第72話「策を弄する」
空間に剣戟と魔法の音だけが響く。
(こいつ...やっぱ強いな、こっちもバフとかで結構強化されているはずなのにそれでも互角だ)
剣に炎を纏わせて強化しているのにも関わらず、ルトインと呼ばれたモンスターと修哉の力は互角だった。
「なら...これならどうだ?」
一瞬剣に纏わせていた炎を消し、土魔法でルトインの足元に凹みを作る。
すぐにルトインは気づき、それにつまずくこともなく修哉と距離を置いた。
(小細工は通用しない、他のモンスターとは違って鎧を着ているせいで弱点が見えてない....つまり鎧をどうにしかしなきゃいけないってわけだな)
「....灼熱」
修哉はあえて灼熱を地面に撃つ。
魔法は地面にぶつかって爆発し、周囲は土げむりで包まれる。
(こっちの服とかそういうのはあんまり目立たない....が、向こうの鎧は光ってるせいかよく目立つ)
煙でこちらを見失っている敵に修哉は直行する。
「隙アリだ」
修哉は鎧に炎を纏わせた剣を突き刺す。
鎧は炎の熱と剣が刺さったことの衝撃で鎧にヒビが入る。
(よし....でもこれだけじゃダメだ)
剣を思いっきり引き抜き、詠唱なしで唱えられる火球をルトインの顔にぶつける。
立て続けの攻勢に怯んでいるうちに修哉はある魔法を鎧のヒビに撃ち込む。
「氷結」
鎧の一部が凍りつく。
(まだだ、まだやるぞ!)
修哉は先ほど顔にぶつけた火球を氷にぶつける。
鎧から突如鈍い音が鳴る。
炎と氷をぶつけ、鎧に急激な温度変化を起こさせたことにより、金属疲労で鎧が砕けたのだ。
修哉は目的が達成できたことを確認すると一度距離を置いた。
(....何でできた鎧かは知らなかったけどこの方法を試して良かった、正攻法でチマチマ鎧を狙っても良かったけどそっちは時間がかかるし、賭けに出て良かった)
金属疲労による鎧の破壊は妙に光沢のある鎧を見ていて修哉が考えついたことだった。
ひたすら敵をひるまし続け、その間に魔法で急激に鎧の温度を変化させて破壊する。
その案は見事に的中し、修哉の前には胸の弱点を剥き出しにしたルトインが現れるのであった。
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