第三章〜戦闘
引き続き 書かせていただきました。連続投稿をお許しくださいませ。
何を考える暇も与えられなかった。
次の瞬間には、四方八方から何やら 金属製のチェーンのようなものが飛んできたのだ。チェーンは俺の両の手首、そして足首に巻き付いた。
ぶおっ
俺の 喉元から声が漏れ出た。慌てて手足を引っ込めるが、時 すでに遅し。チェーンは手足に堅く巻き付けられていた。
俺の動きは まんまと封じられた。
「ゾンビだ ゾンビ。ゾンビに 間違いないぞ。捕まえてやった。しっかり鎖は繋いでおけよ」
遠慮のない大声がした。また別の声は、
「そうだ。ゾンビ 一匹捕まえりゃあ、1週間 遊んで暮らせるぐらいの報奨金が政府からもらえるんだ。貴重な 収入だぜ」
━━報奨金?そうか !増えすぎた ゾンビを正規軍でも治安警察でもない人間どもに 退治させるために、政府はそんなものまで用意したのか。確かに 正規軍や警察だけでは太刀打ちできないほど ゾンビは増えている。増殖力も半端ないからな。
俺は妙に冷静な頭の中で そんな ことを考えていた。と、先ほどの男がまた口を開いた。
「どうする?生け捕りにすりゃあ、ゾンビの研究の役に立つからってんで、 報奨金の額は上がる。ただ生かしておけば 俺たちにも危険が及ぶ可能性がある」
奴らは、てんでに勝手なことを話している。俺の苦しみなど考えもせずに。
「どうすべか?生きたままでは警察の所まで 移送するにも手間がかかるでがしょ」
他の男も応じる。
「そうだ。移送中に脱走されることだって考えられる。そうなりせっかくの苦労が水の泡 だ」
「早くこいつを金にして遊び てーな」
俺にしてみれば勝手な言い草ばかりだだ。
俺は恐怖を感じるより先にプライドを傷つけられていた。俺はゾンビだ。復讐のためにこの世に生まれ変わったんだ。
なんとかして生きなければならない。
俺は、眼球とと頭だけを動かして辺りを観察した。この鎖をほどくために必要なものは落ちていないか?
いやしかし。あたりは暗闇に近い。ゾンビのくせに、夜目が効くわけでもない 俺は、武器を見つけるのを諦めた。ここは 力ずくで行くしかないのかもしれなかった。
俺は何とかして立ち上がろうとした。チェーン につながれたままの手足は不自由だった。だが、俺はやってのけた。
もうすぐ1時間が経つ。1時間が経てば、その時点で俺は飢えて死ぬ。早く食べなければならない。主食である人間を。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。