第八章〜チャンス
書かせていただきました。よろしくお願い申し上げます。
先ほど注射で打たれた薬剤は、どうやら単なる睡眠薬だったようだ。転生する前、俺も人間時代にお世話になったことはある。その時の効果効能と同じ感じがしたからわかるのだった。
眠気は最初、残っていたが、薬剤の成分が分解されるに従って、それは薄れていった。
俺は次第に覚醒していった。耳を研ぎ澄ませた。奴らの言動の一つ一つにチャンスを見つける鍵が隠されているように思えた。
時間がなかった。
かれこれ50分は経っただろうか?人間どものなかに動きがあった。
低い声が聞こえた。
──おい。もうそろそろ時間やろ?待ちに待った飯の時間じゃねえか?
それを聞いてて、奴らざわついた。浮き足立っているようにも思える。
「おう。もう腹減って死んでしまいそうだぜえ」
「そうだ、食うべくうべ」
奴らに油断が生じているに違いなかった。全ての人間の声が、俺の位置から遠ざかっているように思えた。
「今日の飯はなんだがや?」
声には笑みも混じっている
画面を硬く閉じていたが、確信した。
人間どもは、任務を忘れて油断している。食事に気を取られている。
これはチャンスかもしれない。これはチャンスだった。待ちに待った。
俺は、腕と足に渾身の力をこめた。俺を縛り付けていたロープがギシと音を立てた。俺は一気にそれを引き千切った。
思った通り、俺が目を開けた時には人間は誰一人として俺に注意を払っていなかった。人間とはバカなものだと思う。こんなに 呆気なく勝負は決まるものなのか?
拍子抜けしながら攻撃態勢に入った。最初に目についた男の後頭部を拳で思い切り殴った。そいつは声を出す暇もなく白目を剥いて崩れ落ちていった。背後についた 次の男の首筋にトゥキックを食込ませた。そいつは、うぐと、くぐもったような声を発しながら卒倒した。
その時には 人間どもの全体像を確認できていた。男ばかり 7人。どいたも屈強な体をしている。戦闘服に身を包んでいるわけではない。この地方のものだろう、民族衣装的な衣服を着けている。手には斧やナイフなど、簡易的な武器を手にしていた。飛び道具はどこかに置いてきたようだ。それは、幸いだった。
その頃に会うかのお友達も俺の奇襲に気づいて、みんな俺に向けて攻撃態勢を取っていた。
残り4人となった。それでも油断はならない数だ。俺は横に2m 跳んだ。
「くそっ!こうなったからには、やっちまえ」
誰かが叫んだ。
お読みになっていますていただきまして誠にありがとうございました。まだまだ書きます。よろしくです。




