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ガウガウ

作者: 木介

これは私がショッピングモールのおもちゃ売り場に行った時の話である。


平日という事もあってこの日は人でごった返す事も無いが、賑わっていないともとれない、ある程度人気のあるショッピングモールだ。


私が何故ここへ来たのかというとクリスマスまでもう一ヶ月を切っているという事もあり、子供へのプレゼントを選ぶためおもちゃ売り場へ偵察がてら良い物があれば買おうという算段であった。


今のおもちゃは私が子供の頃とは打って変わって、見た目も良く、性能も良い物ばかりで値段も高く感じる。


そんな事を考えながら売り場を見ていると

ある所で足が止まった。

それはぬいぐるみコーナーである。

この場所では様々なぬいぐるみがあり、私も知っている昔ながらの物や今流行りの物まで種類は豊富だ。


(懐かしい)そのような気持ちで昔見ていたキャラクターのぬいぐるみを手に取っていると

一組の親子連れが来たのだ。


「ガウガウがここにあるんだよ!」


そう言って小学校に入ったばかりぐらいの少年が一つのぬいぐるみを手に取る。


その体は全体が赤茶色で、短い腕にあるツメは鋭く、腕の倍はある脚と大きなしっぽで自立が出来るように設計されている。

その顔はこちらを睨み付け、尖った耳を立て、口を少し開け、鋭いキバを見せて威嚇しているかのようだ。

特徴的なのは耳からしっぽにかけて小さなトサカのようなものが生えている。

ぬいぐるみなので柔らかく出来てはいるが元はどんな生物なのかと少し興味が湧く。


すると後からやってきた若い父親はこう言った。


「そのぬいぐるみならもう家にあるだろ?」


その父親の言葉へ被せるように少年は言う


「違うよ!!」


「欲しいのはこのガウガウ・ブラックとこっちのメガ・ガウガウなんだよ!」


父親は「変わんないだろ」と小さくつぶやいた。


私もただの色違いとサイズ違いぐらいにしか思わなかったが正式に別の物らしい。

【ガウガウ・ブラック】はその名のとおり体が黒く背中には翼が生えている。

【メガ・ガウガウ】もその名のとおり少し横に大きく額にはツノが増えている。


「変わんない」という父親と「違う」という少年、私はどちらの気持ちも分かる気がする。


恐らく少年の気持ちを代弁すると物語の中でガウガウが変身または変化した姿が欲しがっている2つのガウガウなのだ。

その物語を知っていれば集めて遊びたいという気持ちが分かる、先程懐かしいぬいぐるみを見ていた為か私は少年の気持ちに共感をしていた。


だがもう一方でぬいぐるみの値段を見て現実に戻る【ガウガウ】は1つ5000円もするのだ、子供の頃は私も値段など気にしなかったが、親になるとおもちゃとはこんなにも高い物だったのかと過去を振り返る。


当時の私は気軽に欲しいと言って手に入れたらすぐに飽きる。

そんな私の無茶振りを可能な範囲で対応してくれた両親には頭が上がらない。


そんな考えを巡らせている内に父親が言った。


「2つ欲しいって言っても買ってあげる誕生日プレゼントは1つだぞ」


少年に釘を刺す。

この言葉の意味は大きい、片方の【ガウガウ】を手に入れても、もう一方の【ガウガウ】は手に入らないのだ。

だったら別のにした方が良いんじゃないか?と

少年を上手く誘導しようとしている父親の策略が見える。


すると「大丈夫、もう一つはサンタさんにお願いするから」


少年の言葉に(なるほど頭の良い子だ)と私は感心してしまった。

それであれば何かセットで欲しい物をおねだりした方が得というものだ。

この年齢でそこまで考えているとは今時の子供には恐れいる。


そしてこの頭の良い子を育てている父親は簡単に策略を打ち砕かれてしまった為か、苦い顔をしていた。


「ガウガウ・ブラックとメガ・ガウガウどっちが良いかな?」


一ヶ月後には両方手に入れるであろう少年が真剣に悩んでいる光景は先程とは打って変わって子供のそれであった。


早く決めて欲しい父親と決めかねる少年

この第2ラウンドが始まる前に私はおもちゃ売り場を後にするのだった。


(了)

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