第二章〜潜伏
書き出しました 。どうぞよろしく。
俺は、何かの工場の跡地のような場所を見つけた。分厚いコンクリートの壁に囲まれた、荒れ果てた空間だった。
俺ならそこに身を潜めようか、と思う。ならば、人間どもも同じだ。このコンクリートの残骸の中に身を隠したいと思うはずだ━━。
そうタカを括った。
━━きっと奴らはこの中に、わんさか群れを成している。
そう確信した。
俺は、だだっ広い 廃工場の中に足を踏み入れた。
電気がひかれてないのか、中には何の照明もなく真っ暗だった。俺は蹴躓かないように気をつけながら廃工場の中を歩いた。
床は砂利のようになっていた。床材が何らかの衝撃によって破壊され 素材が飛散したのかもしれなかった。俺は気配を消すのに精一杯だった。手探りで壁を伝った。
2部屋分ほど奥の部屋に入った時だった。
がたん!
何らかの音がした。何か硬質のものが倒れたような音だ。
その時である。俺は頬に衝撃を感じた。
鈍器だ。何らかの 鈍器が俺の頬に打ちつけられたようだ。
パンと 頬が砕けたような音を立てたと同時に、俺は衝撃の反対側に倒れこんだ。それはかなりの衝撃だった。俺の身長は 人間どもの1.5倍程ある。低い身長ではないが、それ程驚異的な身長でもない。むしろ 重心が高い分、姿勢制御には力が要った。
だから、たまらず 俺はそこに転がったのだ。
「ゾンビだ!ゾンビを仕留めたぞ」
男の声が聞こえた。知らない男の声だ。声のした方に他の人間たちが集まっていく 足音が響いた。
俺はやられたのか?覚悟しなければならなかった。
いや、ここから 戦闘が始まるだけのことだ。これはまだ 倒れただけだ。致命的なダメージは負っていない。
戦わなければならなかった。人間どもは何人いるだろう?
俺は一人きり。人間どもは数が多そうだった。
しかし、旨そうだ。食べれればしばらく空腹を満たせるだろう。もうそろそろ1時間が経つ。早く食べなければならなかった。
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