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学校の七不思議編 ①

 夜の学校、そこは昼間とは違う怪異が存在する時間。美玲と純が暗闇の廊下を歩いている。ザザッ……ザァー………と夜に鳴るはずのない校内放送の音がする。

「じゅ、純。今、校内放送なんて言ってた?」

『ザァー…か……み…こ……ザザッ……す……し…ね』

(いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 何故こんな目にあったかと言うとそれは今日の放課後のこと。




「じゃーん! ここが怪奇研究部の部室でーす!」

 校長室と書かれた札の上に貼り付けてある手書きの『怪奇研究部』という文字。その扉は他の教室より立派だ。心優しい校長が、半ば無理矢理自室を開け渡されたのだ。

「良く来たなぁ! じゅーーーん!!」

 突然バンっと扉が開き、中から少年が手を広げ飛び出して来た。純はサッと横に避け、行き場を無くした少年はそのままの勢いで向かいの壁際に置かれていたダンボールへ、ボウリング球のようにぶつかる。

「あっ、部長!」

 唖然とする純を横に、美玲はやっとその人の正体に気がついた。ボサっとしている銀髪にメガネの奥に隠れた深碧(しんぺき)色の瞳が伺える。

「いてて……酷いぞ、純! この兄の抱擁(ほうよう)を無視するとは!」

「いつの話だ、俺はお前の弟じゃねぇ! 不名誉なっ!」

「不名誉?!」

 美玲が二人を(なだ)めながら部室に入れる。そこには他のメンバーが揃っていた。

「純、紹介するね! こちら……」

 長い茶色の髪は艶めいていて儚い美しさがあり、ジトっとした瞳は常に警戒心丸出しの子猫のような女の子。この部活唯一の一年生、桜田京子(さくらだきょうこ)。続いて二年生は円城寺美玲と佐々木純、そして私達の隣のクラスに属している真野岬(しんのみさき)。岬というが男の子である。サラサラの栗毛色の髪は短く切られ、縁の黒いメガネをかけたぶっちゃけ陰キャなビビり。なぜ怪奇研究部に入部したかは不明。

「んで……あれ?」

 鮮やかなオレンジ色のウェーブのかかった髪をなびかせる見知らぬ女の子が一人。部長が勝ち誇った顔でその子を指を差してアピールしている。

「いや、あの。どなた?」

 それに真野がハッとして答える。

「僕のクラスに転校してきた宮本(みやもと)ルルカさんです。怪奇研究部に入部するそうで僕が案内しました」

「え、えぇ!? 私たち、転校生も交換留学生もゲットしちゃったの?! 他の部活には悪いけど」

 内心とてもワクワクしている。そこに恨めしそうに見つめていた部長が乱入する。

「俺がスカウトしましたっ!」

 新たなメンバーが二人も増え、怪奇研究部は新たなスタートを切った。




「そういえば部長と純さんは知っているようでしたけど、お友達なんですか?」

 自己紹介を終わらせ、親睦を深める雑談会が始まった。そこに真野が疑問を投げかけ、純が答えた。

「友達というか……もともと俺は地元こっちだし、美玲とも小さい頃からずっと一緒にいたから幼馴染ってやつじゃないかな?」 

 歯切れ悪く純が答えた。それに井戸端会議をしているマダムのように部長が割り込んできた。

「はぁ、昔は兄ちゃん兄ちゃんって……あの時の可愛い純はどこへやら。ねぇ? 奥さん」

「あらいやだ、きっと反抗期ってやつですわ」

 部長の問いかけに美玲もマダムモードで乱入する。集結した幼なじみは強いのだ。真野が少し引き目に「仲がいいんですね」とだけ答えた。あれだけ仲良く遊んでいた美玲たちはとある日に離れ離れになった。私たちは小学校が違った為、お互い学校が終わった後に公園に集まっていた。しかし、純は父親の仕事の都合で四年生の時に東京へ引っ越してしまった。

「さて、新メンバーも増えたことだし……」

 部長が手を叩いて合図する。それに皆が注目した。

「まずはこの学校を知って貰おうという事で『学校の七不思議検証』を行いたいと思います!」


 学校の七不思議検証!?

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