言の葉(短編小説)「代行人」
「おはようございます」
朝8時に出勤。
「おはよう。体調はどう?」
「問題ないです」
これは、毎日のいわば体調検査。うちの仕事場では必要不可欠なのである。
席に着くと仕事内容確認。
今日も多いなぁ
仕事は代行人
今流行のメールでの退職の代行とか、近所トラブルなどなど。
「加賀美」
「はい」
「特例案件が来た。どうする?」
特例案件は、給料五倍の案件。しかし、内容を聞いたら断ることはできない。
とはいえ、今月はかなり厳しい。
「部長が聞いたの俺で何人目ですか?」
「十五人目だ」
やばい、これはかなり危険なのかもしれない。だが、内容聞いてないのに、どうしてわかるんだ。。
「無理はするな」
あーこの言い方だ。これが危険を意味する。でも、誰かが代行人に頼んだ。
目を閉じる。深呼吸。口を開く「内容教えてください」
代行人が代行人を頼むことはできない。俺は俺の仕事をする。
「……すまん」
部長の涙がすべてを物語る。
内容を聞いて思う
誰か……助けてと。
代行人は、あなたのかわりに……。
何でも代行します