第74話 旅の終わり
結婚式が終わったトーマ。
朝風呂で一緒になったポメヤは今日から旅に出るらしい。
僕は行けないけど気をつけて行けよと送り出したのだが…ポメヤが帰ってきたのは10年後だった。
僕はこの10年間、愛する妻に囲まれて仕事に終われ、気がついたら30代半ば。
妻達は見た目が変わらず美しいままだが、やはり僕の体力は衰えてきたと感じるんだ。
結婚から二年後、二人は妊娠し、ユーカは小さい女の子フェアリーをすぐに出産、ミカエルは数ヶ月後に天使の女の子を出産した。
家族が増え、幸せの絶頂だが…ポメヤ…お前どこに行ったんだ?
ポメヤは旅に出ると言ってフラッと消えた。国中で探して貰ったが全く見つからない、でも不死身だしな…。
「ポメヤさんがいなくなって10年ですか、どこ行ったんですかね?」
「ニーアも寂しがってるわよ、早く帰って来ないかしら。」
二人は長寿の種族だ、10年くらいなら心配もしないんだろうが…僕はもうかなり長い間お前を待ってる気がするよ。
あいつのですぞーが今にも聞こえて来そうな…
「ただいまですぞー!いやー風呂行こ風呂」
は?
「あ、これお土産ですぞ、なんか光りそうな石」
光らないからただの石だろ…
「お前どこに…ん?なんか?ポメヤなの?」
そこに立っていたのは美形の青年だった…でもなんとなく面影が…
「は?忘れたんですぞ?お前10年ぽっちで?やっばぁ」
これはポメヤだな、だけど何があった?
「あの、ポメヤさん、なんか進化しました?」
ミカエルも少し困惑している。
「あぁ、なんか大きくなったですぞ、心は前のままですぞ。」
「そんなポンポン進化する種族聞いた事無いんですけど…」
「ねぇポメヤちゃんって…種族としたら何になるの?」
ユーカが真面目な顔をして質問する。
「多分ですけど、新種族です…ポメヤ族というか…始祖ですね、多分」
えぇ…なんかすごいじゃん…意味分からないけど。
「まあそう言う事になりますかな?どうでもいいですぞ、とりあえず風呂に行ってきますぞ。」
「「わー!カッコいいお客さんだー!」」
「なんですぞ!子供なんてこの城にいたか?」
「ポメヤ、僕の子供だよ、フェアリーの方がルミ、天使の方がシャルルだ。」
僕のかけがえのない子供達、でもそいつ元は短足だったんだよ?
「言われてみると面影が…ない!!お母さん似で良かったですな!かっかっか!」
おいバカ気にしてるんだから言うなよお前。
「一緒に風呂入るですぞー!その後ゲームセンターで遊ぶんですぞー!」
二人の子供はポメヤの手を繋いで風呂に行った…
一瞬で懐いたな…
「おーい、あんまり無駄遣い覚えさせるなよー」
「なんかサラッと帰ってきましたね…美少年で…」
「ニーアに連絡しておくわ…美少年になって帰ってきたって…」
まあいいけど?美少年、良いじゃないか!僕は普通だけどね!
「ちょっといじけないの、私達の一番は常にあなたよ」
「そうですよ、子供達も遊びにいったし…ちょっとだけ良いですよね?」
僕は何回エリクサーを飲んだだろう…お世話になってるよな…この水筒。
「お兄ちゃんはどこに行ってきたのー、パパの知り合いなの?」
「そうですぞ、ずっと前から知り合いですぞ」
「その喋り方変なのー、ですぞーって何ー」
「これは威厳が出るんですぞ、偉そうにしてても怒られないんですぞ!」
「えー本当にー?ですぞ!ですぞーー」
子供達はキャッキャと風呂場を走り回る。転ばないようになー。
そしてゲームセンターに二人の手を引いてやってきた。お金はまだまだいっぱいあるしね。
「パパもママも一回来たら1000ベルまでしかくれないの…ママはいっぱい使うのに…」
「ママ達だけずるいよねー!」
君のママ達何にそんな…まあ分かるけど。
今日は好きなだけ遊んでいいですぞと100万ベルほど渡そうとしたが…
「パパがお金は持ちすぎると興味無くなるって言ってたから!5000ベルもあれば十分だよ!」
ちゃんと教育できてんじゃん…
そして城に戻った、大量の景品を抱えて…
「おいポメヤ!お前いくら使ったんだ?」
「うーん、10,000ベルくらい?」
「ポメヤさんすごくうまいんだよ!すぐ取っちゃうの!」
お前昔から上手いよな…
「ママ達にもお土産!いつもこの黒い箱取ってるよね!」
「え、えぇ、ありがとう二人とも、私達って黒い箱が好きなのよね、ね?」
「そ、そうですね、黒い箱って便利ですよね、なんか用途が多いし」
なんか最近またすごいのが出たらしいな…なんでも使用者のデータを取って最適な動きをするとか…
「ポメヤ、お前もう旅はいいのか?」
「そうですな、満足しましたぞ。これからは僕もこの国でゆっくりしますぞ。ラクダも途中で仲間を見つけたので群れに返しました。」
は?あんな熱線ラクダが他にもいんの?おっかねぇな。
まあゆっくりすんのも良いもんだぞ。お前もニーアちゃんとかハナちゃんと結婚でもすれば?
「まあ考えておきますぞ。」
ん?考えるのか?否定すると思ってたけど。
そうしてポメヤの旅の話を聞いていたら夜になり、久しぶりにポメヤと一緒に眠る。
「なぁ、お前は本当にどうするんだ?本当にここに残るのか?」
「まあそうですな、もうほとんどの町回ったし、爺さんとの約束も果たせました。」
「爺さん?なんの話だ?」
ポメヤは珍しく自分の事を話し始めた。
村が襲われて家族が皆殺しになった事。
その後出会った老人と世界を見ると約束した事。
「お前にも色々あんだなぁ」
「あたりめぇですぞ、君は?10年ぽっちで子供まで作ってどんな感じだったんですぞ?」
それから深夜まで話続け、僕たちはどっちが先かも分からないまま眠った。
なんか懐かしい気分だ。とても懐かしい。




