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十九話、本の名前



 竜殺しを終えて、俺はグレイプニルに乗りながら戻った。


 行きは早かったのに、帰りは時速60を遵守し始めたグレイプニルに呆れながらだ。



「まかさグレイプニルにスマホ組み込んだら通話機能とか……こいつ本当に改造されまくってるな」


『テクノロジー取り込みたいんだって。けどそれ旧型で契約とかしてないはずなんだけど』



 メモ機能とアラームくらいにしか使っていないスマホを組み込んだグレイプニルで、通話をしながら雫と進捗を報告しあう。



「竜はもう死んだ。もうすぐ家に着くよ」



『うん、私も…終わったよ』



 私も終わった、その言葉に若干の引っ掛かりを覚える。



『お礼したいから、早く戻ってきてね』

「お礼? あ、もう着いたから切る」

『え、ちょ、ま』



 バイクを止めて、裏手に置く。

 大型バイクの形態から原付に変わる。


 そのままさっきの言葉が気になって、雫がいるであろう部屋へ向かい



『雫、さっきのお礼って––––––』



 ––––––天使がそこにいた。



 身体のラインがくっきりでる小さいスクール水着。

 太ももまで覆うサイハイニーソ…

 その上から首輪を付けるという、何もかもが欲情を煽るような格好で、雫はそこにいた。




「し、雫…?」

「あ、こ、これは、その、ちが、ちがくて」




 あたふたして赤面しながら手をわたわたさせている、可愛い。



「えっと、ただいま」


「あ、え。あ……

 うん……おかえり」



 雫は巨乳だと、以前から思っていたが、それを小さいスクール水着を着ることでより顕著にしていた。今にもちぎれそうな【しずく】の文字がそれを表している。



「その恰好は……」

「……」


 その言葉で、そっと、雫は立ち上がる。

 太ももに少しだけ食い込むサイハイニーソが、彼女の身体の柔らかさをこれでもかと主張している。


 かわいい、かわいい。


「らいか、加護、使ったでしょ」



 甘い匂いが、鼻腔をくすぐる。

 彼女の身体中から感じられる甘美なにおい、今すぐにその髪を吸いたくなる。



「加護の使用は、感情の増幅を起こす。

 増幅した感情は、加護を強力にして、また、その加護は感情の増幅を引き起こす」



 手を、握られる。柔らかくて、ほんのり熱い手……彼女の緊張が、手を通じて伝わる。

 視線が、彼女の脇へ向く。

 脇からは一層、甘い香りがする。手を引いて、強引に脇へキスをしたい、その匂いを味わい続けたい。



「加護の高ぶりを抑えるには、幾つかあるけれど」



 手をそのまま、彼女の胸に押し当てられる。


 柔らかい、ふに、という感触が手に伝わる。これから、俺はこれを好きなだけ……?



「こうして……思いの発散が一番……」


 この子が欲しい、この子が欲しい、この子が欲しい。



「だから」



 俺の、俺の俺の俺のものに、して、捕まえて、逃がさない。

 欲情が抑えられない、息が上がる。これは、ダメだ、反則過ぎる。



「私で、発散してほしい……」



「(————可愛い)」



 欲情を誘うような格好をしながら…俺を誘うような声を送る、そんなことをされたらもうダメだ。




 ––––––モウ、俺ノモノダ。離サナイ。絶対ニ。




◆◆◆


「ひぎゅ…!♡」


 おっぱいを思いっきりビンタされる。


 横乳が真っ赤に腫れて、下腹部がキュンキュンし始めるのが分かった。




「犬が立つなよ」


「————ひゃいっ♡」


 すぐ様ちんちんのポーズで迎える。

 分かった、今の言葉一つでわからせられた。


 ご主人様だ♡ らいかがご主人様になった♡



「発散するのが一番?

 確かに、そうだな。

 それだけじゃないだろ」

「ひぎ……っ♡」



 乳首の先を掴まれて、引っ張られる。しゅき、しゅき♡



「略奪ノ加護は第二次性徴期の不安定な精神状態を全盛期であると定義した特殊な属性を宿した加護だ」



 らいかに、強引に押し倒される。


「何をされたいのか、本音を話してみろ」

「っ…♡」



 もうバレてる、それが気持ちよくて、押し倒されて床ドンされてるのがかっこよくて、しゅきになる。



「……慰めて、ほしい……です…♡」



「よくできました」



 頭を優しくなでられる、さっきまで横おっぱい引っぱたかれてひりひりしてたのが嘘みたいな優しい手つきに、頭がとろける。



「っ」


 


 両腕をらいかの片手で掴まれて、逃げられないようにされてさっきたたかれたて、敏感になってるか所を優しくなでなでしてくれる。




「痛かったね、よしよし」

「ぁ……♡ぁっ、♡ ぁ………っ…♡」


 撫でられるたびに、びくん、と体が跳ねる。


 そして、私のおっぱいを甘やかし終えると、そのままキスをされる。




 逃げられない、らいかの執着を感じる。

 太ももを足で強引に閉じるように挟まれる。



「ん………♡」



 頭を残った手で押さえられる。

 強引にねじ込まれる舌



「っ……♡」



 スクール水着の間から、手を入れられて、大切な部分を優しく触れられてるのが分かる。




「(すき、すき……っ)」




 長い口づけが終わって、唾液が、銀の糸となった、私たちの口を繋ぐように伸びる。



 もう私には思考能力なんて残ってなかった。


 そんな私を、彼はじっと見て



「こんな格好するというなら」



 首輪を、力強く引っ張る。


「ひゃ…」



 鈴のような声でそう短い悲鳴をあげるが…本心では喜んでしまっているのが、それがらいかには、何もかもバレてしまっているのがたまらなくうれしい。



「————どうなるか、分かってるんだろ」



「ひゃ、ひゃい…♡」


 私はめちゃくちゃに犯され続けた。


 ––––––瞳にハートを浮かべて、大人しく、しおらしく従順に頷く様に欲望が溢れる。



 髪から、脇から、太ももから、胸の間から、その先から、甘い匂いが止まらない。いい匂いだ、甘美の匂いが欲情を誘う。




 脇をなめて、太ももにキスをして、彼女の胸を撫で、その下の一層甘い匂いがする所を、キスして、舐めまわした。



 そしてその日、俺は彼女の初めてを散らした。


 気が付けば彼女は気絶していて、それでもかまわないと、彼女の身体の、隅から隅まで味わい続けた。


◆◆

 異世界の……夜会の記憶……調べないといけないことがあり、私たちは、夜会にでた。

 そこで、私はある女性と出会った……否、再会した。



「その傷は…きっと私たちが受けるべきだったもの……きっと、貴方がいなければ…私は今頃、病で死んでいた」



 天使を殺害し、その女性と、少しだけ会話をした。

 …………オリビア・アークス。マーガレットの母であり、私にとってはかかわりのない、赤の他人。



「この傷が…醜いなんて言われて良いはずがないのだから…」




 首に残った爪痕状の呪いを、痛ましげに見て…私の手を握った。

 それは、過去、私が彼女にかかった呪いを略奪したことで浮かび上がった呪い。



「会えてよかった……本当に、こんな、簡単な挨拶をするまで、本当に、遠回りしちゃったわね」



 私の手を握り、会えてよかった、ずっと、話したかったと告げる彼女……だが、それもすぐに終わる。



「夫人を人質にしたぞ!」


「なんと卑怯な…! 魔法師はまだか!!」「おのれ、剣の錆にしてやる!」



 周囲が騒ぎ出す。奴らには、私がオリビア様の命を奪おうとしているように見えるのだろう。



「……オリビア様、この手を離してください」


「うふふ、嫌よ」



 人質だというのに、それをどこか嬉しそうにする。


 首に、簡素な装飾の…けれど、緻密な造りのネックレスがきらりと輝く。



「どうして、神の呪縛から逃れているのか…原因は、これですね」



 周囲の人間は、私がオリビア様を人質に取っているように映っている––––––そのように、認識を捻じ曲げられている。


 それがこの人に通じてない原理はおそらく、この魔道具。



「神威を吸収して、少量のみ保管するネックレス…ですか」



 それにより、軽度の支配を弾くという機能と発揮している。

 きっと、あの時…彼女を蝕む呪いを奪ったときに、吸収されたのだろう。



「ええ、これがある限り…私は神の呪縛を受けない…ずっと味方よ」

「…………」



 今まで、彼女が私になぜか協力的な発言をしていた理由が、ようやくわかった。

 彼女は、天使ではない…ただの人だ。


 だから



「…そうですか」



 ––––––私はそのネックレスを引きちぎるように奪った。



「––––––」



 一瞬、困惑したような、ショックを受けたような表情を浮かべる

 だがすぐに……なぜか、ふんわりと、微笑んで……それを私へ向けた。



「どうしてか、聞いていいかしら」



 優しく、幼い子供をあやすような声色で、そう問いかける。



「私は…これでいい」



 このままでは、きっと…異常に気付いた天使に殺される。

 私に、彼女を守りながら戦う力はない。

 


「私は悪でいい…だから、このネックレスは不要なものだ。

 味方なんて、必要ない」

「…………」



 オリビア様は、私の拒絶の言葉に、ふっと笑い、手を伸ばそうとして……それをやめて、自らの胸に押し戻した。



「嘘ばっかり…やっぱり優しくて.素直になれない可愛い子だわ、甘やかしたくなっちゃう」



 何が可笑しいのか、微笑んで……かすかに、泣きそうな声を漏らした。



「…ね、レヴァンティア卿」



 涙で、掠れた声で私の名を呼ぶ。



「一つだけ、我儘いいかしら」



 彼女の身体を侵すように、白い光が帯び始める。

 ––––––神の呪縛が、彼女の脳に到達して、認識をゆがめようとしていた。



「…なんなりと」



 その我儘が、彼女も最後の……正気でいられる最後の言葉だと、自覚していた。

 ゆえに、断るなど、出来やしなかった。




「あなたのとこ、トールちゃんって…ずっと、呼びたかったの…ダメかしら」



 身体の、腹部にまで、白い光が到達する。

 あと少し、もう少しで……この人は、私の敵になる。



「……」



 何も、答えなければいい。

 黙っていれば、あと十数秒もせず、彼女はいなくなる……物語の筋書き通り、私の敵と、記憶が書き換えられる。



「ね…あなたの倒したい敵って…神様かしら?」

「っ…!」



 言い当てられた。だが、彼女の立場から考えれば……その存在を知る手立てがあったのだろう。

 過去に、神に挑んだ男の手記、あれに類するものが、王家に保管されていたとしても、何もおかしくない。



「そっか…なら」



 私の反応で、悟ったオリビア様が、最後の言葉を、口にする。



「神様を倒したら…また、会いにきてね…

 トールちゃ、ん…」



 白い光が、彼女の顔まで上る。右目はすでに白い光に包まれ、残された左目だけが……涙を流しながら



「大好きよ…みんな、みんな…あなたの、こと、が…」



 それだけ言い残して、彼女は神の呪縛に––––––



「…………」



 気絶する彼女を、けがしないように、ゆっくりと椅子に座らせて……背を向けた。



「私も、叶うなら…あなたと家族になりたかったよ」



 結界を破壊し、騎士に相対する。

 幾つのもの切っ先が向けられて……そこが、自分の本来いるべき場所なのだと、再認識して……



「…義母さん…」



 ずっと、呼びたかった、その言葉を初めて口にした。



「トール様…もう」

「トールちゃん、その人は…」


「分かっている、飢餓、真理、ありがとう」



 騎士の半数をすでに気絶させていた私の配下。

 大切な仲間たちに、再認識するように声を上げる。



「我々は止まらない、最早止まる手段など持ち得ない」



 もう、過去は振り返らない。振り返ることなど、できないし、したくない。



「だから––––––勝つよ」



◆◆◆


 ––––––––––––––––––ピコンっ



 スマホの通知音で、眼が覚める。



「…………」



 いつのまにか、気絶していたのか……私の身体はいろいろと大変なことになっていた。



「(あの人の、夢)」



 前世の、血の繋がらない母親。

 正直、関わろうとはしていないし、一生自分に関係がない人間だとおもっていた。



「(…………結局、会いにいけなかったな)」



 ただ、自分への謝罪は、間違いなく本物だった。

 こんな自分のために、心の底から謝罪して、後悔していた。



 それが、幼少期の苦痛を和らげるわけでもないのに、少しだけ、畝が軽くなったを覚えてる。




「重度のマゾ気質、まだ残ってたんだな」

「らいか…」



 隣で寝るイケメン。ありえないくらい満足したつやつやした顔である。



「言葉責めと、首締めにスパンキング、腹パン…ぜんぶ喜ぶとは」

「後なにしたっけ……後半の記憶がないんだけど…おむつがあるってことは、ごめん、私おむつはいた?」

「ああ、すごく可愛かったぞ」



 黄色くなってるおむつをみて、私は記憶がなくて本当に良かったと思う。




「そういえば雫、何の夢を見てたんだ?」

「え、何か寝言とか言ってた?」

「いや……ただ」



 ふと思い出したように、問いかけられる。


「泣いてた」



 そう言われて……初めて、頬の湿り気を自覚した。


「……」



 筋肉痛と、体の節々に走る痛みのままに、私かは体を横にした。




「別に、大した夢じゃないよ。

 オリビア様の夢……向こうの記憶を、思い出してたんだ」



 向こうの世界の夢、この世界で生きているけれど、向こうに未練がないわけじゃない。



「歩いてしまったことが始まりで…

 求めてしまったことが終わりだった」



 そんな旅を、ずっと繰り返してた。



「道に咲いた小さな花を、愛でることもできず…育てることもできず…栞にして、埃の被った本の間に挟んだ」



 それを振り返ろうとして、結局振り返らない。

 だから、今になって夢ばかり見てしまう。



「栞を挟んだ本の名前を忘れて、私はその部屋を後にするんだ」



 その部屋には、二度と戻ることができないと、知ってるくせに背を向けた。



「栞はそのまま…遠い日の、机の上で…朽ちていく…。

 本の表題が煤けて…そのまま崩れるんだ」



 それが無性に悲しくて、焦りながら、無理をして、忘れた振りをして前を見る。



「私は、ずっと本に閉じた栞を探して……探して…そのまま、夢を見る」



 しおりを閉じた、そのページの夢。

 忘れたいのに、忘れたくない、そんな記憶の詰まった本。



「それでね…思い出すんだ」



 それが、置き去りにしてしまった過去の約束。そのすべてだと、気付く。



「その本の表題が、なんだったのか…ずっと、探していた栞が、なんの花だったのか…」



 忘れてしまった、大切な約束。それを、夢として見続けている。



「その答えを口にする前に目が覚める…そんな夢を、ずっと、見続けるの。その一つだよ」



 オリビア様……母と呼んでみたかった人。

 その人が夢に出てきた、きっと、母を忘れるなという暗示なのだろうか。



「…その本は……なんて名前だったんだ」

「…………それはね」



 記憶の想起、それに名前なんてものは



「きっと、…初めから、なかったんだと思うんだ」



 あるとすれば、それは私の旅路をただつづっているだけのもの。そんなものに名前は必要ない。



「私の日記…ずっと、名前を書くのが恥ずかしくて…栞を挟んだままの、日記」



 そこまで話すと、らいかが、布団の中で、私の手を握った。



「なあ、アラストール」

「んー…?」



 あったい、手、大きくて力強い手、けど今は裸なのでやっぱり恥ずかしい。



「俺が、君を幸せにする」



 手を、引き寄せられて、



「俺が、君の本の続きを書く」


 つられたように、顔を向けて



「俺が…君の望む全てになる」



 目が、重なり合う



「だから、」



 そして、胸の鼓動が高鳴って



「————俺と家族になってほしい」



 胸に、優しく広がった。



「大学に行って、就職したら…君と結婚したい」



 プロポーズ、プロポーズ…そんな単語が、頭にこだましていた。

 けれど、少ししたら、その言葉の意味が、理解できた。



「らいか…」

「…ん?」



 答えは、もう決まってた。

 けど、不意打ちでびっくりしたから少しだけ意地悪をすることにした。



「身体中噛み跡だらけ。特に胸と太ももがひどい」

「う」



 歯形が付いてます、昨日まで処女だったのに。



「お腹もアザついた……気持ちよかったけど」

「ぐ」



 腹パンでイキました、しかも処女喪失してから10分もせず。



「首とお尻も跡ついたなぁ、あと脇も唾液ついてる」



 たくさん舐められました、処女なのに。



「…ねえ、らいか」



 たくさん言ってから、らいかがダメージを受けているのを見て、満足してから、そっと、ささやいた。



「幸せに、してくれる…?」



 そういうと、きょとんとしてから、覚悟が決まったように、目を合わせてくれて



「…嗚呼、約束する」


 そう、答えてくれた。


「うん、約束だよっ…らいか」




 そして、私は承諾として、彼にキスをした。

ながい……この話、6400文字もある


 それはそうと、面白ければ評価をお願い致します!!!励みになります!!

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