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変わらない

「蓮の教室はここだね。がんばっておいで」


1-Sの前で蓮の髪を撫で、おでこにキスをおとす。

ほんと、男の扱いに手馴れたものだよな。2年前と随分かわったな。自分でも思うよ。


「秋兄様、、」


こいつの寂しそうな顔は、ほんとに可愛いんだよなー。いちいち抱きついてきたり、ついてこられるのはウザイだけなんだが。

やはり俺は、誰これかまわず表情に弱いようだ。

甘やかしてしまうところ、なおさないとなー。


「大丈夫だよ。部屋で会えるし、すぐに迎えにくるから。それに、僕のお手伝いしてくれるんでしょ?友達たくさんつくって、色々おしえて?蓮は、僕の弟なんだからできるでしょ?」


蓮の目と同じ位置に顔をさげて微笑んだあと、耳元に口を寄せてそう囁いた。

肩をビクビクさせながら、欲情にたえる姿はエロかった。とてつもなくエロかった。


「んっ、。うん!がんばるね!お昼も向かいにきてくれる?」


首かかげて見ないでおくれよ。


「もちろん、迎えにくるからまってるんだよ」


「わかった!」


嬉しそうに返事をするものだから、つい頭を撫でてしまった。撫でるつもりなかったんだけどな。


蓮が中にはいったことを確認したあと、俺は教室へ向かう前にある場所を目指して歩き出した。


「みっけ」


これは、ちゃんと機能するのかと思うほど錆びた扉を開くため、理事長室でもらったブラックカードを胸ポケットからとりだした。

それを、扉の端にある、認証装置にかざした。

ICカードみたいだな、、

あ、ああ、スライド式なのねこの扉。把握した。


「お待たせして申し訳ございません」


そこわ、ブラックカードのみしか開くことのできない、会議室だった。

会議室に入るなり、椅子に腰をかけた男に謝罪した。

先に待っていた方への謝罪は基本だからな。あの家で教え込まれたよ。


「まったく。。まぁ座りたまえ」


グチグチと悪態をつきながら、机を挟んだ向かいの椅子を指差し、そう指示した。


「はい」


いつものように座ると、奇怪そうな目でみられた。


「なんですか?」


「いや、上品に座るものだから、驚いたんだ」


なるほど、そりゃ2年も財閥家で教訓をうければ、嫌でも癖になるさ。

返答を返すのがめんどくさかったので、あえて何も言わず微笑んだ。


「ところで、理事長、話とはなんですか?わざわざこんな所に呼んだんです。大事なお話があったんじゃないですか?」


俺と対面して座る男は、理事長だ。

蓮と別れた直後、不明メールが届いき、文を確認したところ「私だ、すぐに会議室へ来なさい」とだけ書かれていた。

この偉そうな、「私だ」だけですぐに理事長だとわかったよ。それに俺は、この学園の誰にもメアドを教えた覚えがまったくない、となれば生徒の個人情報が載せられた書類を見て知ったしかないだろう。

それができるのは、その管理を任された理事長のみだ。口調も、外見も、なにをしても分かりやすいところも変わっていないな。


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