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転生したらゾンビになっていた。  作者: 瀬田川 廡輪
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第十二章〜葛藤

書かせていただきました。全てにおいて 時間がかかりすぎです。ウイルスください。心の葛藤を描いていきます。

胃の辺りに、きりきりとした痛みを感じた。それは、空腹というものなのかもしれなかったし、心の痛みの現れなのかもしれなかった。

母親は、茶色い髪の腰まで届く、細身の女性であった。ワンピースというのだろうか?上と下の一体となった赤い衣服を身に着けていた。

半分、(おび)えたような不安そうな目をしていた。しかし、その意志の強さは確かなようで、その目は決して死んではいなかった。何とかして 赤ん坊を救いたいという意志が感じられる。

白い肌の頬に、涙なのか汗なのかが伝っているように見えた。

俺は一歩前に進んで母子に近づいた。できるだけ 恐怖を与えないように。ゆっくりと。

この母親は、俺に恐怖を感じないのか、ゾンビの存在自体を知らないから 目の前の現実を受け容れていないということなのか。逃げも隠れもしようとしなかった。

「お願いです もう身動きが取れません。この子の食べ物を」

女が か細い声で言った。答える 気などなかったのだが俺は、思わず 答えてしまった。

「何故動けぬ?脚でも(くじ)いたか?」

女は、申し訳なさそうに小さい声をだした。

「お薬の副作用で。足腰が弱っております。わたしが動けましたらこんなお願いはしないので御座いますが。すみません」

謝ることはないという意味で俺は首を横に振った。しかし、そうかと言って俺は何の声も掛けてあげられないのでおった。

どうした?俺はモンスターなのではなかったか?非情なる殺戮のマシーンなのではなこったか?人間どもに復讐してやるのではなかったか?

俺は自分自身の心の動きに戸惑った。この俺様が人に情けをかけるなどということはあるのだろうか?なぜこの母子に限ってそうする?これが男だったら何も迷うことはないのではないか?2歳まで 問答無用で人間ども食らっていたではないか。なぜ迷う?

この女だけは特別なのか俺にとっては。

突然、赤ん坊が激しく泣き出した。初めて聞く声だった。母親 一緒に あやしている。

「すみません。騒がしくて。泣き止ませますから」

女が好きに頭を下げた。

俺は何も言わなかった。何かしてやろうとも思えなかった。俺はモンスターだ。非情にならなければならない。それは 義務感 のようなものだった。人間と 俺たちは食うか食われるかの関係にすぎない。

道場などしていては食われる側に回るだけだ。

お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。

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