閑話「会議の終わり」
武成が藤原の娘の話をした後、部屋はお通夜のようなムードになっていた。
先ほど揉めそうになったのを止めた探索者が口を開く。
「あ〜、そのなんで藤原の直系の娘がそこにいるんだとか、なんで私らにそれが耳に入ってなかったのかとか聞きたいことはあるけど、その娘は無事なんだよね?」
「はい、幸い何も怪我はなく終わりました....」
キリキリ痛む胃をおさえながら武成は答える。
「なんで怪我してないんだ?襲われたんじゃないのか?それともあの男が助けたのか?」
別の探索者が武成にそう言う。
「どうやらその場に居合わせた同じ学校の少年が助けたようなのですが...調べようとしたところ藤原家のものがすでに対策を打っていたようで、たいした情報が得られていません....」
「ダメじゃないか、ということはもうそいつは多分藤原家のものとして考えたほうがいいんじゃないか?
あそこの家の女は執着心が強いからね、自分の命を助けた男のことを手放すことなんてあり得ないだろう」
それを言われて武成はこの場で吐いてしまおうかと考えた。
(わかってる、わかってるって...!もう探索者協会は終わりだよ!会長とかの上層部は腐ってるし、しかも貴重な探索者をあっち側に取られたってことだろう?今まで競合相手がいなかったから良かったけどこれからは今回のような事例がどんどん増えていく。多分今日の話を聞いて他の企業に行くことを考える探索者も出てくるんじゃないか?.....あぁもう一ヶ月ぐらいたってから何も変わらないならここ辞めるか、うんそうしよう!)
「滅相もないことでございます...」
そう答えた後も会議は続いた。
◇ ◇ ◇ ◇
「報告したかったことは以上です。他何か質問がありましたら会議後にお伝えください」
武成のその言葉で会議が終わる。
探索者はそれぞれ会議室を出ていく。
武成は椅子に座って胃腸薬を飲み、会長に叩きつけるための辞表を準備し始めたのであった。
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