第10話「ゴブリン」
ダンジョンに入ってから30分後、修哉は下へと続く階段を見つけていた。
(昨日見つけてたし、割と早く見つかったな)
修哉はそんなことを考えながら階段を降りる。
階段を降りた先は一層とそこまで見た目は変わらなかったが、人はかなり少なくなっていた。
(ここはゴブリンが出るんだっけか。人型を殺すのをためらってここでリタイアする人もいるらしいからな、気をつけて行こう)
そして少し歩いたのち、子供ぐらいの大きさの緑色の怪物が通路の突き当たったところにいた。
(あれがゴブリンか...なんかしっかりとした怪物なんだな、ゴブリンって)
緑色の怪物、ゴブリンを見てそんなことを考える。
(突き当たりにいるから角に隠れているこっちのことには気づいていないみたいだな)
ゴブリンが向こう側を向いているのを確認して鉄剣を持ってゆっくりと近づく。
そのまま切りつければ良かったが、その前にゴブリンに気づかれてしまった。
「ギャ?」
(...!急げ!)
慌ててゴブリンに剣を振り下ろす。
「グギャ!?」
ゴブリンの腹からは緑色の血が流れる。
しばらく悶え苦しんでいたがピクリとも動かなくなり、黒い石を残してゴブリンは消えた。
(よし!上手くやれたな!)
修哉は黒い石を拾う。
(これが一個で300円か...。命をかけていると思ったら安いな)
スライムやゴブリンなどのモンスターはこの黒い石、魔石を落とす。
その他にも落とすことはあるが必ず落ちるのはこれだけである。
魔石は落としたモンスターの強さで大きさや価値が変わり、スライムは100円、ゴブリンは300円というところである。
もっともゴブリンの中でも魔石の大きさは変わることがあるが。
(正直効率が悪いし、週末にもう少し進んでみるか。今日はもう遅いから帰るけど)
修哉は剣をしまうと帰るためにダンジョンの出口の方に向かっていったのであった。
Tips:『探索者』
ダンジョンに潜る人たちの通称。本編では触れられていないがランク分けされており、EからSまで分けられている。最初はEから始まり、地道に納品していくことでランクを上げることができる。修哉は現在Eであるが、もうすぐDに上がることができる。一般的な探索者は一年でB、Cランクまで上がっているが、それ以上に上がるのはハードルが高く、ある条件をこなさなければいけない。一番上のSランクは文字通りの化け物であり、Aランクとも大きく差がある。もっとも国によって基準は違うので日本のSランクとアメリカのSランクでは大きく異なる。
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