忙しい
ああああ、長くすることを意識したら長くなりすぎました!こ、これは難しい!
「申し訳ありませんがお引き取り願います。前もっての報告がない限り、東野宮家へ入ることは出来ないようになっておりますので。今回の件は旦那様に御報告致します、また後日お越しくださいませ」
ですよね、はい分かってます。
東野宮家にいきなり訪問して当主に合わせてもらえるわけがない。
それに、先ほどから庭を走り回るメイドや執事の様子を見たところ随分忙しいようだ。
仕方ない、明日出直そう。
「分かりました、明日またお伺いしますね。あ、当主様に、復讐、とだけお伝え願いますか?、あぁもちろん、東野宮家に対する言葉ではありませんよ」
最初は無表情無感情で此方の話を聞いていたメイドだが、復讐と述べた瞬間、顔を少し歪ませ、敵意をみせた。
俺は煽らないようにと、丁寧に微笑みつつ弁解した、だからと言って、敵意が消えることは無かったのだが、無いよりはマシだろう。
「………畏まりました、失礼いたします」
メイドはお辞儀をした後、門の中へと戻っていった。
さて、俺はこの後どうすかな、、、
本当は無理でも押しかけるつもりだったんだが状況が状況だったしな、さすがに財閥家の行事を進めている彼らを止めることはできないし。
味方につけたい相手を敵に回しては元も子もない。
から引き下がったのはいいけど、行く当てもないし、頼る人もいないし、ここアメリカだからお金使えないし、となると次はアレしかないな。
「すみませーーん!総長さん居ますかー!」
大きな倉庫のドアを開けながら俺は尋ねた。
声が響くその場所は、世界で一番の暴走族、アメジストのアジトだ。
アジトと大きな物言いをしたが、実際、倉庫の外も中もボロボロ、暴走族が住み着いているようには到底思えない。
だがしかし!外見だけで決めてはならないと今改めて思った!
中には、カラフルな頭をした男たち、豪快な体型をした暑苦しい男たち、細い体をした男たち。
様々な奴らがこっちを睨んで待機していた、これは、あれだな、五黄学園を思い出す。いつホモがでても可笑しくない巣だな。
なんか、吐き気がしてきた。
上手くいけばこの中に混ざってしまうことを考えると、うぇっ気持ち悪い。
「なんの用だよ兄ちゃん」
あんちゃんだって、古くない?
なんて言ったら殺されそうなので止めました。
「総長に、話があってきたんだ」
金髪の自分と体型の変わらない男を見つめる。
暴走族もそう簡単に合わせてくれるわけがなく、
「あ"ぁ?敵かもしれねぇ奴を総長に会わせるわけがないだろ」
キッと、効果音が聞こえそうなほど睨みつけてくる男を、俺は冷静に見つめた。
普通の奴ならビビるところだろうけど、彼奴らに比べたら屁でもない。
「おいコラ!聞こえてんだろ総長さん!俺は強くなるためにここに来た!強くなって憎い奴らに復讐するためだ!頼む!このアメジストに入れてくれ!今は弱いけど、絶対に強くなりたいんだ!強くなって総長さんを越えてやるよ!」
むさ苦しい男どもの奥にある階段、それを登った扉の向こう側に向かって、叫んだ。
何度も辞めさせようとする男らを無視して叫びまくる、当然、痺れを切らした下っ端であろう男たちが殴りにかかってくる。
小さい頃から習っていた空手と、ずば抜けた反射神経が役に立ったようだった。
かわしては殴るの繰り返しを続けて3分ぐらいたった頃だろう。
「やめろお前ら!」
ハスキーな声が俺らの動きを一瞬で止めた。
先ほどの扉を開けて此方を見ている男が総長なのか、幹部なのかは分からないが、こいつらとは違う、結構な迫力を感じた。
一番最初に声をかけてきた金髪野郎が「裕介さん」と呟いた。
「お前、総長が呼んでる、上に上がってこい」
どうやら幹部の人間らしい。
呼ばれた、会える、話ができる。
嬉しいね、嬉しいよ、けど、こんな短時間で通されと何だか拍子抜けしてまう。
もっとこう、フルボッコにされてしまうだとか、タイマンで勝ったらだとか、俺と勝負したらだとか、いろんなシチュエーションを考えていた。
最悪な場合がたくさん頭に流れ込んでいたが、数日前までの自分を思い出すと、憎しみや怒りで恐れを感じなかった。
ちょっとだけ、彼奴らに感謝してしまった。
ほんのちょっとだけだけどな。
「早く歩けよ」
的なことを二回ぐらい言われて、急かされながら扉の中に入った。
中には四つのソファとテーブルが置いてあり、左右と前の壁には扉が付いていた。
この倉庫の形と内装を考えると多分個室だろう。
奥のソファに堂々と座る男を見るついでに観察してみたのだが、やはり、世界No.1の総長とだけあって存在感も迫力も違うな。
じっくり部屋を見る瞬間さえ与えまいとする視線に目を離せられなくなった。
周りにいる五人の幹部も相当の実力者だろうが、この総長に比べたら全然だ、きっと足元にも及ばない。
体が震えそうになるのを防ぐことで精一杯になってしまう。
「……で?俺に何の用だ?」
流れるピリピリとした沈黙を破ったのは総長さんで、内心驚いた。
………さっきの声はここにいる全員に聞こえていたはずだ、なのにわざわざ本人を前にして二度聞こうとするのは何故だ、?
奥の部屋に居たのなら聞こえなかった、ということも有り得る。
または寝ていた?だけど、こんな目をする奴がそんな失態をするだろうか。
それに、もしそうなら、俺が入ってきた時に幹部や下っ端の誰かが呼んだり起こしたりするはずだ。、いきなり現れた俺を彼らは敵と認識するだろうからな。
じゃぁ、探り、か?
二度目の俺がどう動くか、表情の変化を見ようってわけね。
今の状況に合うものといえばこれだけだろうし。
もしそうなら、気持ちのままに言うべきだろうが、、
はぁ、わかんねぇなー。
取り敢えず、言っとくか。
「俺は、強くなりたいんだよ、復讐するためにな。だからここへ来た。ここで俺を鍛えてほしい、俺はな、総長さんを超えるつもりで今、ここに立っている。あんたらは俺を疑っているのかどうか知らないけど、そんな探りを入れたんだ俺がどんな気持ちで話しているのか、理解できてると思うんだが?」
一か八かで挑戦的にスラスラと述べれば何が面白かったのか、爆笑しはじめた。
最初は、探りに気づいたことと、総長さんに対しての言葉に呆気を取られていたみたいだけど、ここまで爆笑されると、なんか、恥ずかしさを感じる。
「くくっ、、お前っ、面白いな。お前の言う通り、俺はその憎悪に気がついてたよ、俺らを前にして正常でいられるのか試してみたくなってな。だが驚いた、冷静に答えるだけじゃなくて、煽りを入れてくるとはな、お前みたいな奴は初めてだ」
いやいや、冷静なわけだよ。
めっちゃくちゃ自分を褒めまくったからね。
総長さんの後に続いて、幹部の人たちも感想を述べていった。
これは、喜んでいいのだろうか、、、
「よし、気に入った、お前を下っ端として、仲間に迎え入れよう。」
おっしきた!!!
って心の中で叫んでいたが、どうも満足できない。
これだと、自分がお世話になりきってしまうじゃないか。
どうも俺の性格上、お互いに利益がなければ納得できないらしい
「見返りは何がほしい?」
借りが出来てしまうようで嫌だったから、聞いてみた。
総長さんも、幹部さんも二度目の呆気にとられているようだ。
普通に考えて、こんな事言い出す奴居ないだろうからな。
「はははっ!本当に最高だな!」
照れるじゃないか。
「お前、名前は?」
今更か、とは思うけどさっきの流れでは仕方ない。
「庚辰 秋だ」
簡潔に名前だけを答えると、幹部の1人が「短っ!」って言った気がした。
名前を聞かれて、それ以外に何をしゃべろと言うんだこいつは、とか思ったけど言いません。
「俺は、新島 輝 <にいじま あきら> だ、秋と呼ばせてもらうからな、呼び捨てで構わない。そうだな見返りか、俺は見返りを欲したことも望んどこともないからな、返答に困る。だが、せっかくの機会だし……………」
と、しばらく考え込んだ輝は、顔を上げると怪しい笑みを浮かべて言った。
「俺を、楽しませてくれよ。こんなことはもう二度ないかもしれない、だから、秋が退屈な俺らの時間を使って、楽しませろ」
こいつ、いい性格してやがる。
幹部たちもニヤニヤしながら俺たちの会話聞いていた。
「お前らが想像している、それ以上の楽しみをくれてやるよ」
段々と面白くなってきた俺は、笑ってそう答える。
その後は幹部たちの自己紹介を聞かされた、あ、別に嫌だった訳ではないけど、面倒ではあったな。
当麻 沙希 <とうま さき>
出雲 楓 <いずも かえで>
緋真 悠人 <ひさな ゆうと>
ノヴェル・ウェオル
マリア・ウェオル
沙希は可愛い系で甘いものが大好きな甘えん坊。
楓は冷静に物事を判断する、ハッカー。
悠人は感情的で、すぐ行動にでる。
ノヴェルはマリアの双子の兄、態度や口調は冷たいが、気がきく。
マリアはノヴェルの双子の妹、ノヴェルとお出掛けすることが大好きな女の子。
全員、美女美男で、とても強い。
この人達はとくに問題ない、普通の性格だ。
1番苦手なタイプで、最後の一人。
笹谷 慎 <ささたに しん>
こいつは厄介だ、なんせあの転校生にソックリだからな、顔じゃなくて性格が。
俺はどうやら気に入られてしまったらしい。
とてもとてもウザいです。
俺は慎に抱きつかれたまま、下っ端たちの前で自己紹介と挨拶をした。
最後は短縮しすぎたかな?
まっまぁ!次繋げれば大丈夫かなっ!多分!