第82話「交渉会議」
バタバタとした音が鳴って受付の奥のドアが思いっきり開かれる。
奥からいかにもくたびれた雰囲気をした中年の男が現れる。
「...っ、ようこそおいでなさいました!本日はどのような要件で参られたのでしょうか?」
息を整えながら男は行長に向かって、そう言う。
「今日はダンジョンのドロップ品の話だ...案内してくれ」
行長のその言葉を聞いて、目まぐるしく表情が入れ替わった後、全てを飲み込んだような顔で男は答える。
「わかりました!今すぐ部屋に案内させていただきます」
男は行長を連れて歩き出す。
その後ろを修哉はついていったのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
部屋のソファーに座り、男と向かい合う。
修哉はわざとキョロキョロ部屋を見回して、場違い感を出す。
男はこの場にあっていない修哉の方をチラッと見てしかしすぐに視線を戻すと話し始めた。
「行長様...ドロップ品の話と聞きましたが、具体的にどのような?」
「...これについては単刀直入に言わせてもらう、藤原家は魔石の入手手段を手に入れた」
それを聞いて男は一瞬惚けた後、状況を理解して顔が青くなる。
「そ、それはつまり...!」
「あぁ、藤原家と探索者協会の契約は打ち切らせてもらう。勝手な話であるが、君は黙って上に伝えてくれ」
....本来、わざわざこんな関係をぶち壊すような話は交渉としてはあってはならない。
きちんと状況を説明した上で契約を打ち切らなければいけない。
しかし今回やるのは契約をぶち壊して、修哉という餌を使い上層部を誘き出すこと。
そのため、行長はあることを口にする。
「....打ち切りの原因は彼との個人契約だ」
「彼...とは、そこにいる」
「あぁ、彼...赤城修哉は協会に代わり魔石を渡してくれると言う」
男がこちらを明確に見る。
修哉はとりあえず会釈をしておく。
「.....行長様、疑うようで恐縮ですが、本当に彼が?」
「あぁ本当だ、ぜひこれを上に伝えてくれたまえ」
それだけ言うと行長は立ち上がる。
「....この件が終わったら君を雇うのもいいだろう、また連絡する」
行長がそれだけ言うと男の顔がパァッと輝いた。
「本当ですか!? .....わかりました、報告させていただきます」
男のその声を聞きながら行長と修哉は部屋を去っていったのであった。
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