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主人公は狩人から逃げたい

昼休み、飯を食い終わって図書館にでも行くかと廊下を歩いてたら。


「キャーッ!平等院さまーっ!!」


悲鳴に近い声に何事かと振り向くも、平等院がファンクラブの面々に追い掛けられていた。なんだ、いつものことか。この学校の日常だ。俺以外なんて視線を向けてすらいない。いや、悲鳴に視線を向けてないだけで、その発生原因はガン見だが。


「地上に舞い降りた天使たち、そう何度も歌っては、喉を痛めてしまうよ。君たちの声が損なわれるのは、即ち世界の損失だ」


Q.静かにしてね、をこんな言い方するやついる?

A.いる。平等院遥。


「素敵…」


Q.尊さのあまり腰が抜ける人間いる?

A.いる。平等院遥のファンクラブ。


「あ、博人君」


来んな来んなこっち来んな視線で焼き殺される。


「来んな」


「このつれなさ、クセになってきたよ」


マゾ?


「麗しの生徒会長様の性癖開拓しちまったよ…」


「あぁ、責任を取ってくれ」


「却下。てか、とりあえず移動しねぇか?」


今実は針の筵の具現化みたいな状況なんだよな。


「任せて。撒くのは得意なんだ」


ここで得たスキルかよ。




※ ※ ※




逃走の末、屋上に続く階段にたどり着いた。屋上は封鎖されてるのでマァまず誰も来ないだろう。ようやく腰を落ち着けられるな。


「かわいらしいレディたちに愛されるのも悪くはないが、たまには息を吐く暇がほしいものだね」


こういうことをさらっと言う女だ、こいつは。


「毎日追い回されて大変だな」


「それは君もだろう?」


「そうだな。お前もその一端を担ってるけどな」


「かわいい女の子たちに追われるなんて役得だろう?」


「限度ってもんがあるだろ…」


「おや、意外だね」


「あ?何が」


「みんなのこと、かわいいと思ってはいるんだ?」


「口に出さないようにしてるだけだ」


「なるほど、変に期待は持たせないと。やはり君は優しいね」


やりづれぇなぁ、こいつとの会話!


「あー…あ、そうだ。お前三年だろ?受験勉強の方はどうなんだよ」


「定期テストは全て満点か失点を一つ二つするくらい、漢検・英検共に準1級、志望校は全てA判定、赤本はすでに何周もしてほとんど内容を覚えてしまった。つまり…受験に絶対はないとはいえ、そんな切羽詰まっているわけでもないんだ。マァ、一年の頃からコツコツ勉強していた賜物かな」


「…ア?じゃあ、前に赤本買ってたのは?」


「デートのための口実さ」


すまん、つらら。あれデートだったっぽい。


「お前も懲りねぇよな」


「君を落とすまではね」


「受験生が落とすとか言うな」


「浪人したら君ともう一年学生生活が楽しめるわけか」


「絶対にやめろ」


こいつならやりかねん。


「君、僕の前だと結構素を出してくれるよね」


「そうか?あんま意識してねぇけど」


「僕の前だと口調がちょっと乱暴になる」


「あぁ…まぁでも、振られてもなお関わろうとしてくる強メンタル持ちに気遣いとか要らねぇだろ」


「おや、他の子には告白されてないのかい?つらら君とか、富麗君とか…てっきりみんな僕と同じ状況かと」


「今俺を好いてくれてるやつの中で告られたのはお前だけだよ」


「"お前だけ"なんて、嬉しいこと言ってくれるね」


無敵か?


ちなみに人生規模でも壁ドンで告白してきたのはこいつだけなんだが、それ言うとめんどくさいことになりそうだから黙っとこう。


「君はなんで彼女を作らないんだい?」


「簡単に言ってくれるな。お前みたいにめちゃくちゃモテるわけじゃないんだよ」


「そうだね。君は特定の数人に強い好意を抱かれるタイプだ」


「…」


「僕は振られた。それは理解してるよ。マ、納得はしてないけどね。…だが、君を好いている人はまだいる。その中から選ばないのか、と聞いているんだ」


「好いてくれるのは嬉しいけど、その気持ちに答えられないやつなんかには相応しくねぇよ」


「君さぁ…そういうとこだよ?」


何がじゃ。


「マァ、言いたくないならそれでも良い。無理に聞こうとは思わないさ」


ほんとか?結構尋問じみてたぞ??


「昼休みがもう終わってしまうね。今日は借りができた。この借りを返すためなら、どんなことでも君の力になろう。…こういう形の方が、君は頼りやすいだろう?」


やりづれぇ~~~~~~~~~~~~。

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