第五章〜罠
引き続き書かせていただきました。ストーリーは展開していきます。このゾンビ世界の秘密とは?乞うご期待!
俺はヌルヌルに耐えながら歩き回り、手探りで獲物の亡骸〈なきがら〉を探した。嗅覚も勿論、使って。
死んだ人間の匂いは、腐った魚の匂いに似ていた。
亡骸のひとつに手が触れた。髪の毛に触れた感触だった。何らかの機材にも触れた。それは金属で出来た無機物のようだった。
それほ、暗視スコープだった。人間どもは暗視スコープを使っていたから…暗闇でも俺の位置を捕捉し、正確に照準を絞ってチェーンを投げられたのに違いなかった。
まあ、今となってはそんなことはどうでもよかった。それよりも俺は、食べなければならなかった。筋肉量から男性と思われる身体の腕に限りついた。
帰生き返った気がした。エネルギーが体中に満ちていった。腕は骨ごと噛み砕けた。火力で調理した方がより美味いのだが、そんなことは言っていられなかった。
腹が減っていた。その時、だった。
背中の方向から、乾いた破裂音がした。
瞬間的に それが 銃声だとわかった。
が、やつら 俺を生きたまま 政府に売り渡した方が稼ぎはいいはずだ。
奴ら 俺を殺しはしないり死亡的観測かもしれない。だがそう思い強く念じた。背中に衝撃を感じた。何かが 背中の筋肉の奥 確認 突き刺さる感触だった麻酔銃?
それが直感だった。私と俺の願いは通じ、俺は殺される代わりに眠りにつくようだった。深い眠りに。俺は 鹵獲されたのだ。
恐怖はなかった。どうにでもなれ。マリオしかならない━━。
俺が人間だった時代の座右の銘であった。
俺は静かに目をつぶった。眠りは緩やかに訪れた。どこに 敵はいた?生き残った人間どもはどこに?
恐怖はなかったが 悔しさはあった。人間に、など 負けたくはなかった。眠りにつき 時間の感覚は失われた。奴ら 復讐心をきっと燃やしている。仲間を俺にやられたのだから。人間とはそういうものだ。愚かなものだ。
お読みになっていただきました 誠にありがとうございました。