第62話 結婚式の招待状
ゲームセンター計画が大成功に終わり、僕たちは休息をとっている。
まあダラダラしていた。
「もう3ヶ月もこんなですぞ、そろそろどこか行きたいんですぞ」
「確かになぁ、ゲーセンもアルバイト雇って僕はもうやる事ないし、そろそろ旅にでるかー」
ベッドの上でそんな会話をしているとキリカさんが手紙を持ってやってきた。
「フェアリーの国から手紙ですよー」
なに?珍しい、ユーカとニーアちゃんなら問答無用で自分が来るのに。
手紙を受け取って封を切る、ん?招待状?
しかも結婚式?なに?ユーカ結婚すんの?
しかしユーカの結婚でも、ましてやニーアちゃんの結婚でもなく、ジンさんの結婚式らしい。
「ジン?誰ですぞ?聞いた事ないけどね僕」
「いや僕も知らないよ、誰?間違ってない?」
でも相手の名前は知ってる…エルフのフィリアさんだ!結婚すんの?お酒狂いなのに!?
あれ、これフェアリーの国からの招待状だよね…
僕はゲームセンターで酔い潰れていた二人を思い出す…
あぁ!ジンさんって金物屋さんの名前か!!
結婚式は一ヵ月後、この王都で開かれるらしい。
そういえばブローチないと好きにフェアリーの国入れないもんな。
結婚したらどうするんだろ?
「なんか信じられない組み合わせですぞ…」
「確かにフェアリーとエルフの組み合わせだもんな、この場合子供はどうなるの?」
「普通は血の濃い方の特性が出ますな、中途半端って事はないですぞ。」
「へぇ、まあどっちも美形だしな、羽が生えてるか耳が長いかって感じなのね。」
「お祝いどうするんですぞ?君は人を祝った事ある?」
失礼な、あるよ祝った事くらい
ポメヤは結婚式の絵をその場で書くとして、僕はどうしようかな。酒が良いんだろうけどみんな酒持ってくだろうし。
うーん、ちょっと賭けだけどアレにしよう、サプライズもかねてね。
そうと決まれば準備を急がなくては。
僕は存分にお金を使って準備をした。フィリアさんは気にしていないけど僕はエルフの国での事がまだ心に重くのしかかっている。
いい加減にスッキリと割り切ろう。
結婚式当日、僕とポメヤは正装で教会へと向かった。
もちろんポメヤは人の姿に変身している。
「おぉ、結構集まってるな。」
流石にそれぞれの種族だけだ、しかしエルフは数えるほどしかいない、色々あったからな…
「ポメヤちゃーん!」
ニーアちゃんだ、ポメヤに駆け寄ってそのまま抱きつく、本当にポメヤ好きだよな。
「ポメヤちゃん今日お洋服カッコいいね!ダンディ?ってヤツかも!」
「大人の男ですぞ!コーヒーと睡眠不足に溺れる」
ダンディのイメージひどくない?
「と、トーマじゃない、今日は珍しくまともな服着てるのね、その、似合ってるわよ」
「いやいやユーカも似合ってるよ、黄色のドレス、ミニスカートなのがなんとも良いね、とても」
「トーマが足好きだって言ってたからミニにしたのよ!喜びなさい!」
え?僕そんな事言ったの?お酒飲んだ時?本能の獣じゃん。
もう少し喋る事あるだろという感じだが、僕たちはこんな感じで良いんだと思う。
騒いでいると大きな鐘の音と共に式が始まった。
ジンさん…緊張してるな…
神父と共に花嫁を待つジンさん、顔は緊張で強張っている。
そして扉が開き、花嫁が父と一緒に歩いて来る。
うわぁ…フィリアさん綺麗だなぁ。
真っ白なウエディングドレス、元々美人なのだがこれはなんとも…可憐すぎる…
「ステキです!私もポメヤちゃんといつか!」
まあ人の形になれるし前よりは可能性あるね。
「素敵…」
ユーカはフィリアさんの姿に目を奪われている。
ユーカもいつか着る事になるのかな。
そして壇上に新郎新婦が揃い、誓いの言葉の後に唇を重ね、素晴らしいものとなったのだ、良いもの見たなぁ。
その後の披露宴は王城の会場を貸し出し、盛大なパーティーとなった。
まず二人は僕とポメヤの元に挨拶にきた。そういや僕王様だし当然か?
「会場まで用意してくれてありがとうございます!あのゲームセンターが無かったら二人は出会っていないし、トーマさんには感謝しかありませんよ。」
「トーマさんとポメヤさんが王様で本当に良かったです。美味しいお酒も素敵な彼も手に入ってしまいました!」
幸せそうだなぁ…見てるこっちまで幸せになるよ。
「これはプレゼントですぞ!傑作ですぞ!」
ポメヤは結婚式の幸せそうな二人の絵を手渡した。
今回気合い入ってんな。
「え?これ、今描いたんですか?家宝ですよこんなの!?」
ポメヤの絵ってほぼ国宝なんすよ。
「僕からもプレゼントあるんだけど…一応聞くけどフェアリーの国に住む事になるの?」
「それが微妙なところでして、エルフの集落では僕が浮くし、フェアリーの国では妻が…トーマさん達みたいな好き放題入ってくる人ってレア中のレアなので基本的にフェアリーの国って閉鎖的なんですよ。」
まあ独自の文化というか、種族を守るっていう点では間違ってないもんな。
「ユーカ様とかは別に良いって言ってくれてるんですけどね。でも少し不安もあるというか…」
「私は気にしないですよー、ジンさんがいればどこでもいいです!」
ラブラブか?
でも実際問題も出てくるだろう、住むとなったら尚更だ。子供がエルフの血を受け継いだりしたら何か悲しい事も起こるかもしれない。
「僕からのプレゼントはコレだよ、どうなるか分からないけど好きに使ってよ。」
そういって鍵を二人に渡した。
「なんです?鍵?」
「王都に家を用意したんだ、結構広いしバーカウンター、お酒を飲む専用の場所も作っておいたよ。」
「え!?嬉しいですけど良いんですか?ここまでしてもらって!」
「トーマさん!昔の事を気にしているならもう大丈夫ですよ!?」
僕は昔エルフの町で何もしなかった事を後悔しているんだ。でもあの日帰る場所を失ってしまったフィリアさんに帰る場所を作ってあげられるなら、と思っただけだ。
「王都に住めばいいですぞ、王都なら色んな種族いるしきっと楽しいですぞ」
近くで聞いていたユーカもお祭りの日のフィギュアだけは宜しくねと快諾してくれた。
「そういう事だから住みたければ王都に住んでよ、結構立地も良いんだよ」
二人はありがとうございますと涙ながらに感謝してくれた。
感謝したいのは僕の方だよ、少しだけ胸が軽くなったんだから。
二人がその場を離れた後に残されたユーカと僕、ポメヤはニーアちゃんとオセロをしている。
「幸せそうね…羨ましい限りだわ…」
「そうだな、家族って良いよな」
「そういえばもうすぐ水筒祭りなの、もちろん来るわよね?」
水筒祭りっていうの?大丈夫その名前?馬鹿にされない?
「もう一年経つのか…早いもんだな。もちろん行くよ」
「じゃあ今度は一緒に周りましょう、ニーアはポメヤちゃんと遊ぶって言ってたし。」
「そうだな、ちょうど一ヶ月後くらい?必ず行くよ」
「待ってるからね、絶対に来てよね!」
一年かぁ、長いようで短い一年だったなぁ。




