第九章〜脱出
流れてしまいましたが 乾かせていただきます。どこまで行けるか分かりません。かけるだけ 書きます。
──おう!やっちまえ!
人々の口々からそんな声が漏れていた。3人の塊が、俺の進路を塞ぐように立ちはだかった。そいつらの手には、鎌のようなものがそれぞれ握られていた。
気がつくと三人の男たちが、それそれ手にした釜をそれを握っていた手を中心に円運動させ始めたのだ。
「ちっ!鎖鎌か!」
俺には、生前の記憶が残っていたので、鎖鎌の存在も知っているのだ。
釜が三つ、俺の目の前で回転していた。
鎌が急所を抉れば、いくらモンスターとなった。俺でも命はないかもしれなかった。
「くそっ!人間どもめ!」
ここに来てまた、人間に惨殺されるなど、あってはならないことに思えた。
俺は生きなければならない。そう信じていた。
神よ──。
神など信じていなかったこの俺が、神に頼るしかないとでもいうのか?
悔しさが蘇った。
また死ぬなんて嫌だ。生きてやるのだ!死んでなるものか!
そう叫びながら後方にジャンプした。動体視力のあまり良くない俺には、回転運動する鎖鎌は、オレを惑わす不気味に光る円にしか見えなかった。
最後のスペースを確認した。まだ後退するスペースはあるようだった。
三人がどうじに、鎌から手を離した。
その刹那、俺は再び後ろに跳んだ。
釜の先端が、俺が今さっきまで居た地面の土に突き刺さった。
「今だ!えいっ」
それはチャンスであった。俺は今度は前進し、鎖鎌の柄を掴んだ。
釜を引っ張り、奴らから奪おうとしたのだ。
二人の男がうわっ、と叫びながら地面を転がった。
俺はその二人に向けて、それぞれ鎌を放った。
ぐげっ
断末魔の声を聞いた。ふたりが、血を噴き出しながら倒れた。
残るは一人か!俺は、早くこの戦いから逃れて、人を食いたくて仕方がなかった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました!




