葉。
あの四字熟語。
今までまったく気が付かなかったよ、私。……私、気が付てないこと多くない? 視野が狭いのかな?
いや、そんなことはどうだっていいんだ。
そーして、私はこう理解した。ははーん、つまり、悪役令嬢自体についてはまだよく分からないが、それは、数有るジャンルの中の堂々たる一つなのか、って。そこそこに大きいカテゴリーなのか、って。どうだ、この認識で合ってんのか?
それを、私はオマエに訊きたい。良かったら感想で教えてくれ。悪役令嬢がどんな人物を指し示すのかも教えてくれ。
……え? 暇人と罵った私のチカラになんて、なりたくない、だって?
悪かったよ。
あれも気を引くためなんだよ。ほら、よくいるだろ? ネット使ってると偶にさ、構って構ってのコメント。私はそれを自分の作品の中でやってんだから、まだ良い方だよな?
な?
……ダメか。
それならしょうがない。それに関しては、こちらに非が有るのは確かだから、オマエがそう言うのなら仕方がない。
いいよ、もうブラウザバックしてくれ。
オマエとはお別れだ。
悪口言ってゴメンな。
さてさてさて、当然だが、上のやり取りを見てもブラウザバックをしなかった慈悲深き読者諸君のために、ちゃんと続きはある。その点については心配しないでくれ。下に綴られるのは、この小説をここまで読んだ読者諸君が、まだそこにいる、という設定で話が進んだ場合の私だ。この段落を基準として見た上下の間には不自然な箇所が有るだろうが、そこは気にせず、どうか読み流してほしい。……偉大なる作家たちはこういう所でも、奇抜な文で何の問題も無い小説を書くのだろうが、私には無理な話だ。……やっぱり才能が無いのだろうか……。いや、何でもない。何も言ってない。ほら、さっさと次の段落へ行ってくれ。
ふー、さてと、言いたいことは言ったつもりだが……。後は何か有ったかな。そもそも私がこんな短編小説を書こうと思ったのはさ、理由が二つ有って、一つは、エー、悪い響きな言い方をすれば、売名のためだよ。名前を売り込むんだ。こんな小説書けばちょっとくらい話題になるんじゃねーか、っていう、何の根拠も無い予想だよ。
既出ネタでないことを祈っての投稿だよ。
既に有るんなら、恥ずかしすぎる。
もう一つが、悪役令嬢というものが何かを知りたかったから、読者に教えてもらおう、っつーの。これはどちらかと言えばオマケだな。悪役令嬢って検索してもよく分かんねーし、実際にそれらの単語がタイトルに使われてる小説を読んでもよく分からねーし。だからここでついでに教えてもらいたーい、っていう魂胆。
批判したいならするがいいさ。
私の小説は二十四時間、全ての感想を歓迎するぜ。
ポイントも、ゼロでもいいからくれよ。なあ。評価者数として、そういうのもキッチリカウントされんだよ。
だから頼むよ、若い芽を育てると思って、な? このページの下の方に有るだろ? そう、それだよ、それ。おおっと、本文は読んでくれるなよ。最後に、私なりの最高のオチを用意してあるんだからさ。何だったらまだ評価せずに、最後まで読んでからしようや。
うん、そうだ、そうしてくれ。それが良い。
いいか?
よし。
それでは以下。
私なりの。
最高の。
オチだよ。
私は男だ。
批判でも何でも、かかってこいや。