主人公は夏休みだからって特別な予定を立てたいとは思わないタイプ
阿鼻叫喚の期末テストを乗り越え、夏休みもすぐそこだ。
「あんたは夏休み予定あるの?な、ないなら昔みたいにお泊りに誘ってやっても…」
「俺にはゲームやって漫画読んでラノベ読む崇高な予定がある」
「いつも通りじゃない!」
「いつも通りが一番だろ」
元々活発なたちじゃないから、こんくらいがちょうどいいんだよ。それに長期休みは長編シリーズや大ボリュームのゲームをやるのに最適だしな。ちまちま進めてくのもいいけど、やっぱストーリーは通しでガッツリ読みたいものだし。
「てか、お前は部活で大忙しだろ」
「流石にそこまでブラックじゃないわよ。ちゃんと休みは取らせてくれる顧問だし」
そうなのか…運動部って全部ドブラックなもんだと思ってたぜ。
「まーでも、先輩たち曰く大会前はちょっとピリピリして遊ぶ雰囲気じゃなくなるらしいから、そうなる前に遊んでおきたいわね」
「でしたら、こちらに妙案がございますわ」
「富麗さん!?」
びっっっっっっくりしたぁ!?気配消さないでください。
「私たちの教室になんの用よ!」
「遊びのお誘いに参りましたわ」
お辞儀まで美しい富麗さんが取り出したのは…パンフレット?
「みなさまを我が家のプールにご招待いたしますわ」
「家に…プールが…?」
「アメリカの家じゃん」
渡されたパンフレットはよく見たら手作り感満載だった。ホチキスで留めてあるし、修学旅行のしおりみたいだな。しかも相当絵が上手いぞ。
「デザインと文はわたくしが、イラストはプロに依頼しましたわ」
変なとこで金かけとる…!
「しおりの製作はわたくしがしたかったことなので無駄遣いではございませんわ。全てわたくし自身のためにしたことです」
「くっ、ツッコミを先に封じられた…ッ!」
「あんたそういうとこ律儀よね」
やりたくてやってることを俺が止める道理はないし…
「いや待て、まさかこのためにプールつくったとかじゃ…」
「ご安心なさいませ。プールは元々我が家にあるものですわ」
ならいいか。いいのか?
「夏休みの後半ともなれば文化祭準備で忙しくなるでしょうし、今のうちにと誘わせていただいた次第ですの。江西さんもお誘いしましたわ」
いつの間にかそこ二人仲良くなってたんだな。遊んだときの帰りとかか?
「プールで遊び終わった後、勉強会を予定していますわ。その日中に終わらせる…とまではいかなくとも、宿題を進めてしまいましょう」
勉強会で勉強できた試しがねぇんだけど、女子だと違うのか…?
「ふーん、良さそうじゃない。行ってあげるわ。か、勘違いしないでよね。あくまでプールが楽しそうってだけなんだから!あんたのことは認めてないんだからねっ!」
「色々言ったけど、俺もお邪魔して良いか?シンプルに楽しそう」
俺も楽しそうな計画だから乗っただけだ。しおりのプールに浮かびながらコーラフロート飲んでる挿し絵に釣られたわけではない。断じて。
「もちろん。皆様に最高に楽しい夏休みをお届けしますわ」
という会話をしたのが夏休み前。
で、今。
「やぁ、君たち、なんだか楽しそうなことをしているね」
なぜ貴様がここに…!?平等院…!!
勉強会で勉強するかは集まった人間の気質による




