第104話「狂気の主」
「すごい、本当にすごいよ。君たちは突然能力を与えられたに過ぎないただの人間だよ?なのに3年という短い期間の中でここまで辿り着いた、そもそもここに辿り着いたものは今までで君らを除いて2組しかいないんだ。いやぁ本当に素晴らしい」
男の言葉は概ねこちらへの賞賛が全てを占めていた。
これだけを見るなら彼はただただ事実を褒め称える善人だ。
「あぁ、本当に....君たちがこれから私のダンジョンを守ってくれると考えると気分が上がって仕方ない!」
もっともそれは男の顔と話の内容が狂気に染まっていなければの話だが。
「おい...なぜわざわざ関係ないここを狙った?おとなしく自分たちの世界でおとなしくしておけばよかったじゃないか」
こんな狂ったやつに通じるわけもないと思いながらも修哉は説得の言葉を投げかける。
自己陶酔に浸っていた男は修哉の言葉に気づいてこちらに首を向ける。
「簡単な話だ.....昔、私は元々賢者という呼び名で呼ばれていたんだ。そこにいる勇者と呼ばれていた彼と対になる扱いをね。私は人々のために努力をし続けた。だが知ってしまったんだ、結局のところ私が助けている人間も殺している敵も同じようなレベルのものにすぎないとね!!」
「だから私は管理することにした、ダンジョンを乗っ取ることでいわゆるスタンピードと言われる現象を引き起こすことで人を間引く。そして残された少ない人間はお互い協力し合って、再び勢力を拡大していって元凶である私を倒そうと努力する。そこを何度も繰り返せば彼らは私のことを天災の一部と思うはずだ、それが分かれば人は私に逆らわなくなり、完全な楽園が完成する...!」
「もちろん、例外はいるさ。私の友人である勇者や私が人間をある程度滅ぼした後にできた国の王は最終層にまで辿り着き、私と相対した。しかし結局のところ彼ら含め全ての人間はダンジョンが管理しているステータスという概念に囚われている!どれだけ強かろうと管理者となり、システムにおいて最強の力を持つ私に敵う者はいない!」
「....私がこの星を見つけたのは偶然でしかなかった。ある程度完成された楽園、しかしあくまで不完全だったあの世界に私は不満を抱いていた。そんな時に君らが今住んでいる地球を見つけたのだ!同じように人は争っているものの、ステータスという概念が全くない世界。これほど私が新たに管理するにふさわしいものはない。だから私はここにダンジョンを置いたのだよ」
男は説明口調でしかし捲し立てるように喋り続けた。
(要するに人は醜いから力を持つ自分が管理してあげようとかそんなところか....完全に自分だけの世界に入ってる神気取りか)
どれだけ喋ろうとも一考の余地もない論理であった。
当然であろう。
曲がりなりにも善人である彼らが狂人の言葉を理解するなど不可能なのだから。
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