第十九章〜取引
引き続き 書かせていただきました。裏切りに裏切られの連続です。騙し合い。うまく書ければいいのですが。
「どうでっしゃろ、親分さん。ここらはあっしのテリトリーでね。何処に何があるかはだいたいわかっるでげすよ。だからもしなにかお探しならお世話致しやすよ。実を言うと、あたしゃ商売をしてやしてね。これをいただけりゃあ大抵のものは用意しやすぜ」
シュウヤは、親指と人差し指で◯を作りまた卑屈に笑った。
「そういうことか」
俺は呟いた。ふと傍らを見ると、レオナの目が希望の光でも見たかのように輝いているではないか。この老人から食料を得られるのではないかと期待しているのに違いない。
「金など持ってないな」
俺が言うとレオナが割って入った。
「あのう。わたくしで宜しければ、お金なら持っています。少しなら。でもどうかそれでお許しくださいませ。お恵みを。わたくしたち、土地勘が御座いません。ですから、食べ物も探しようがないのです。どうかお助けを」
しかし、シュウヤはおどけたように顔を歪めただけだった。
「少し?少しかぁ。お嬢さん、最近の物価高らご存知でない?少しじゃねえ」
「そこをなんとか」
「具体的にいくら持ってるんだい?全財産だよ。言ってご覧よ」
レオナはやむなくというように、手にしていた巾着袋の中に手を入れた。硬貨が触れ合うような音がした。
「全部で、21です。これで全部です」
レオナは、硬貨を一枚一枚、掌の上に並べてみせた。袋を逆さにしてこれ以上はないと示してみせた。
シュウヤが声をあげた。何か企みのありそうな顔をしている。
「けっ。そんどけぼっちかい。しけてるなあ。美人のクセによ、もっと金儲けの仕方知らんかねえ」
俺は口を開きかけた。が、俺が何か言う前に声が聞こえた。
「なんなら、金に代わるもので払ってもらったっていいんだよ。お嬢さん」
俺はまた口を開きかけた。
が、今度はレオナが遮った。
「ええ。わかりますわ。それでも構いませんわ。ですから」
お飲みになっていただけました 誠にありがとうございました。




