主人公はまったり泳ぎたい
着替えが済んでプールに案内されたわけだが…金持ちん家のプールってすげぇんだなぁ。潜れる深さのプールに流れるプール、ガッツリ競技用の25メートルプールに波のプール…いや絶対おかしい!!限度ってもんがあるだろ!??もうこれそういう施設だろ!あと何で個人宅でミニウォータースライダー所有してんだよ!!!?
クソッ、いつもなら俺の心を読み取って同調してくれる江西もボート型の浮き輪でぷかぷか流されるのに夢中だ。他のやつらも気にも留めてねぇ。レディース切り替え早すぎねぇか???
「水に漂いながら百面相とは、なんだか面白いことをしているね」
「うおっ平等院」
さっき富麗さんと競技用プールの方にいなかったか?お前も瞬間移動持ちかよ。
「おや、どうして目を背けているんだい?」
「なんか人の水着姿まじまじと見るの気まずいだろ」
「ふむ…ちょっと分かる」
「そう言いつつお前はガン見するんだな」
「好きな人の姿はなるべく記憶しておきたいからね」
オイオイオイ火種を投じるな。遠くにいるはずのヒロインズがざわついただろ。どいつもこいつも地獄耳か。
「では、わたくしも博人さんを眺めさせていただきますわ」
わざわざこっちまで来た富麗さんがにこにことこちらを見つめてくる。対抗せんでええ。遊んでろ。
「「…!」」
ヒロイン同士で剣士の間合いみたいなの測り出すのやめてくんねぇか??主人公の肩身狭くなっちゃうから。
「さらってあげようか?お姫様」
「状況を悪化させようとすな」
クソッ俺は普通に泳いだり流されたりでプールを楽しみたかっただけなのに…!!
(わしと一緒に乗るか?)
(転覆怖いからやだ)
俺には小さい頃ボート型の浮き輪できゃっきゃしてたらひっくり返って鼻からも口からも水が入ってアホほど咳き込んだ悲しき過去がある。
(…)
ガチの憐みの感情を脳に直接送ってくんのやめない???
なんか本当に悲しくなってきた…気分が落ち込んだときは運動するに限るな!!うおおおおおお泳ぐぞ!
「あんたも泳ぐの?競争する?」
平等院と富麗さんの視線を潜り抜けた先、競技用プールのとこにはつららがいた。
「運動部と勝負が成立するわけねぇだろ」
「やってみないと分からないじゃない!じゃ、よーいドン!!」
「まだスタート位置にもついてないんだが!?」




