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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

もう作れない…。血は薄まるばかり…。[〜人の在り方〜]

作者: 牛タン
掲載日:2026/09/18

※差別的表現が含まれます。

「182年:4月25日」


魔王が倒されてから10年は経った。

そして魔王の血がない以上は、獣人の生産は不安定となり…獣人同士の交配か、獣人の血で作ることでしか存続するしかない。


かつては魔王を倒す決戦兵器だったが、今では国の力…軍事力に繋がってしまう。皮肉にも使い捨てだった兵士達が、今では手のひら返しに国家が管理し、国の資産となる。

貴重な血を守る為に…。


存続するために、獣人同士の交配をした実験があったが、ほとんどの赤子は、内臓がなく、肉だけが詰まっていた…。獣人と人の交配をしたが、産まれてきたのは…ドロドロに溶け合った物(・)だった…。獣人の交配ができないと知ると、私とあの物達は酷く絶望したな。ただでさえ身の丈に合わない器で、内側を侵食しながら、崩壊しているのだから。それ故に短命で長く紡げるには、不可能だ。魔王の血という、本来なら存在しないものによって無理やり成立していた生命に過ぎないのだから…。


100年以内で獣人は滅びる―


獣人の血を使って多くの血を集めるとなると、獣人を増やす事は安易にできない。魔王だけの血を集める技術すらない…。不純物が混ざった血で紡ぐことでしか………。


―だが、4年前に安価で獣人を作れる方法が誕生した。魔王の血を使わない方法だ。それは、遺物により、人となれるネックレス。人の形を借りられる外側の真髄。魔王の血と悪魔の血はない…人の血もない…その生き物だけの血…。それが生物兵器だ。外見は、人に驚くほど類似する。決戦兵器のように毛皮や羽毛、鱗などが一切ない。


魔王の血を核にして作られた旧来の決戦兵器とは違い、生物兵器は対象となる獣の血が核となる。一度でも装着すれば、永遠に人と化す。だが、あくまで人の形を借りれるだけだ。本質は変わらない。旧獣人に遺物を装着させて交配させたが結果は変わらなかった。ここで私達は確信したんだ。人の姿…人の身体を借りられるだけの遺物だと…。


生物兵器は、決戦兵器の劣化版で酷く劣るが、生物兵器達の特有の個性や、長所、固有技などを強く活用できる品物だった。決戦兵器のような殲滅型ではないが、並みの強者を凌駕できる力は容易くある。


そして旧獣人と獣人の定義が行われた。

決戦兵器は旧獣人で生物兵器は獣人だ。


今では、相手を毒で殺す蛇型や瞬発力で相手を瞬殺する猫型など、多種多様で戦況を変えれる駒が沢山…。


暗殺…対人…対悪魔型キメラⅤ…撃墜… 遊撃戦―。

豊富な駒達…。


そんな遺物もあったが…誰かに盗まれた。

心当たりは大いにあるが…今の私達では、彼を倒す事はできない…魔王を倒した男だからだ。決戦兵器と肩を並べた異常個体…ただの人なのに…なぜあれ程までの力が?…考えられない…旧獣人の血で輸血したのか?それでも異型輸血で死ぬ…魔王の適合者とでも言うのか?器が人である以上は、無理だ…。


あの男は、どれほど私達人間を憎んでいるんだ…。理想(ハイチ)を背負った灰人が…。決戦兵器(仲間)に情が移ったのか?それとも、魔王を単独で倒した結果によって、怯えた人間に家族を…。





「いや…すまない…言葉を慎むよ。トゥーサン…。」

「今も私も、貴方様の家族を探していますが…やはり殺されたかと…。」


「ゼノビア…なぜお前を、今ここで殺さないか分かるか?」


「………来る終末…煙の民ヨハネ……………。」


「正解だ…出会った瞬間から殺したかったが、できないみたいなんだ。自分の命が大丈夫だからと、調子に乗るなよ。」

「これは警告だ…ヨハネの書どうりに、旧獣人と獣人は滅ばなくてはならない。」


「…ほんとに実現すると思われますか?来る終末を描いた紙切れに………. アウグストゥスは、それに囚われて死にました。」

「盲目的に死んだのです。まるで自分の死が未来に繋がるかのように…。」


「お前がアウグストゥス王の暗殺を企てたのか…。」

「俺が言える事はこれだけだ。お前は、俺によって殺されない事…旧獣人も獣人も滅ぶこと…遺物は帰ってこないこと。分かったな?俺はこれから、ある男にページを貰わなくてはならない。」


「貴方様に…情はあるのですか?」


「俺が、死んだ仲間達に憂いを抱かないとでも?」

「俺は…この来る終末の為に動かないとだめなんだ…。そこには理想(ハイチ)がある。」

「少し話し過ぎたな…それでは話は終わりとしよう。約束通り、ページは受け取った。安眠の国が100年以上も血眼になってまで探していた、グングニルだ。受け取れ人間。」


「ありがとうございます…。自由を追い求めて自由を縛った灰人よ…」




その男は、扉を開けて出ていった…

ゼノビアは、グングニルをまじまじと眺めていた。



「未来を変えようとせず…未来を受け入れる意味など…………。」



ゼノビアは、グングニルを握り締めた。安眠の王は未来を嫌う。未来に執着する者達を、異常で、気味の悪い人だと思っている。


未来など、信じるものではない。

予言など、ただの紙切れだ。

そう思っていた。

だが、握った槍が、ひどく冷たかった。

読んでくれてありがとうー!

久しぶりに出したよ…待ってくれる人居ないと思うけど待った人達ごめんなさい…。「我が名はフリーダム」と「名もない赤子」の話に深く関わるような話を短編で出しますね…。これみたいに。先ほどまでに登場したトゥーサンと言う人物には物語あるのですが、それは連載型になります。第二章まで考えていて、第二章で完結します。応援とかあれば、連載頑張ります。

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