第88話「1日自宅待機」
日常回です。
あと1、2話で5章は終了予定です。
「修哉さん、はいあーん」
目の前に座った陽菜がご飯が入ったスプーンをこちらに向けている。
健二を始めとする修哉の同級生たちが見たら血涙ものの光景。
しかし、一般的に見ればそんな羨ましい状況にも関わらず、修哉の背中には冷や汗が流れ続けている。
(誰か....父さん、母さん、美佳...いやもうこの際誰でもいいから助けにきてくれ...!)
リビングの椅子に縛りつけられた修哉は心の底からの叫びを上げたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
行長との話が、陽菜とその母親にバレた後、修哉はまずある一室に連れて行かれた。
そしてなんやかんやあった後の翌日日曜日。
修哉は自らのアパートの一室で拘束されていた。
確かに1日中、可愛い女の子に世話してもらえるというのは男の夢と言っても過言ではないだろう。
修哉も確かに中学生ぐらいの頃に恋愛に憧れたことがあった。
(でもこんなことは望んでない...!)
「修哉さん?今日は外にでちゃダメって言ったじゃないですか」
こっそりドアを開けて外に逃げようとして、それに気づいた陽菜に捕まってまた縄で縛り付けられる。
「あの....陽菜さん。今日行長さんと次の話をする予定だから一回外に出てもいいかな?」
「ダメに決まってるじゃないですか、あと父は母と今日は一緒に部屋で過ごしているはずです。どちらにせよ話はできませんよ?」
わずかな可能性に賭けてそう言ってみるが、それも叩き潰される。
(行長さんも同じようなこと味わってるの?というか隠し事をしてバレた時は昔からこんなことになってたってことだよな?....本当にヤバいのは元木グループじゃなくて藤原家じゃないか)
修哉は知るには遅すぎた事実を理解する。
(....でもなんだろうな、あんまり嫌な感じもしないんだよなぁ)
あまり人と関わってこなかった修哉にとって過剰な愛は修哉の価値観をバグらせるものとしての条件を満たしていた。
(行長さんもこんな感じでずるずるとはまっていったのかな...)
その後、修哉は陽菜とそのまま大人しくアパートの中で1日を過ごしたのであった。
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