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第83話「餌にかかる魚」

東京都心にあるビル。


そのビルの一つの部屋がどんよりとした雰囲気で包まれていた。


「....つまり、藤原家は魔石の供給を打ち切り、向こうの資金提供も終わらせると?」


席の一つに座る太った老人がわなわなと震えながらこの件について報告した福山武成にそう問いかける。


「は、はい...一方的に契約の終了を....」


武成のその言葉を聞いて怒りの沸点を越えたのか、拳を机に叩きつける音が部屋に響き渡る。


「ふざけるなぁぁぁ!!!舐めるのも大概にしろよ、あの小僧がぁぁ!!!」


武成は言葉を発さずに必死に老人、ダンジョン協会会長の元木権六(もときごんろく)の癇癪に耐える。


元木権六という男は元々ダンジョンができる前は藤原に次ぐ名家、元木家の一員として元木グループの会長を務めていた。


しかし、藤原家によって汚職の証拠をばら撒かれたことによって元木グループは一気に転落。


あらゆるものをつとめる複合企業の中だと4番手ぐらいに甘んじることになった。


そして、そのまま会長を辞めさせられた権六は引退させられるはずだった。


が、ダンジョンの出現によって状況は大きく変わる。


圧倒的力を持つ藤原家に対抗するためにダンジョンの利権を元木グループを含め、3つの企業で独占。


本来なら手を出してくるはずの藤原家が何もしなかったのもあって簡単に協会を作って3企業で利権を分割することができた。


そして、権六は周囲の反発を押し切ってダンジョン協会の会長になった。


そのままこのダンジョンを使って藤原家に優位な立場を取れるはずだった。


(ふざけるんじゃない...契約は打ち切りだとぉ?こんなこと他の奴らに聞かれたらまずいことになる...うん?)


「おい、福山!理由は赤城修哉という人間の出現なんだろうな!」


怒りで沸騰する頭をどうにか冷ましながら報告した福山に聞く。


「はい、少なくとも藤原行長様はそうおっしゃっていました」


それを聞いて心の中でほくそ笑む。


(なんだ、それならば大したことはない....あの小僧に痛い目を合わせてやるとしよう....)


「もう良い、下がれ」


「ははぁ...」


福山が部屋から出ていく。


権六は黒い笑顔を浮かべる。


「少し焦ったが、問題ない。赤城修哉を消して、目にもの見せてくれるわ!」


部屋の中に権六の笑いが響く。


.....こうして1匹目の魚が餌に引っかかった。


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